まずはこの動画を一見されたい。
【東方】Bad Apple!! PV【影絵】‐ニコニコ動画(9)
近年、3DCGの描画技術は、めざましい発展を遂げてきた。それは、単にハードウェアの性能の進歩もさることながら、どのように表現、描画するかという、手法やアルゴリズムも重要である。より優れたメッシュを作成するための手法、テクスチャの効果的な使い方、光の表現方法、影の表現方法。わざとアニメ調に描画するトーンレンダリング、あるいは、非現実的なほどの描画にするHDR。
これらは、皆、3DCGの発展に寄与してきた。それは事実である。ところで、上の動画はどうか。これは、一見すばらしく思える。ところが、事実は、違うのである。
騙されてはいけない。
この動画のメッシュは、それほど手の込んだものでなくても足る。細部は、作り込まれていまい。ポリゴン数も、それほど多くはないだろう。多いとしても、カドをなくすために、モデリングソフトが機械的に生成しただけに過ぎないだろう。
Lightingなどという大それたものはない。このメッシュを描画するためのLightingは、3Dプログラミングの分野の用語を使えば、基本的に、Ambient Lightingと呼ばれる手法だけで足る。
アニメーションも貧弱である。
それでもなお、この動画はすばらしい。あるいは、なまじ不完全な分、人間の脳が補完してしまうのだろうか。
これを見て、一体ここ数十年の3DCGの、描画技術の進歩は何だったのかという、根本的な疑問がわいた。
ちなみに、個人的な細かいことを言わせてもらうと、射命丸文(動画中で、ペンで筆記しているキャラ)のペンが解せない。どうみても、つけペンの様に見えるのだが、筆記しているアニメーションは、どう見ても筆としか思えぬほど軟らかい。まあ、あまり細かく言うのは、無粋だろう。
ちなみに、この話をある人にした所、彼は、ルナサ・プリズムリバーのバイオリンを弾いている部分が受け付けないという。劇的な演出のために、首を素早く振っているのがまずいのかと思ったが、そうではないらしい。曰く、"it's not that.. it's the arm. 8)"(訳:「違うんだよ、腕なんだ」)と。どうやら、彼はバイオリンの経験があるので、腕の形が頭にたたき込まれていて("it was drilled into me for so long")、違和感を感じるらしい。
実に人それぞれである。
非常によくできてますね。特にモーションが素晴らしい。
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