このスレ読んで、ちょっと遠州弁を書き下してみたくなったんだに。遠州弁と言っても、俺が使ってるのは、旧浅羽町で話されてた言葉だに。今、市町村合併のあおりを受けて、もう隣の袋井市と合併してしまったので、浅羽町という町はなくなってしまったんだに。浅羽町は、田んぼとメロンハウス(メロン栽培のための温室のことだに)しかないド田舎だに。まあ、基本的には、静岡県西部で使われている一般的な方言と、あまり代わりはないと思うに。
まず特徴的なのは、語尾につく助詞だに。よく、ダニ、ダラと言われるけど、これ実は違うと思うに。ダは余計で、本当はニとラだと思うに。というのも、ダニ、ダラというのは、ニやラをとったら、普通にダで終わる日本語になるら? もちろん、ニとラの意味はなくなってしまうけど、言葉としては問題はないら? ダで終われない言葉の場合、ラやニが直接つくことになるに。ただし、それ単体で、「ダニ!(そうだ!)」、「ダラ?(そうでしょう?)」と使うことはあるに。
さて、ニというのは、強意断定という意味だに。意味としては、!をつけるような意味だに。ラというのは、強意疑問だに。なんでもラをつければ、疑問文になるに。これは単純に?ではなくて、強い念押しの、相手に同意を求めるような意味合いを持つ疑問だに。基本的に、この二つさえ覚えておけば、遠州弁は完璧にしゃべれるに。というのも、今の遠州弁話者の間では、もう遠州弁特有の言葉というのは、ほとんど死語になってるからだに。ラジオやテレビ(まだ当時はインターネットなんて主流じゃなかったに)の影響だと思うに。
もうひとつは、間投詞としてのハァだに。これは、「まあ」のような意味を持つに。子供はあんまり使う言葉じゃなかったに。じいさんばあさんが家にいるような子は別だけど。
あと気をつけることとしては、基本的に遠州弁ネイティブは敬語なんて話さないに。まあ、ド田舎だから敬語なんて必要なかったんだら、きっと。俺は、幼稚園の頃関西から引っ越してきたんだけど、母親が電話口に出るときは、必ず「はい、○○でございます」というので、友達から、「お前んちのおばさん、サザエさんだら、バカだら」ってバカにされてたに。今から思えば、どっちがバカかは、明白だら? 片や敬語を使える人間と、敬語の使えない辺土の土人だに。
まあ、それはともかく、せっかくだから、まだ少々は生き残っていた方言特有の単語を紹介するに。といっても、これがおかしな話で、今から紹介する二語は、小学生しか使ってなかった言葉だに。なぜか、中学生になると、みんな、全然使わなくなってたに。
ひとつは、ジーコン。これは、自転車という意味だに。なんでジーコンというのかは、よくわからないに。多分、自転車のチェーンがジーコジーコと鳴るから、ジーコンなんじゃないかと、その当時は考えてたに。
もうひとつは、ズッパ。これは、「すぐに」、という意味だに。ただ、「すぐに」、じゃ、ズッパの速さには足りないと思うに。だから、ここはソッコーと訳すほうがいいと思うに。ソッコーは全国的に知られてる言葉だら? 用例は、以下のような感じだに。
「おい、今日(学校から)帰ったら、俺んち遊びに来いよ」
「おう、ズッパで行くに」
ズッパで行くときは、たいていジーコンを使うに。ド田舎で家離れてるし。
ズッパの語源も不明なんだけど、素早く移動することを、「つっぱしる」というから、そこから来ているんじゃないかとは思うに。だとすると、ヅッパと書いた方がいいんだろうか(ここでは、あまり自身がないから、ラは使えないに)。もっとも、ヅはあまり一般的ではないから、ハァ、ズの方が自然だら。
なんで中学生になると、ズッパとジーコンを使わなくなるのかは、よく分からないに。日本全国に、子供しか使わない方言は、もっとたくさんあるんじゃないかと思うに。そういう言葉は、方言研究からも、漏れているんじゃないかと思うに。そういう言葉が消えてしまう前に、何とかして採集をするべきだと思うに。
ほんで、今京都に住んでるわけやけど、ほんま京都の言葉はわからへんねん。引っ越してきてから一年ぐらいは、ほんま苦労したわ。皆何言うてるか、さっぱり分からへんねやから。しかも、京都と大阪では言葉が違ういいよるねん。何が違うねん、何が。そんなん全然分からんわ。まあ、今はラジオ、テレビ、インターネットなどの普及で、明確な違いはどんどん薄れてきてるんやろうけど。いま書いてるこれも、ほんまの京都弁やないと思うんや。まだ京都に住んでからそんなにたってへんもん。
でもな、京都に住んでからおもたんやけど、古典って、やっぱり当時の都である、京都の発音で読まれてたんやろか。たとえば、今昔物語集には、「早ゥ」ってな言葉が頻出するんや。今の京都弁でも、「はよぅ」とかいうやろ。今の発音は、当時の発音をどのくらい残してるんやろか。
もっとも、この早ゥは、はやくしろという意味では、あまり用いられてへんねやけどな。大抵は、以前に知られていない事実が判明したときに、「早ゥ、○○ナリケル」なんて使ってるんやけど。まあでも、今の一般的な用例がないわけやない。例えば、今昔物語集の巻第二十八 金峰山別當、食毒茸不酔語第十八では、今の別當がなかなか死なないので、役職が空かず、「此ノ別當早ゥ死ネカシ」といって毒キノコを食わせる話があるんや。なかなか人間的な発想で面白いやろ。他にも、弘法大師が栗を煮るのを邪魔した修円僧都と、「互ヒニ死ネ死ネト呪詛シケリ」とあったり、古典にしては珍しく、人間味あふれる本や。読んどかな損やで。
これ、後半は京都弁で書いてはるんでっか。僕は大阪の出身なんやけど、大阪弁と全く区別つきませんわ。というか自分、いま京都に住んではったんでんな。
ReplyDelete静岡も東に行くと「ダニ」はあんまり使わない気がするだだよ。そんかわり、「ズラ」はたまに聞いたさね。まあ物心着くころには東京に移ってしまって、親戚の喋るの聞くだけだからあんま詳しいことは知らないさ。
ReplyDelete関西を飛び越して九州も南部に行っど、も何しゃべちょい分らんでよ、何言われてもさっぱり聞き取れんくて、どげんすりゃよかち途方に暮れよってかい、えら苦労したですわ。
んで現地の若いのも「じーちゃんばーちゃんが何言ってるんかさっぱりわからん」言ちょどがい、いやおめが何言ってのか解らんがねって状態やっどですわ。
3年住んで未だに「じゃかいよ(だからよ)」の使いどころが解らんで、海外生活は大変じゃっとよ。