2008-05-28

スライム年代記

前回の、はぐれメタルに関する記事の続き。

ドラゴンクエスト モンスター物語に記されているスライム年代記の記事が、恐ろしいアクセス数を記録した。理由は分かっている。ゴルゴ31にリンクを貼られたからだ。しかし、あんなRSSも吐かない様なアクセシビリティの低いWebサイトの利便性というのが、どうも私には分かりかねる。おまけに、いまだにShift JISだ。

さて、前回も言ったように、スライムはアレフガルド大陸の中央部の、小さな湖の中で生まれた。「初めは目に見えないぐらい小さかったスライムも、やがて爪の先ぐらいの大きさになりました」、とある。さらに、スライムは単細胞生物である旨が述べられている。後に雌雄に分かれたが、どうやらいつまでも単細胞生物のままだったようだ。単細胞生物のまま、身体を大きくしていったらしい。

さて、その強い繁殖力により、湖の中はスライムでいっぱいになってしまった。そこで、陸に上がらざるを得なくなったが、初めは熱さから身体が溶けてしまったらしい。しかし、スライムの驚嘆すべき適応力で、わずか数世代にして、陸で暮らせるスライムが生まれたとある。信じがたい適応力である。陸に上がってからは、草原の草を食べていたらしい。

さて、陸で暮らせるようになったものの、すぐに人口の増加を支えきれなくなった。そこで、元気のいい数百匹が、新天地を求めて、四方に旅することとなった。

まず南に向かったスライムたちは、大きな草原を発見した。しかし、南に向かったグループは多かったので、草原はすぐに荒地になってしまった。食べるものがないので、虫を食べることで、かろうじて生をつないだが、体色がオレンジ色のスライムが生まれるようになった。これがスライムベスである。ちょうどその頃、近くに魔法おばば達が住んでいた。彼女らは、魔王にこき使われて、救急看護婦部隊として、魔物の回復などの支援に当たっており、とても重労働だった。そこで、スライムに回復魔法を覚えさせることを、思いついた。魔法おばば達は「秘伝のタレ」にスライムを浸した。秘伝のタレとは、原文を引用すると次の通り、「秘伝書に書かれていた通り、シャーマン族の面の皮に極楽鳥の羽、それにオークキングの牙が入れてある。ソレにワシの爪の垢もナ」。スライムたちがこの秘伝のタレにつけられると、下半身から触手が生えてきた。その結果、普通のスライムはホイミを唱えられるようになり、スライムベスはベホマを唱えられるようになった。こうしてホイミスライムとベホマスライムは、魔王の手下として使われ、その多くは、人間達との戦いによって、命を落としたという。

その頃、西に向かったスライム達は、行けども行けども、不毛な砂漠ばかりで困窮していた。遠くを見ると山があったので、とりあえず山へ行くことにした。草を求めて山の上へ上へと進むうちに、どんどん寒くなってきた。ふと見ると、人間の馬車が横倒しになっており、そこには見かわしの服がたくさんあった。寒さに凍えていたスライムたちは、見交わしの服の中にもぐりこんで、旅を続けようとしが、ふと気がつくと。洞窟から声がする。食べ物があるかもしれないと思って、洞窟に入った。ちょうどその時、洞窟の中では、トロル達がミスリル銀を採掘していた。硬い岩を崩そうと、魔法の玉を三つ仕掛けたところ、果たして岩は崩れたが、地熱で溶けたミスリル銀の液体が流れてきて、トロル達は埋もれて死んでしまった。運悪くその瞬間に洞窟に入ったスライム達は、ミスリル銀に埋もれてしまった。本には、身かわしの服を着ていたために、熱を遮断し、死なずにすんだとある。やがてミスリル銀が固まると、スライムの皮膚は、ミスリル銀になってしまった。こうして、身かわしの服のすばやさと、ミスリル銀の皮膚を手に入れた。真に驚くべきは、この体質が子孫に伝わったことだ。このスライムは、後にメタルスライムと呼ばれるようになる。

