「急がば回れ」ということわざの元ネタは、琵琶湖である。当時、江戸方面から京都に行くには、どうしても琵琶湖の南端よりすこし北あたりを通らなければならなかったのだが、その琵琶湖の南端を、船で渡るか、あるいはもうすこし南に行って、橋を渡るかという選択を迫られた。何しろ船は転覆の恐れもあるし、いろいろと問題だった。しかし、橋を渡ろうとすれば、当時のこととて徒歩で行かねばならぬので、半日潰れてしまうだろう。急がば回れという言葉は、今日からみれば、教訓のように思えるが、当時の人の感覚は違ったはずだ。正解のない選択をさせられていたというのが正しいのではなかろうか。
なぜこんなことを言うかというと、その琵琶湖の場所を、実際に見てきたからだ。いや、確かに目で見てみると、回るべきかどうかは、ちょっと考え込んでしまう。何時間も回り道をして歩いていくのは大変だ。それなら船でまっすぐ超えたいものだ。ということを、車に乗って考えていた。便利な世の中になったものだ。
仁和寺の法師の話とよく似ている。
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