海外書籍を早く読みたい視覚障害者に朗報 世界185カ国が著作権者の許諾なしに点訳できる条約採択(1/2ページ) - MSN産経west
あの利用者の環境で動作するソフトウェアを利用者が制御することを禁止した条例、すなわち、DRM破りを違法とした不自然な著作権に関する世界知的所有権機関条約を創りだした著作権に関する世界知的所有権機関により、点字の各国間の扱いに関する条約が作成され、いま各国が署名しようとしている。
条約の正式名称は、Marrakesh Treaty to Facilitate Access to Published Works for Persons who are Blind, Visually Impaired, or otherwise Print Disabled(盲人、視覚障害、その他の印刷物に対する障害者への公開された作品に対するアクセスを調停するマラケシュ条約)といい、以下から文面を閲覧できる。
これを読むと、点字だけではなく、あらゆる視覚障害やその他の印刷物や文字の読解に支障がある者に対する、利用可能なフォーマットの複製物(accessible format copy)の作成を認めている。
利用可能なフォーマットの複製を作成するのは、政府により認可された存在に限られる。またその目的も、非商用目的で、教育や訓練や障害者への利用を提供するものに限られる。
そう、基本は非商用目的だ。ただし、利用可能なフォーマットの複製物を作成するにあたってかかった費用を請求することは認められている。
なぜこの条約を取り上げたのかというと、産経の記事だけを読むと、なかなかおもしろいハックができそうに思えたからだ。
もし、点字翻訳に著作権が及ばないのであれば、あらゆる著作物は、点字翻訳を介して配布すれば、著作権が及ばない。点字エンコードと点字デコードを自動化すれば、なんと著作権を回避できるのだ。
しかしあらゆるものが点字で表現可能ではないという心配はご無用。あくまで可逆変換できればいいのだ。BASE64の点字版を作ればいい。
都合のいいことに、Unicodeにおける点字は、U+2800からU+28FFまでだ。つまり、あらゆる8bit単位のバイナリデータは、8bitごとに0x28を挿入すれいい。前に挿入すれば規格準拠のUTF-16BEエンコード、後ろに挿入すれば規格準拠のUTF-16LEエンコードされた点字テキストデータとして扱うことができる。逆変換も容易だ。
もし条例が、物理的に凹凸のある従来の点字印刷に限定していたとしても、世の中には、何十万、何百万とカネを積まないと手に入らないようなデジタルデータ(不思議なことに数百年前の科学論文とか)や、そもそもカネを積んでも著作権の利用許諾が得られないデジタルデータがある。十分に点字スキャナーと点字OCRを開発する需要がある。
とまあ、妄想は膨らむが、残念ながら実際の条約の文面を読んだところ、これはできそうにない。
条約では、「政府の認可を得た存在」を始めとして、「悪用しない」とか、「正しく」とか、「原著作者の利害と衝突しない」とかいった言葉がしっかりと使われている。これはハックの余地がない。
屁理屈のつけようならいくらでもあるのでそれはクリアされると思いますけど、それより資格を得るのが大変そうですね。
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