さて、北に向かったスライム達は、広大な草原を発見したが、サーベルタイガーに襲われてパニックを起こし、逃げた先に草原はなく、ストレスから、レミングよろしく集団大移動を始めた。その恐るべき有様は、スライム達が通った後の池はくぼ地に、草原は砂漠に変わり、人間は踏み潰されたとある。ちなみに、その人間達の会話が面白いので、本から引用することにする。

「アレ水色の生き物、弱い。石ぶつけると逃げる。心配ない」
「でもすごい数。とてもたくさん」
「水色の生き物たくさん来る。石たくさんぶつける。心配ない」

その後もスライム達は暴走し続けたが、ついに崖に到達した。しかし後から走ってくる集団に押され、皆崖から落ちて、海の中に入ってしまった。陸上に適応したスライムたちは、既に泳げず、半数以上が溺れ死んだとある。しかし、何とか泳ぎを覚え、生き延びたものもいた。切り立った崖は高く、とても上れそうにないので、海の中で生活することにした。三日目に新しい世代が誕生したとあるが、驚くべきことに、新しい世代は海の生活に適応し、自由に泳ぐ事を得たとある。しかし海の中にも敵はいた。ガニラスである。そこで、スライム達は、宿主のいない巻貝の中に入って身を隠すことを覚えた。そのうち、最初から殻を背負ったスライムが生まれるようになる。実に驚くべき適応能力である。このスライムは、マリンスライムと呼ばれるようになった。スライム達は、さらに海中深くへと移動していったが、そこには大王イカがいた。大王イカの力は強く、貝殻は役に立たなかった。あるとき、あるスライムの子供が大王イカ捕らえられ、まさに打ち殺されそうになった。スライム達は皆、子供が助かるようにと祈るばかりであった。すると、子供の守備力が上がり、以て大王イカの攻撃に耐える事を得た。これは、後にスクルトと呼ばれる呪文である。さて、海の中もスライムが増え、食物が枯渇する前に、若いマリンスライムの一群が、旅に出ることにした。ある老スライムは、経験豊富な自分もついて行くと主張し、その旅に加わった。海のさらに深い場所は水圧が高かったが、カルシウムの高い食事をすることによって、殻がより丈夫になり、下手な魚に襲われた程度では、スクルトの呪文も必要なくなった。しかし、そこにはルカナンの使い手、マーマンがいて、スクルトが無効化されてしまった。そのとき、例の老スライムが躍りでて、スクルトを攻撃に応用する方法を考えていたと言うや否や、ヒャドを唱えた。これを見た周りのスライムも、すぐにヒャドを唱えられるようになり、マーマンをして逃亡せしめた。しばらくして、今度は大王イカよりも強大な、テンタクルスに襲われた。テンタクルスにはヒャドが聞かず、スクルトは、しばらく使わなかったために、皆忘れていた。引越し、新しい呪文の考案などの意見が出されたが、例の老スライムの演説により、スライム達は、イカを眠らせるべきであると結論した。そうして、ラリホーの呪文を使えるようになった。これがスライムつむりである。

最後の東に向かったスライム達の次第は、前回の通りである。

以上が、モンスター物語に記されているスライム年代記の概略である。もし詳しいことを知りたければ、是非とも原本に当たるべきだ。他にも面白い物語がたくさんある。試みに列挙すれば、

馬鹿正直な、あるストーンマンの話
マドハンドの増殖の謎
異世界から召喚されたメタルハンター
何故、キラーリカントがゾーマ時代では四速歩行なのに、竜王・ハーゴン時代では直立しているのかを解き明かす話
大魔道カトゥサによる、ブラックメイル製造秘話
爆弾岩の生い立ちと、ある正直な爆弾岩の話
ある哀れなミミックの話と、人食い箱との違いについて
泥人形がMPを吸い取る目的と、パペットマン誕生秘話
メルキドを陥落させるべく、策を巡らしてゴーレムに挑む大魔道カトゥサの話
ベリアルのアークデーモンとなったベビルのグレムリンの元、ミニデーモンのベビーサタンの出世話
悪魔神官ドルバによる、キメラ製造秘話
栗本和博によるカラーの四コマ漫画
魔王軍団の編成図
モンスター分類図

2 comments:

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