2008-09-15

清盛は意外と現実的な性格をしていたらしい

源平盛衰記に曰く。承安四年は、春から夏にかけて旱魃が起こり、川が干上がったという。そこで、澄憲という坊主が、五月二十四日と二十五日に、竜神に祈ったところ、見事に雨を降らせたという。勤賞として、大僧都の位に上げられた。

これを聞いて、太政入道、

加様に上一人より下萬民に至るまで、難有事にこそ感嘆しけるに、太政入道はあざ咲いて、人の病の休比に、醫師は験あり、是を醫師の高名と云様に、春の比より旱して、五月雨の降比に説法仕合わせて、澄憲が高名と人の沙汰すらん事、いとをかしき事なりとて興なくぞ被申ける。

と言ったらしい。浄海入道の言、もっともさることに存じ候。ただし、源平盛衰記では、この部分でも、清盛が信心のない悪人として書かれているが。

注記:友朋堂文庫の印刷の、笑うという字がunicodeになければ、辞書にも載っていない。口辺に、つくりは、上部が八で、下部が天。

追記:
コメントにより、咲の異字体であることが分かったので、咲を用いることにした。たしかに、手元の新字源を引くと、咲の異字体として載っており、しかも、読みに「わらう」がある。しかも、意味が、しなを作って笑う意を表すとある。他にも、喜んでわらう。あざけってわらう、という意味も載っており、この文章の意味に合致する。しかし、昔は、同じ読みでも、その微妙な意味の差によって、漢字を使い分けていたのだろうか。なんとコンテキストセンシティブなことか。

5 comments:

  1. この字ですかね。
    http://www.mojikyo.gr.jp/gif/003/003554.gif

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  2. 咲の旧字ですかね。
    Unicodeでは異体字シーケンスを使って
    <U+54B2,U+E0101>
    http://www.unicode.org/ivd/data/2007-12-14/IVD_Charts.pdf
    の62ページ目
    "笑"と"咲"はもともとは異体字関係にあったらしいです。

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  3. なるほど、辞書を引くと、咲という漢字には、わらうという読みがあるんですね。知らなかった。

    しかし異字体シーケンス?
    そんなものがあったとは。
    でもそれを使ってしまうと、たとえUTF-32であっても、一文字4バイトとはならないってことですかね。
    解釈するか無視しないといけないなんて、そんな酷い。

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  4. 異体字シーケンスについてはこの記事がおすすめです。
    http://internet.watch.impress.co.jp/cda/jouyou_backnumber/
    この記事を読むと、いかにUnicodeがカオスなのか実感できます。

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