【山田祥平のRe:config.sys】 遠くを見ていたVista
Vistaがメーカー製PCのハードウェアの底上げに役立ったのではないかという意見。たしかに言われてみればそんな気もする。私が始めてバイトして買ったPCは、6年前だったが、メモリを1GB積んでいた。値段は20万以下だった気がする。GPUはGeForce4 Ti4200だった。ところで、その頃のメーカー製のPCというのは、私の買ったPCの1.5倍ぐらいの値段で、メモリは256MBで、GPUは三十万円ぐらいするモデルは、GeForce3やGeForce2MXを積んでいたものもあった。そもそも、専用のGPUカードなど積んでいる方が珍しく、大抵はIntelのマザボ内蔵のGPUだった。私は当時、なぜメーカー製のPCはあんなに高価かつ低スペックなのだろうかといぶかしんだものだ。
Vistaの発売直後でさえ、メモリを512MB程度しか積んでいないメーカー製PCが非常に多かった。私は不思議に思ったものだ。なぜだ? 四年前に買った己のPCですら、メモリを1GB積んでるんだぞ。メモリなんて安いだろう。なぜたったの512MBなんだ、今日びフラッシュメモリすらもっと容量があるぞ、と。かといって、値段は、昔とあまり変わっていない。実に不思議だった。また、Aero程度すら、満足に動かせるスペックではなかった。あったとしても、値段が不当に高かった。Aeroも動かせないのような非力なGPUで一体何をするのだろう。
もちろん、初心者向けのユーザーサポートなどで費用がかさむというのもある。また、大々的に広告を打ち出すので、その文費用もかかるのだろう(あきらかにPCに関してはド素人くさい芸能人を使って、テレビに広告を垂れ流していた)。しかし、そんな何の役にも立たないコストのせいで、低スペック高価格のPCを得て、何が嬉しいのか、私にはよく分からない。
OSは低スペックでも動くべきだという声もあるかもしれない。私はそれが正しいとは思わない。その時代に合わせた最適化というものがある。たとえば、こんにち、32MBしかメモリのないデスクトップ機(メールやブラウジングに使う)でVistaを動かせたとして、何か嬉しいだろうか。よしやOS自体は一切オーバーヘッドにならなかったとしても、今日び、どのWebサイトでも、大量の画像やFlashを使っている。はたして32MBのメモリで何をするのだろうか。1996年当時の私が使っていたPC(OSはWindows 95)は、メモリが32MBしかなかった。当時は、仕方のなかったことだ。当時のWebサイトも、テキストに画像がちらほら混じる程度で、staticなコンテンツばかりだった。
してみれば、今日、数GBのメモリと、Aeroが動く程度のGPUを要求するのは、至極当然のことである。
Windows2000が出た当初も、「デバイスドライバが出そろってない、MOドライブが使えない」と文句を言われたもんだ。
ReplyDeleteServicePack2が出たころ、「w2kは安定してるから9xは要らない」となった。
XPも当初、「重い、メモリが逼迫する、不安定」と言われた。
SP1が出て、さらにSP2が出て、「XPは安定してるからw2kは要らない」となった。
Vistaも当初、「重い、メモリが逼迫する、不安定、変化した操作方法を覚えるのが面倒」と言われた。
SP1が出たころには、安もののノートPCでもメモリ1GB、オンボードグラフィックの強化、VRAMの実装で「Vistaは安定してるから、XPは要らない」となった。
これだけ不満を言われ続けてもWindowsは、万人向けに設計され、フリーウェアや開発環境の豊富さなど無限のリソースに魅かれ、これからも万人受けし続けるでしょう。