2009-07-17

とりをはしらしめ、けものをとばしめる

とりをはしらしめ、けものをとばしめる。という言葉を、どこかで読んだ記憶があるが、どこで読んだか忘れてしまった。ググった所、中島敦の沙悟浄出世に出てくる。それなら、たぶんどこかに元にした漢文があるはずだと思って、手持ちの中島敦の本を開いた所、列子から引用したとある。そこで、列子を読んでみた。

Liezi : 周穆王 - Chinese Text Project

老成子學幻于尹文先生,三年不告。老成子請其過而求退。尹文先生揖而進之于室,屏左右而與之言曰:“昔老聃徂西也,顧而告予曰:有生之氣,有形之狀,盡幻也。造化之所始,陰陽之所變者,謂之生,謂之死。窮數達變,因形移易者,謂之化,謂之幻。造物者其巧妙,其功深,固難窮難終。因形者其巧顯。其功淺,故隨起隨滅。知幻化之不異生死也,始可與學幻矣。吾與汝亦幻也,奚須學哉?”老成了歸,用尹文先生之言,深思三月,遂能存亡自在,憣校四時;冬起雷,夏造冰;飛者走,走者飛。終身不箸其術,故世莫傳焉。

訓読すると、こんな感じだろうか。

老成子、幻を尹文先生に學ぶ。三年告ず。老成子請ふ、その過ることをして退くことを求む。尹文先生、ささやきて、これを室に進む。左右をしりぞけ、これに言を與へて曰く、
「昔、老聃の西に徂くや,顧みて予に告げて曰く、生の氣あり、形の状あり、盡く幻なり。造化の始まる所、陰陽の變ずる所は、これを生と謂ひ、これを死と謂ふ。數を窮め變に達し、因りて形を移すこと易きは,これを化と謂ひ、これを幻と謂ふ。造物はそれ巧妙、それ功深にして、固より窮め難くげ難し。因りて形はそれ巧顯、それ功淺にして、故に隨起隨滅。幻化の生死に異ならざるを知りて、始めて與に幻を學ぶべけれ。吾と汝と、また幻なり。なんぞ學をもちゐんや」と。
老成了に歸す。尹文先生の言を用ゐて,深思すること三月、遂に能く存亡自在にして、四時を憣校す。冬、雷を起し、夏、冰を造り、飛者とりを走らしめ、走者けものを飛ばしむ。終身、その術をあらはさず,故に世これを傳ふる莫し。

憣校四時
四季を自由に変えることができたぐらいの意か
終身不箸其術
古くは、箸と著は通じたらしい。

だいぶ漢文も読めるようになつてきた。それにしても、webkitがrubyを実装するのが待ちきれない。聞説、最近ruby実装開始をほのめかすコミットログがあったようだが。

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