ある自然言語を、他の言語に正しく翻訳するのは不可能にちかい。言語は文化と切り離すことはできず、甲言語で是であることが、乙言語では非であったりする。したがって、翻訳作業は難しい。
だが、Vistaの翻訳はもう少しマシにならんものか。始めにVistaをインストールして、何はともあれまず壁紙などを変えようと思い、デスクトップを右クリックして出てきたときの、コンテキストメニューを見たときの失望といったら無い。何が個人設定だ何が。何のことだかさっぱり分からなかったが、少し考えてみると、なるほど、それはユーザごとの設定なのだから、個人設定なのだろうと分かったが、しかし、壁紙を変更するときに、わざわざユーザごとの設定を、強く意識するだろうか。別ユーザでログインすれば別の壁紙になっている。それだけのことじゃないか。他にも例を挙げれば、zoneidの確認ダイアログだ。これはNTFSの、ファイルは複数のストリームを持てる機能を使って実現しているもので、IEから落としたファイルをローカルで実行したりなどする場合に、警告が入るというものだ。それはいいとして、安全なことが分かっていて、再び確認ダイアログが表示されて欲しくない場合はどうすればいいのか。それには、「この種類のファイルであれば常に警告する」というチェックボックスをオフにする。これには私もだいぶとまどった。この文面であると、「このファイルと同じ拡張子がついているファイルに対する警告を、今後一切無効にする」と読めてしまう。しかし実はこの文章、"Always ask before opening this file"、なのだ。一体どうやったらthis fileをこの種類のファイルと訳せるんだ。どこのdumbassがこれを訳したんだ。
もうひとつ日本語の問題点には、プログラミングをしていて、Windowsに関する情報を探した場合、大抵は英語の情報を得られるが、実際に使っているWindowsでの表記が日本語では、少し困る。翻訳の候補はいくつもあり、推測するしかないという事態になる。
そこで、日本語版Windows Vistaに、英語の言語パックを入れてみることにした。
まず、言語パックを落とす。Windows Updateからでも落とすことができる。ちなみに、英語パックのサイズは、256.6MBであった。落とし終わると、インストールが始まる。1.1GBのディスク容量が必要だ。テラバイトのHDDも一般的になった今、1.1GB程度は、特に問題にはならないだろう。インストールが終わると、言語を選択できるようになる。言語を選択するには、コントロールパネルから、「表示言語の設定」を選ぶと変更できる。言語パックのインストール、変更にはシャットダウンこそ必要ないが、ログインしなおす必要がある。さて、ログインしなおしてみると、各種コントロールのサイズに違和感を覚える。これは英語フォントと日本語フォントでは、文字間や行間が異なるからだ。世の中には、ユーザの環境が自分とは違うということを無視する怠惰なプログラマがいる。そういうプログラマは、デフォルトのフォントのサイズなどが、すべて同じだと考えている。したがって、ダイアログなどの文字がずれ、ウインドウ外に追いやられて、見えなくなってしまうことがよくある。これは何も別言語のWindowsを利用しているときのみの問題ではない。ユーザは自由にデフォルトのフォントを変えられるし、第一、DPIが96とは限らない。DPIに限って言えば、VistaにはDPIのスケーリング機能があり、マニフェストなどを指定しない場合使われたはずだが。つまり明示的にフォントや行馬などを指定しないと、同じ言語のWindowsで、デフォルトのフォントを使っている場合にしか、正しいレイアウトで表示されないプログラムが書けてしまう。
さて、使ってみての感想だが、ほぼすべて英語に変わっている。explorer.exeは英語だし、notepad.exeも英語になっている。コマンドプロンプトも英語だし、dirなどのコマンドも英語を吐く。コントロールパネルの中身もすべて英語になっている。日本語IMEももちろん使えるが、IMEの辞書ツールなどの各種ダイアログは、日本語になっている。まあ、ロシア語の日本語IMEなど需要が無いだろうし、そもそも標準で英語表示にすることもできる。キーボードのレイアウトが変わるのかどうかは、元から英語配列のキーボードを使っているので分からないし、わざわざ試そうとも思わない。
先にも述べた如く、明示的にフォントを設定せず、コモンコントロールのデフォルトのフォントを使っている糞なプログラムは、正しいレイアウトにはならない。まあ、そういうプログラムは、日本語環境でも、どうせ正しくは見えない。偶然正しく見えているだけなのだ。
Vistaの英語は、日本語と比べて、文字の垂直方向の情報量が多い。これはアルファベットが、より小さいフォントでも、十分読めることが理由だ。しかし、水平方向の情報量は少ない。これは、日本語なら数文字の漢語ですむところを、英語は完全に表音文字なので、長々と書かなければならないためだ。
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