LLVM Project Blog: Status of the C++11 Migrator
先月のRSSフィードに一瞬だけ現れたのだが、すぐ消えてしまった記事が復活した。
cpp11-migrateは、LLVMのツールに含まれる、既存のコードをC++11に変換する移行ツールである。
現在のところ、四種類の変換が可能だ。
STLコンテナーや配列の要素をループでなめるコードをRange-based forに変換する。
こんないけてないコードが、
std::vector<int> myVec; for (std::vector<int>::iterator I = myVec.begin(), E = myVec.end(); I != E; ++I) llvm::outs() << *I;
こんなに格好良くなる。
std::vector<int> myVec; for (auto & elem : myVec) llvm::outs() << elem;
nullポインターの値としての0やNULLの利用を、nullポインターリテラルであるnullptrに変換。
こんないけてないコードが、
int * ptr1 = 0 ; int * ptr2 = NULL ;
nullポインターリテラルのキーワードを利用したまともなコードに変わる。
int * ptr1 = nullptr ; int * ptr2 = nullptr ;
auto指定子の変換。
auto指定子は、ほとんどの変数の宣言を置き換えることができるが、このツールでは、特殊な場合のみを置き換える。
STLコンテナーのイテレーター
こんなイケてないコードが、
void f( std::vector< std::string > & v ) { std::vector< std::string >::iterator iter = v.begin() ; }
こんなに超絶カッチョイイコードに早変わり。
void f( std::vector< std::string > & v ) { auto iter = v.begin() ; }
new式を受け取る。
こんな冗長で誤りの元なコードが、
MyType * ptr = new MyType() ; MyType * const ptr = new MyType() ;
すっきりする。
auto * ptr = new MyType() ; auto * const ptr = new MyType() ;
これで、変数の型名を間違えてつまらないコンパイルエラーになることはない。
overrideの付加
virtual関数がオーバーライドしている場合、overrideを自動的につけてくれる。
こんなコードでも
struct Base { virtual void func() { } } ; struct Derived : Base { virtual void func() { } } ;
こうなる。
struct Base { virtual void func() { } } ; struct Derived : Base { virtual void func() override { } } ;
関数名のtypoなどといったつまらない間違いをコンパイル時にエラーにできる。
予定されている将来の機能追加では、TR1のライブラリを正式な標準ライブラリに置き換えるだとか、auto_ptrの利用を置き換えるなどといった置換が提案されている。
LLVMの強力な解析とハックしやすいコードベースの力と言えるだろう。GCCの地位がますます脅かされる。
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