源平盛衰記に曰く。承安四年は、春から夏にかけて旱魃が起こり、川が干上がったという。そこで、澄憲という坊主が、五月二十四日と二十五日に、竜神に祈ったところ、見事に雨を降らせたという。勤賞として、大僧都の位に上げられた。
これを聞いて、太政入道、
加様に上一人より下萬民に至るまで、難有事にこそ感嘆しけるに、太政入道はあざ咲いて、人の病の休比に、醫師は験あり、是を醫師の高名と云様に、春の比より旱して、五月雨の降比に説法仕合わせて、澄憲が高名と人の沙汰すらん事、いとをかしき事なりとて興なくぞ被申ける。
と言ったらしい。浄海入道の言、もっともさることに存じ候。ただし、源平盛衰記では、この部分でも、清盛が信心のない悪人として書かれているが。
注記:友朋堂文庫の印刷の、笑うという字がunicodeになければ、辞書にも載っていない。口辺に、つくりは、上部が八で、下部が天。
追記:
コメントにより、咲の異字体であることが分かったので、咲を用いることにした。たしかに、手元の新字源を引くと、咲の異字体として載っており、しかも、読みに「わらう」がある。しかも、意味が、しなを作って笑う意を表すとある。他にも、喜んでわらう。あざけってわらう、という意味も載っており、この文章の意味に合致する。しかし、昔は、同じ読みでも、その微妙な意味の差によって、漢字を使い分けていたのだろうか。なんとコンテキストセンシティブなことか。
この字ですかね。
ReplyDeletehttp://www.mojikyo.gr.jp/gif/003/003554.gif
その字ですね。
ReplyDelete咲の旧字ですかね。
ReplyDeleteUnicodeでは異体字シーケンスを使って
<U+54B2,U+E0101>
http://www.unicode.org/ivd/data/2007-12-14/IVD_Charts.pdf
の62ページ目
"笑"と"咲"はもともとは異体字関係にあったらしいです。
なるほど、辞書を引くと、咲という漢字には、わらうという読みがあるんですね。知らなかった。
ReplyDeleteしかし異字体シーケンス?
そんなものがあったとは。
でもそれを使ってしまうと、たとえUTF-32であっても、一文字4バイトとはならないってことですかね。
解釈するか無視しないといけないなんて、そんな酷い。
異体字シーケンスについてはこの記事がおすすめです。
ReplyDeletehttp://internet.watch.impress.co.jp/cda/jouyou_backnumber/
この記事を読むと、いかにUnicodeがカオスなのか実感できます。