ドラクエ9の合成はなぜ間違いで、ディアブロ2の合成はなぜ正しいのか。 - 真性引き篭もり
なかなか面白い。
ゲームはインフレする。無尽蔵に湧く敵を倒せばゴールドやアイテムが手に入るのだから、無制限に通貨発行をしているようなものなのだ。それゆえインフレする。だから、ゲームスタート地点では、数ゴールドのひのきのぼうとか、数百ゴールドのどうのつるぎぐらいしか売っていないものが、ゲーム終盤になると何十万ゴールドもする、まじんのかなづちとか、はかいのてっきゅうとかが出てくる。宿屋からして、ゲーム終盤はボッタクリ価格である。
インフレの極みに到達した時、ゲームは遊びつくされて終わる。ユーザーはまた別のゲームを、まだ自分の中でインフレしていないゲームを求める。
オフラインゲームならば、これでもいい。所詮、ひとつのゲームを飽きずに永久に遊べるわけもない。むしろ、ある程度遊んだら、満足した上で飽きて欲しい。そうすれば、別のゲームを買うだろう。ゲームに満足したならば、続編も必ず買ってくれるに違いない。
ところが、オンラインゲームでは、それは困る。オンラインゲームでは、ひとつのゲームを遊び続けてくれないと困る。月額課金にせよアイテム課金にせよ広告にせよ、オンラインゲームは遊び続けてくれるからこそ、パブリッシャーは儲かるのだ。そのため、オンラインゲームにおけるインフレは存亡に関わる。一方、全くインフレしないゲーム、すなわち何時間やり続けても成果が残らないゲームは、やはり面白くない。
そのため、オンラインゲームの開発者は知恵を絞って、一定時間立たないと出現しないボスを作った。このボスは一時間に一回とか、一日に一回などという定期的な時間間隔でしか沸かない。さらに、十分の一とかの低確率でレアアイテムを落とす。インフレしてユーザーが貯めているゴールドは、このレアアイテムと取引される。無限に供給されるゴールドではなく、供給量を制御できるレアアイテムに価値を移転したのだ。インフレの速度は下がった。
しかし、やはりインフレは続く。ユーザーはひたすらボスを狩り続けるため、レアアイテムも市場に飽和する。
オンラインゲームの会社として有名なブリザードは、このインフレ制御に長けていたのだ。いまだに、大昔のDiablo 2が遊び続けられているのには理由がある。
Diablo 2では、ギャンブルによって、大量の金を消失させ、ひょっとした強いかもしれないアイテムを生成する。金はユーザー間を移動するのではなく、消え去るので、インフレを抑えることができる。金の他に、宝石がある。この宝石の入手効率は、初心者でも廃人でもそれほど変わらない。入手できる宝石は、かけらとかひび割れていて、クズである。しかし、Diablo 2には合成がある。クズでも五個集めて合成すると、一ランク上の宝石になる。ランクは五つあり、完璧な宝石が最も価値が高い。宝石と他のアイテムを合成すると、より良いアイテムが得られる。ただし、合成をすると宝石は消えてしまう。
このように、Diablo 2では、価値のあるアイテムを焼くことによって、インフレを制御している。
しかし、いくらインフレを抑える努力をしたとしても、結局時間が経てばインフレすることには変わりない。そこで、ブリザードエンタテイメント社は、他ならば絶対にできないことをする。オンライン上のデータをすべてリセットするのだ。データはローカルには残るが、オンライン上ではリセットされるので、使えない。また最初からやり直しだ。
リセットされる少し前に、リセット予告が出る。そうなったらお祭り騒ぎだ。今まで廃人が溜め込んでいた金や宝石やアイテムが、全て放出される。お祭りだ。すべてを放出して最後のお祭りを楽しもうとする。
ドラクエ9は、この方法を考えもなしにパクった。そもそも基本的にオフラインゲームのゲームなのに、インフレ抑制の手段まで含めてパクった。ドラクエでは、アイテム合成はともかく、インフレ抑制の機能までパクる必要はなかったのだ。しかも、ドラクエの合成は一瞬にして終わらず、無意味に時間がかかる。
まあ、日本のゲームは終わったのだろう。
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