漢文が読めるようになるにつれて、漢詩の本来のおもしろさが分かるようになってきた。漢詩というものは、センテンスとしては、とても分かりやすい作りになっている。五言ならば、二、三、七言ならば二、二、三、という具合だ。もちろん、延々と同じでは単調であきるので、長い漢詩だと、たまにこれに当てはまらない部分もあるが、ほぼこの形になっている。たとえば、
離離原上草
一歳一枯榮
野火燒不盡
春風吹又生
遠芳侵古道
晴翠接荒城
又送王孫去
萋萋滿別情白居易、擬古
臨邛道士鴻都客
能以精誠致魂魄
為感君王輾轉思
遂教方士殷勤覓
排空馭氣奔如電
升天入地求之徧
上窮碧落下黄泉
兩處茫茫皆不見白居易、長恨歌
やはり、白居易の詩はすばらしい。兼好法師が、「文は白氏の文集」と行っていたのも、宜なるかな。
ついでに私の好みを挙げておくと、やはり項羽や曹操の詩はすばらしい。陶淵明もいい。それから、猫好きだという理由で梅尭臣を評価するし、日本人としては、日本に言及している欧陽脩も、やはり無視することはできない。
ところで、漢詩の要素として、韻がある。問題は日本語には、音による韻はなじみがないので、理解できない。七五調などといったものはあるが、日本語には音による韻文はない。第一、当時の支那語の四声と今の四声は異なる。
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