2015-07-18

引越しと信用

先日、引越しを終わらせた。今回の引越しで、思うところが色々とあるので、書いてみる。

まず、今回の引越しでは、自分でシェアハウスを作ろうと試みた。そのために、色々とシェアハウス向きの物件を借りようとしたのだが、これが借りられない。理由は信用だ。

何軒かの不動産屋を回ってみて感じたこととしては、渡のつくりたいシェアハウスと、不動産屋が一般に考える不動産屋に、かなりの隔たりがあるということだ。

私の作りたいシェアハウスというのは、住人がそれぞれ一人暮らしするぐらいの賃料を払って、キッチンや風呂やリビングなどの共用部分の設備が豪華な賃貸物件に複数人で住むというものだ。

ところが、どうも不動産屋の想定するシェアハウスとは、クッソ古くてボロボロな2LDKぐらいの部屋に出稼ぎ外国人を含む10人以上が住むものらしい。

紹介される物件というものも、その賃料と地区年数なら、住人候補は全員、もっとマシな場所に一人で住むというようなものばかり。完全に認識の隔たりがあるようだ。

そして、肝心の賃貸物件が借りられない。どうやら、ある程度の規模(4LDKとか月家賃が20万円とか)の賃貸物件は、東京では個人に貸してくれないようなのだ。法人契約を求められる。しかし、私が借りようとしている物件は、事務所や社宅には不都合な間取りなのだが。

さて、仕方がないので、婚約者と二人暮らしでもしようかと思い、お互いの職場近くに2LDK程度の賃貸物件を借りようと試みた。

いくつか中を見た結果、結局、相場より高い物件はあれど、相場より安い物件というものは存在しないものだと結論した。相場より安そうにみえる物件には何らかの理由がある。

色々考えた結果、建物と部屋の維持管理に十分な金を投じている賃貸物件を借りた。多少高かったが、ちゃんと壁紙が張り替えられており、クーラーが比較的新しく、洗面台やトイレなども新しい物件だ。さらに、ベランダが温室のようにガラス張りになっていて、雨に濡れない。所有者によると防犯を考えてとのことらしいが、ガラスは簡単に割れるので、その点では疑問だ。

この賃貸物件の不満な点は、周辺に住宅と工場とオフィスビルしかなく、やや不便であるということだ。とは言え、コンビニは近いし、イトーヨーカドーも近くにあるので、とりあえず日常の買い物は問題なさそうだ。

さて、物件を借りる際には、保証会社が必須であるという。筆者は元一部上場企業(カドカワとドワンゴが合併して、持株会社カドカワドワンゴの子会社という形になったので、ドワンゴは上場廃止となったのだ。)に雇用されていて定期的な給与所得があり、貯金があり、借金もない。私は金銭的に十分に信頼できる人間である。ところが、思わぬ問題に出くわした。保証会社の審査を進めるには、携帯電話番号が必須であるという。

筆者は携帯電話を所有していない。その理由は、筆者が契約書を読む人間だからだ。およそ、携帯電話の契約書をまともに読めば、携帯電話は契約してはならないということがわかる。携帯電話を契約する人間は契約書をまともに読んでいないに違いない。そんな人間は果たして信用に値するのだろうか。

ところが、不思議なことに、この現代日本社会では、携帯電話の所有は信用に値するらしい。

これは由々しき問題だ。賃貸契約を結ぶには、金の他に、信用が必要だ。そして、この日本国では、信用は住所と携帯電話で担保されている。住所も携帯電話も持っていないものは、信用がないため賃貸契約を結べない。しかし、住所と携帯電話を同時に消失した場合、どうやって復帰するというのだろうか。

どう考えても、住所と携帯電話を同時に消失した場合、金では復帰できないように思われる。金さえあれば土地と家を買えるのではないかと思うかもしれない。しかし、携帯電話と住所がない状態で、不動産登記をどうやって行うのか。

筆者の考えた復帰方法では、どうしても他人の信用に乗るしかない。すなわち、誰か支援者を得て、支援者の住所に住民票を移す。これで住所ができるので、携帯電話を契約する。そして賃貸契約を行う。

筆者はできるだけ物を持たない生活をしている。その上で、携帯電話は不必要であるのみならず、その契約内容は危険であり、かつ、私の日々の活動を妨げる妨害装置でもある。携帯電話は一切信用できないものであり、携帯電話を所有することで信頼が生じるのは全く理解できない。

携帯電話は連絡手段であるという者がいる。しかし、この2015年には携帯電話は最適な連絡手段ではない。

仕方がないので、私のかわりに、私の婚約者が賃貸契約をすることになった。ここで保証会社の謎の要求が出てくる。なんと、先に審査すら拒否した私を、連帯保証人にすれば審査を通すというのだ。審査すら拒否するほどの信用のない私を連帯保証人にして得られる信用とはなんだろうか。おぼつかないものだ。私の連帯保証人にするならば、婚約者の親を連帯保証人から外してほしいものだ。

さて、とにかく家は確保した。引越しにはやたらとカネがかかった。私は普段から金を使う当てがないので、貯金のみ無駄に溜まっていて、支払いに問題はないのだが、この額は引越し難民がでるのも理解できる額だ。

