食事は、時間が決まっていて、その時間内に食堂に行って、食べなければならない。
食を論ずるにあたって、まず問題にされるのが、味だ。といっても、私は美食家ではないので、味の良し悪しは、よく分からない。味については、別に悪くはないと思う。少なくとも、毎日違う物がでるので、飽きるということもないだろう。ただ、かなりいろんなものがでるので、好き嫌いがあるような人や、アレルギーのある人には、向かないだろうと思う。
私が特に気に入ったのは、昼夕は、必ず麦飯がでることだ。もちろん、白米のみもあって、選ぶことができるが、私は常に麦飯を盛りつけた。麦飯はうまい。森林太郎の亡霊はお呼びではない。
土日は、朝食がパンや弁当になったりする。また、調理場の点検などで、弁当になることもある。
次に重要なのは量だ。これに関しては、申し分ないと言っていいだろう。むしろ、常人には多すぎる。一食千キロカロリー超えはざらである。相当な運動をしていないと、太ってしまうだろう。予備自補のAB課程では、それほど激しい運動はしなかった。しかし、炎天下のなかの基本教練は、なかなかに腹の減る訓練であったので、私は残さずに平らげた。体格にもよるが、一般に言って、女性には、やや多すぎるかもしれないとも思った。
実は、本当の問題は、味や量ではない。時間だ。食べる時間は、15分もあればいい方である。これが一番の不満となるだろう。
一つ分からないことがある。それは、「喫食」という自衛隊用語である。喫という字は、もちろん動詞として、ものを食べる、飲むという意味につかうことができるのだが、手持ちの辞書では、口語によく用いられるとある。食という字は、こういう風に使えるのだろうか。「君子無終食之間違仁」などという例もあるので、まあ、できるのかも知れない。それにしても、自衛隊以外で耳にしない言葉だ。書見という言葉を、漢語ではないと一笑した森林太郎は、一体何を思うのだろうか。
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