TwitterというWebサービスに関しては、今さら説明するまでもない。ただ、私はこのサービスが本質的に、Webの将来に禍根を遺すであろうことを危惧している。以下にその理由を述べる。
私がTwitterをとみに意識し始めたのは、去年からである。私がGoogle Readerを経由して読んでいる、いくつかのブログの更新が、急に鈍化しだしたのである。甚だしきに至っては、全然更新されないブログまで出てきた。そのブログに共通している事がひとつ。曰く、「Twitter始めました」と。
彼らはTwitterを使い始め、二度とブログに戻ってこないのである。私には、Twitterの何が、そこまで人を引きつけるのか、理解できなかった。
凡そTwitterは使いにくいこと極まりない。一回の投稿に文字数制限があること、後から読み返しにくいこと、検索しにくいこと、極めて閉鎖的であること等等。followだの何だのというが、私には、フィードリーダーで購読することの劣化コピーと何が違うのかよく分からない。ただ、これらは所詮サービスの内容であって、これのみにては、まだ憂うに足らず。また別に理由存す。
Twitterユーザーが、所謂、URL短縮サービスを常用していることである。私はこのサービスの何がいいのか、これまで理解できなかった。これは主にTwitter向けのサービスなのだ。これについては、Coding Horror: Url Shorteners: Destroying the Web Since 2002で、詳しく考察しているので、参照してもらいたい。要点を言えば、問題は二つある。まず第一に、URL短縮化サービス自体が、第二のDNSになってしまうということだ。DNSは、ドメイン名からIPアドレスに変換をする仕組みである。このDNSは、絶対に信用に足るものでなければならない。さもなければ、フィッシングを初め、あらゆる詐欺に悪用されてしまう。URL短縮化サービスは、このDNSと同じなのである。DNSの上にさらに、URL短縮化サービスという階層を加えるのは、いいことではない。第二に、検索に不向きだということである。Googleを初めとする検索サービスは、リンクをたどることでWebを巡回する。また、被リンク数で、サイトのランク付けをする。それがこのようなURL短縮化サービスによって、うまく機能しなくなってしまう。
私にとっては、投稿における文字数制限などというのは、思想を制限する枷にすぎない。自分がそれほど論理的にすばらしい文章を書いているとは言わないが、少なくとも、努力はしている。理由を述べて結論を引き出すだとか、結論を先に書いて理由を列挙するだとか、最低限のことはしているつもりである。Twitterの文字数制限は、そうした論理的な文章を構成するのに制限を加えてしまう。だから、皆つぶやきを発するのみして、文章にこだわらない。その結果、頻繁に更新はされる者の、生成される文章は、読むに堪えざるものとなる。
加うるに検索への不親切を以てす。Twitter自身は検索機能を提供しておらず、当然、非公式の検索サービスも、質が低い。Googleでは、その構造上、うまく検索できない。Twitterに有益な情報があったとしても、その情報は内輪ネタに留まり、埋もれてしまう。
あるいは、こういう事なのだろうか。
弱虫に優しいコミュニケーションツールほど流行りやすい - ぼくはまちちゃん!(Hatena)
さらに憂うのは、ここ最近、Twitter経由のアクセスが増えているのである。とくに、この数ヶ月で急激に増えている。おそらく、日本でも流行りだしたからなのだろう。このような個人の弱小ブログにまで及ぶのは、すでにかなり広く使われているからなのだろう。
Webが、検索可能な情報の相互リンクとしてのWebが、Twitterによって分断されようとしている。しかも、Twitterはその機能上、価値のある情報を生み出すことが難しい。例えば、ある人は、Twitter上で、このブログのある記事にリンクして、曰く、「惜しい、この人もっと深く考察すれば、記事がよりよくなるのに」と。しかし、具体的にどう考察すればいいのかには触れていない。しかも、その声は、筆者には届くことがない。なぜなら、リファラを参照しても、一体どこでリンクしているのか、容易に探し出せないからである。これは実に由由しき問題だ。
嗚呼、Twitter。何為れぞもてはやさるること如此
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