映画アルマゲドンで、NASA職員は隕石をレーザーで撃つことに対して、「電車をBB銃で止めるようなものだ」と言っている。暴走電車をBB銃だけで止める場合、どうなるのか。
--Charles James O'Keefe
まず明言しておくと、隕石をレーザーで撃って防ぐのは、すばらしい方法である。電車をBB銃で止めるのは難しい。
Red Ryder spring-priston レバーアクション空気銃は、標準規格の0.177キャリバー、0.33gの鋼鉄BB弾を、秒速100メートルの速度で発射できる。
GE Genesis シリーズIの電車の重さは、12メトリックトンであり、秒速45メートルで移動する。
一発のBB弾を電車の真正面に打ち込むと、日速30cmほど速度を減じることができる。
電車を止めるには、秒間1発において、およそ二日と20万発のBB弾がかかる。その時には、すでに電車は勝手に止まっているであろう。(このページによる電車にかかる抵抗の計算式による。机上の計算では、時速160キロから時速32キロまで、10分から15分で減速することになる)
明らかに、Red Ryderでは力不足だ。
エアガンオタクですら恐れるような世界的に強力なものを使うべきだ。
Tactical Edition Blackbirdは、ハイエンドBBマシンガンである(世の中にはBBマシンガンというものがあるのだよ)。一分間に1200発も発射でき、発射速度は秒速200メートルを超える。この速度では、標準BB弾で骨折させることができる。
残念ながら、一瞬で電車の真正面から600発を撃ち尽くしたとしても、わずかにしか減速しない。
一人がBB銃で止められないのなら、人を増やせばいいのではないか?
一人あたりに横60cm縦120cmの面積を割り当てる。少々混み合っているが、これにより、他人の肩越しに射撃が可能になる。電車の前方の両サイドに対し45度で配置するようにしたのならば、10メートルで100人、20メートルでさらに300人、30メートルでさらに550人、40メートルでさらに750人を追加で詰め込める。
ほとんどの射手は、電車を正しく狙撃できるだろう。射撃角度の違いを考慮して計算すると、理想の配置(すべての銃が電車の真正面に配置されているもの)にくらべて、90%以上の効率を持つ。
BB弾には強い抵抗がかかる。そのため、遠くから撃たれた弾は、電車に衝突する速度が遅くなる。このページでは、様々な速度で移出されたBB弾のうける抵抗を推定している。インターネットはすばらしい。
これらのことを念頭に、集団でBBマシンガンを撃って電車を止める場合をみてみよう。ところで、人間には腕が二本あるので、一人あたり二丁割り当てることにしよう。
t=0において、電車から50メートル圏内にいる、2500人の人員が、引き金を引き、秒間10万発のBB弾が発射される。電車の前進に合わせて、真正面に配備された人間は魔法のように線路から左右によけるものとする。これは非現実的だが、人間の体をつかって電車の減速させるのはインチキなのでできない。
最初の人員が発砲をやめるとき、さらに後ろに控えている人員が射程に入り、発砲をはじめる。電車はとても早く動いているので、電車が過ぎ去るまえに、一人あたり数十発しか当てることができない。
任意の瞬間において、4万5千発のBB弾が空中に存在することになる。これは問題がある。鋼鉄球が電車の前で跳ね返った時、単に消え去ることはないからだ。射手の方へ跳ね返り(射手の目にあたるかもしれない)、射線に入るのだ。最大で、この反射した跳弾は、1%近い弾を、BB弾同士の衝突により、阻害する。これは好ましくない効果だが、作戦の遂行にあたっては、それほど問題にはならない。
残念ながら、この鋼鉄の雨でも、電車の停止には数分かかり、距離にして数キロメートルを必要とする。これはつまり、10万人の射手を線路沿いに配備しなければならないということであり、必要な費用は5000万ドルに上る。
もっとマシな方法があるはずだ、BB銃を使うという前提を、少しやわらげてはどうか。
AK-47の発射速度は秒速715メートルであり、発射される弾はBB弾の25倍重い。弾の速度が早すぎるため、電車を貫通してしまう(これは、運動量を伝えるのが非効率的であるということでもあるが、特に問題にはならない)
計算によれば、2500人の人員がそれぞれ二丁のAK-47を発砲すれば、距離にして30メートル、時間にしてわずか1.5秒で電車を止めることができる。作戦成功。
もっとやればどうなる?
うーん。
マシンガンの弾は、鋼鉄球にくらべて、受ける抵抗が少ない。つまり、より長距離からの狙撃を可能にする。50メートルではなく、200メートルの範囲にしてみよう。
t-0において、4万人の人員が一斉に発砲する。通常、AK-47は30発のマガジンを使い、秒間10発ほど発射する。0.3秒ほどで、25万発の弾が空中に舞う。狙いの外れた弾が前方の人員を撃ちぬくのは疑う余地がないが、よく訓練された狙撃手ならば、大部分の弾は、的に当たるだろう。
t=15ミリ秒において、電車が50センチメートル前方に進み、弾幕の先頭を浴びることになる。
t=30ミリ秒では、電車は1ミリ秒あたり数十発の弾を受けることになる。
t=150ミリ秒において、電車は前方に6メートルほど進むが、1ミリ秒あたり数百発の弾を吸収する。これにより、前進する運動量が減少し始める(そして粉々になるだろう。ここでは、弾は衝撃を均等に分散する特殊な材質を使っていると仮定しよう)
t=300ミリ秒において、25万発の弾が空中に存在することになる。ほとんどの射手は、二丁あわせて6発ほどの弾を発射している。前列で撃った弾は、後列で撃った弾と衝突することもある。頻繁には起こらないが、確実に起こる。
電車は7メートル前方に移動し、7メートル半になり、7メートルと3/4進み、そして7メートル半に戻る。
成功だ。
しかし、射手はまだ十数発しか打っていないのだ。マガジンにはまだ弾がほとんど満タンで残っている。
t=1秒において、100万発の弾が発射される。電車は後方に、およそ秒速100メートルで押し戻される。t=2秒において、電車の後方への加速は減少する。これは、電車が射手の射程外に移動するためでもあるが、電車が音速に近い速度で移動しているためでもあり、弾が電車に追いつきにくくなるのだ。追いついたとしても、相対速度がほとんど変わらないので、それ以上加速させることができない。
この時点では、空気抵抗が電車にあたえる力が最大になる。電車の後方が浮き上がり、電車は脱線しだす。そして最終的には、弾幕により粉々になる。
さて、隕石に適用しよう。
「隕石をレーザーで撃つなんて、電車をBB銃を撃つようなもの・・・」
「めちゃくちゃカッケーぞ」
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