ところで、自宅にはまだインターネット回線を引いていない。せっかくだからISPにもこだわろうかと、IIJmioひかりを契約しようと思ったのだが、なんとクレジットカード払いのみ。さて・・・これはクレジットカードを作らねばならぬのか。この分では、ネット回線を引くのは時間がかかりそうだ

そして、色々と入用なものがある。特にキッチン用品を揃えなければならない。さしあたって、レンジを買わなければならない。安いものを買うか、高いものを買うか思案している。大きな鍋も必要だ。

8 comments:

  1. いつも楽しく読んでいます。
    私が思う所によると、不動産会社が携帯の所有を求めるのは信用ではないのです。
    信用と言っているのは、体面上として無難な言葉に置き換えているだけで、実際のところはなるべく簡単に連絡できる手段を要求しているに過ぎないのです。
    なお、不動産会社から見て第三者である、携帯会社がその対象者と無事契約できているということが証明されるという意味では、対象者が信用に値するかを判断する一要素となりえるかもしれません。

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  2. 江添さんが携帯電話を持たないのはRMSの言うように、プライバシー上の懸念もあるからではないか。

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  3. 個人の集まりだと突然住人(金を払ってくれる人)が(受動喫煙にキレたとかの理由で)減るリスクがあるから法人にしか貸さないのですよ。

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  4. 特にネットゲームをしないのであれば都市圏ですし、Wimax2なんてどうですか?
    回線速度は上々ですよ。ルーター持ち運べますし。
    自分が過去携帯を東京で契約した時は、住所は寮でもよかったですし、実家でもよかったです。その時も住民票は実家でした。
    もう10年ほど前の話ですけど。
    実家で契約すれば取れない契約ってほとんどないと思うのですが?
    京都の実家の家電話と住所で大体取れますよ。
    契約してから変更手続きすればわりと問題ないと思います。

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  5. 話の本筋ではありませんが

    金さえあれば土地と家を買えるのではないかと思うかもしれない。しかし、携帯電話と住所がない状態で、不動産登記をどうやって行うのか。

    所有権移転登記は大概、司法書士に委任して行いますので、携帯電話番号を書く必要はありません。
    登記完了後の書類の受渡しは郵送で行うことが多いですが、
    住居を購入すればもう実際にはそこに住めるでしょうから、司法書士との連絡先は新住所にすれば済みます。

    売買契約や登記の際には、身分証明書や、住民票の写しは必要ですが、
    連絡は避難先の固定電話でも(実際には電子メールでも)構わないので、どうにでもなります。
    おそらく「ネットカフェ難民」でも、買えるでしょう。
    (どこの住民基本台帳からも消えて宙に浮いているときはこの限りではありませんが)

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  6. 不動産業界における「シェアハウス」の概念は一般的に、
    借り手がつかないが、(投下資本の回収が困難→金融機関から借りられない)建替えも改装も行えない在庫を活用して、
    (東京では)高額な固定資産税の原資や、家主の生活費等を得るための、手法です。

    そもそも日本の国家制度は資本家主導の構造である(敷金礼金の制度もその反映)一方、
    戦後に人口が爆増して、かなりの人が東京などの賃貸住宅に住んで企業に雇用されていて、多くの人がいわば出稼ぎ労働者です(これも、資本家・大企業主義の反映)。
    そのなかで、地価や物価が戦後から急騰し高止まりして、土地建物にかかる税などの経費は高くなっています。

    ところが、とうの四半世紀前にこの「経済成長」は終わりましたので、
    地価の高いまま集合住宅が老朽化し、
    定職定収入=死守すべき社会地位のある人(=トラブルを起こせない人)には借りてもらえなくなり、
    社会地位のある人に貸してトラブルリスクを減らすというのでは借り手がつかなくなりました。
    (リスクというのは滞納だけではなく、住民同士の紛争や、最悪は殺人事件の発生もありえます。殺人事件でも起これば、建物価値が激減します、数千万単位の損失です。)

    そこで、トラブルリスクの高い層の人達を住まわせながら、所有者はリスクを被らないで済むという、リスクの付替えビジネスが「シェアハウス」です。
    シェアハウスを運営するということは、所有者や管理会社の代わりに運営者がトラブルに対処することを意味します。だから、資金力や、即座に連絡がつくといったことが求められるのです。(多くの法人はTDBかTSRにでも訊けば事業内容や財務状況を推察可能ですから、契約審査が容易です。個人事業主相手だと困るわけです。)

    ちなみに、低コストで、従来通りの借り手を確保するための手法に
    「デザイナーズ物件」があります。ミラクルですね(笑)。

    こういうのは国家的な病の一例です。
    政治も経済も社会構造も、病んでますんで。

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  7. 本当に携帯電話番号を要求されたのですか?
    単に何らかの電話番号を聞かれたのではなくて?

    050ではじまるようなインターネット電話の番号を取得して、
    (番号自体は無料のサービスもあります。)
    それを書くのでは弾かれるのでしょうか?

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  8. クレジットカードの代わりにVisaのデビットカードではダメでしょうか?

    ttp://www.visa.co.jp/personal/cards/visadebit.shtml

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