江添とボレロ村上の京都C++勉強会が、無事終了した。
今回の勉強会にあたって、一番苦労したのが、場所の確保である。勉強会を開催するには、数十人を格納できる場所がなければならない。さらに、単に場所だけでは不十分で、椅子、テーブル、プロジェクター、電源、無線LANが提供されていなければならない。
勉強会での発表には、スライドを映す必要があるので、プロジェクターは必須である。
さらに、聴衆もラップトップは使いたいであろうし、インターネットにも接続したいだろうから、電源と無線LANも提供されていなければならない。となると、椅子とテーブルも必要である。
勉強会の主催は相当に面倒だが、やはり、変化しなければならないと決めた以上、新しいことをやらなければならないのだ。
私は人前でスカスカのスライドを映して口頭で60分ほど話すことによる教育効果には疑問だ。まず、スライドというのはそれほどの情報量を含めることができない。たまに、アホなスーツが情報のぎっしり詰まったとても読みづらいスライド資料を使うことがあるが、あんなものは到底読めたものではない。それゆえ、スライドは自然とスカスカとなる。それに、口頭で使える情報は、とても伝達効率が悪い。まず、人間の話す速度は遅いという問題がある。それに、私は弁舌の徒ではない。
したがって、勉強会というのは、具体的な詳細を解説するのではなく、こういうものもあるという紹介程度の内容にならざるを得ない。ことC++においては、その情報さえ、日本語では不足しているということもあるだろうが。
とにかく、勉強会に使える場所を確保しなければならない。色々と探したあげく、京都駅の近くに、プロジェクターと電源と無線LANがついて、一時間三千円で借りられる部屋を見つけた。
収容人数が、テーブルを出すと20人、椅子だけで最大38人ぐらいと、ちょっと狭いのだが、京都駅の近くなのでわかりやすいし、何より、プロジェクター、電源、無線LANの条件を満たす部屋というと、京都市内は本当に少ないのだ。
当初はベーコンラボを使おうと思っていたのだが、にわかに京大の教室を借りるとか、はてなのセミナールームを借りるなどという話が出てきた。
京大の教室は、土日も借りられるし、なにしろ大学の教室なのだから、プロジェクターと電源と無線LANはあるし、それに100人ぐらいが入れる大部屋もあるという点で、とてもすばらしいものだ。日本の大学機関はそういう立派な設備を持っていながら、なぜC++のような実用的な言語を教育できる人間がいないのか。理解に苦しむ。聞けば、京大では初年度にSICPをやり、二年目にC言語をやるのだそうだ。C言語! ああ、C++はC言語を改良し、なおかつC言語と同じシステムプログラミングを提供できるように設計されてきたというのに。
そして、さらにひどいことに、京大ではJavaのような一個の民間企業に独占された不自由で使いにくい言語を教育しているという。これはありえないことだ。C++にはそのような独占がないからこそ、安心して使えるのだ。しかも、Javaはその機能からして明後日の方向に向かっている。単にアルゴリズムやデータ構造を記述するために書きやすく、しかも実用的な言語というのであれば、今は便利な言語も多いというのに、なぜあのようなクソみたいな設計のJavaを選んでしまうのか。背景には、即戦力になる安い組み込みプログラマーを量産したいという業界の思惑があるらしい。情けないことだ。
はてなのセミナールームは、すこし条件が厳しい。プロジェクター、電源、無線LANこそ提供されているものの、椅子だけ並べて収容人数が40人(一応、机もあり、さる有名なCプリプロセッサーメタプログラマーは空気を読まずに使っていたが)、それも、土日はだめで平日の夜のみという、難しい条件だ。
平日の夜というのは、多くの職業プログラマーの参加を難しくしてしまう。それに、午後7時から始まる都合上、使える時間がせいぜい二時間ぐらいと短いので、そう何人も発表できない。
ただし、はてなのセミナールームには、この悪条件を吹き飛ばす、ある特別な設備が備わっている。Ustream配信のための設備だ。なんと、はてなは当日の勉強会をUstreamで配信してくれるという。
Ustreamとは、動画配信のためのプラットフォームで、閲覧者に不自由なFlash Playerを要求する邪悪なSaaSSである。そのため、一般的に言って、読者はUstreamを使うべきではない。
しかし、勉強会というのは所詮、物理的な場所で開催しなければならないわけで、場所をどこにしようとも、遠方であるために参加できない人間が出てくるものだ。開催日時を土日にしたところで、やはり物理的に己の肉体をその場所に持っていく都合のつかない人はいる。Ustreamのような閲覧に不自由ソフトウェアを要求するSaaSSは、紛れもなく悪であるが、この場合、もたらす善もゼロではないのではないか。
悩んだ挙句、今回は、はてなのセミナールームを借りて勉強会を行うことにした。
そして、講演者は、私ともう一人、コンパイル時プログラミングの権威、ボレロ村上に依頼した。当日の勉強会の動向は、近いうちに、日記として公開する。
将来的には、自分でカメラを用意して録画し、自由な動画、音声、コンテナーフォーマットで公開するべきだろう。ただし、そのためには私以外の撮影者が必要だ。それに、今回は初めて自分で主催する勉強会なので、そこまで手を広げることもできない。まず何としても、勉強会を計画し、場所の手配をし、告知して人を集め、発表して無難に終えるという、一連の仕事をこなさなければならないのだ。
少なくとも今回、積極的に新しいことをやり始めた結果、色々と可能性が広がってきた。京大の教室を借りての勉強会も、来年に行うよう調整中だ。現在の予定では、来年の春休み、つまり2月末から3月にかけての休日の昼間に、京大の教室を借りて勉強会を行うよう、調整中だ。内容は、今回のようにC++14の新機能でもいいし、あるいはなにか別のものでもいい。
さて、今回初めて、勉強会を主催した経験からいうと、勉強会を個人の力で開くのは色々と難しい。勉強会は最近の流行だが、実際に開催しようとすると、普通の営利活動では、到底正当化できないほどの費用と手間がかかる。私が今後もC++の啓蒙活動を続けるためには、どういう形であれ、私に金が入らなければならない。結局、私は霞を食べて深山に修行するわけにはいかないのだ。しかし、勉強会は、営利目的としてはいかにも無理だ。
やはり、さらなる劇的な変化が必要なのだろう。
とても魅力的な記事でした。
ReplyDeleteまた遊びに来ます!!