Google and MPEG LA Announce Agreement Covering VP8 Video Format | Business Wire
GoogleがVP8を発表してより、H.264の特許管理団体であるMPEG LAは忙しく対VP8用パテントプールを構築すると宣言した。x264の開発者の言によれば、VP8は明らかにH.264と似通った部分もあるので、おそらくMPEG LAが管理する中で抵触する特許もあるだろうとのことであった。
Googleの戦略としては、「こちらもVP8のパテントプールを保有している。もし誰か、VP8に特許侵害を申し立てる者がいれば、こちらのパテントプールを使って反撃する」というものだった。
特許戦争は、もはや戦略核の様相を呈しており、お互いにパテントプールと称する大量の特許群を保有して、もし特許侵害を申し立てられたならば、こちらの保有する特許の中で、相手が侵害しているものを探しだして、逆提訴するという戦略が取られている。結果として、大抵の特許紛争はやたらと結論を引き伸ばした挙句、最後は和解で終わることが多い。実に労力の無駄であると言える。そのパテントプールを構築する特許も、たいていはクズ特許の塊であり、いざ裁判となればどんどんその有効性が否定されたり、解釈の結果抵触していなかったようなものばかりであるが、まあ、おどしの料にはなるだろう。
この戦略は、実際には特許を使って商売していない特許ゴロには通用しないが、その手の特許ゴロが使う特許は、たいていクズ特許なので、まあだらだらと裁判を続けることになる。
実に、昔も今も特許は技術革新を阻害している害悪であるが、まあ人間のやることは理解しがたい。
そして、今回のプレスリリースだ。興味深い不思議な表現が並ぶ。
Google Inc. and MPEG LA, LLC announced today that they have entered into agreements granting Google a license to techniques that may be essential to VP8 and earlier-generation VPx video compression technologies under patents owned by 11 patent holders.
"may be essential"(抵触しているかもしれない)とはなかなか興味深い表現だ。MPEG LAが実際に対VP8に使える特許の洗い出しが出来なかったのか、あるいはGoogleの面を立てるべく、Googleの営業部門がそういう表現を使うよう要求したのか。
ともかく、Googleとしては、MPEG LAの特許に抵触しているかもしれない技術を、他者にライセンス提供することが可能になった。これは、Google以外のVP8の実装も含むそうで、つまりはffmpegのようなソフトウェアによるVP8のエンコーダー、デコーダーの実装に特許上の懸念がなくなったということでもある。
また、次の表現も興味深い。
It further provides for sublicensing those VP8 techniques in one next-generation VPx video codec.
VP8のひとつ次の技術も、この同意に含まれるのだそうだ。まあ、しばらく先の話だろうが。
プレスリリースでは、Google側の結果についてのみ言及しており、MPEG LAが見返りに何を得たのかということを一切明らかにしていない。まあ、私の無責任な推測では、はした金が動いたのではないかと思うが。
既にVP9がChromiumに実装されてますよ
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