ふとしたことから、歴代のゲーム専用機用のゲームソフトの、総売上数や総出荷数のランキングを掲載しているWebサイトを見つけた。
非常に興味深い情報である。私が遊んだことのあるゲーム機で、一番最新のものは、ゲームボーイカラーであり、最近のゲーム専用機の事情については全くわからない。私は、自由にプログラミングできないハードなど欲しくはないので、最近のゲーム専用機は持っていない。最先端のゲームを離れること久しいので、ついにゲーム自体をやらなくなってしまった。しかし、この情報があまりにも面白かったので、これを元にゲームのソフトに関する歴史の考察をしてみたいと思う。ハードウェアその他の歴史については、Wikipediaに詳しいので、それを参照して欲しい。また、このサイトには載っていないゲーム機もあるが、それは省略する。
ファミリーコンピューターは、1983年に登場した。
ファミリーコンピューターのランキング
ファミリーコンピュータ - Wikipedia
ファミリーコンピューターの売上、一、二位は、マリオである。三、四位に、ドラクエが入ってくる。その下は、ゴルフ、ベースボール、麻雀といった、汎用的なソフトが多い。たまに、テトリスやゼルダの伝説のようなゲームが、ちらほら出現するぐらいである。
ファミコンのアクションゲームは、非常にシビアなアクション性を求めるものが多かった。また、ボタンの連打速度を求めるものも多かった。RPGでは、ゲーム中に何のヒントもなく、事前に知っているか、偶然や勘に頼るか、総当りに調べなければ解けないような謎解きが多かった。結局、ハードの性能の問題から、あまり長いゲームを作ることができず、長くゲームを遊べるように、このような方法が取られたのであろう。また、当時の家庭用ゲームは、まだアーケードの影響を強く受けていた。アーケードは、ある程度ユーザーをゲームオーバーにしなければならないゲームである。さもなければ、一クレジットで延々と遊べてしまうからである。そのため、ファミコンのゲームも、ゲームオーバーとなれば最初からというゲームが、非常に多かった。まだ、家庭用ゲームとアーケードの違いが、明確ではなかった頃の話である。
スーパーファミコンは、1990年に登場した。
スーパーファミコンのランキング
スーパーファミコン - Wikipedia
スーパーファミコンのソフト出荷の上位は、マリオとドンキーコング、ドラクエとファイナルファンタジーで占められている。現在でも続編が作られ続けている有名ゲームの多くは、スーパーファミコンから始まったものも多い。スーパーファミコンは、10年の長きに渡って、あまりにも大量のソフトが開発されたので、あらゆるジャンル、難易度のゲームが作られており、一般論を述べるのは不可能に近い。ただし、年を経るごとに、ファミコンのような理不尽にシビアなゲームは減り、家庭用ゲームとアーケードの区別が明確になってきている。
ゲームボーイは、1989年に登場した。ゲームボーイカラーは、1998年に登場した。
ゲームボーイのランキング
ゲームボーイ - Wikipedia
ゲームボーイカラー - Wikipedia
1989年~1995年のランキングをみると、ほとんどアクションゲームである。テトリス、マリオ、カービィ、いずれもアクション性に特化したゲームである。この頃のゲームボーイは、アクションゲームが全盛であった。ただし、貧弱なハードのため、操作に支障が生じるゲームも多かった。悪魔城ドラキュラなどがいい例だ。
1996年~2002年のランキングでは、アクションゲームがすっかり消えてしまった。ポケモンの影響があまりにも強かったのだろう。ポケモン、遊戯王、メダロット、いずれもアクション性が皆無のゲームである。ゲームボーイ(カラー)用のソフトは、アクション性の低いRPGないしは、やり込みゲームになった。ひたすらレベル上げやアイテム収集を楽しむゲームが多い。処理能力は低いが、どこにでも手軽に持ち運べ、他人と通信できるというゲームボーイという特性を考えれば、やり込み性の高いゲームの方が向いているのは、当然である。
プレイステーションは、1994年に登場した。
プレイステーションのランキング
プレイステーション - Wikipedia
プレイステーションの売上の一位から四位までは、ドラクエとFFといったRPGによって占められている。その下に、グランツーリスモやバイオハザードといった、アクションゲームが続く。プレイステーションは、非常に息の長いハードなので、多くのジャンルのソフトがでており、あまりジャンルの偏りはみられない。家庭用ゲームにおける3Dゲームは、プレステが火付け役となったといってもいいかもしれない。
ネオジオポケットとワンダースワンは、そもそも売上自体が少ない。当時を振り返るに、かなりマイナーなハードだったと思う。ネオジオポケットの売上の上位は、格ゲーで占められている。ワンダースワンは、グンペイという興味深いゲームはあったものの、ほとんどのソフトが、移植作で占められている。
セガサターンとドリームキャストも、マイナーなハードであった。ハードの登場には、4年の開きがあるので、まとめて語るのもどうかと思うが、結局、どちらもプレスに勝てなかったと言わざるをえない。ただし、この二つのハードには、興味深い異色作が多かった。セガCDという拡張機器によって、ゲームにアニメーションを入れたりしていたし、ドリームキャストでは、シーマンという異色なゲームもあった。あるいは、マイナーであったからこそ、異色作が目立つのであろうか。
ニンテンドー64は、1996年に登場した。
ニンテンドー64のランキング
NINTENDO64 - Wikipedia
ニンテンドー64も、やはり、プレステに勝てなかったハードである。売上の上位は、ほぼアクションゲームで占められている。マリオのゲームが非常に多い。また、任天堂名義のソフトが、非常に多い。任天堂ハードはサードパーティが勝てないというのは、よく言われることであるが、ここまで圧倒的に任天堂で占められているのも異常である。たとえ、開発は下請けだとしてもだ。
プレイステーション2は、2000年に登場した。
プレイステーション2のランキング
プレイステーション2 - Wikipedia
プレステ2は、かなり描画能力が向上した。2010年の時点で、いまだにPS2用のソフトが開発されている。まだ現役のハードなのだ。肝心のソフトはどうなのかというと、売上の上位には、有名ソフトの続編が多いように思われる。これは、描画能力の上昇に伴い、開発費も高騰したという事情が関わっている。開発費が非常に高くつくため、絶対に売れると確信できるゲームが、多く開発された。そのため、続編だらけである。ハードの最大の性能を引き出すには、異常な努力が必要であるという点からも、開発費は高くつく。ただし、最近はノウハウが蓄積されていて、使いやすいライブラリなども開発されているらしい。
ゲームキューブは、2001年に登場した。
ゲームキューブのランキング
ニンテンドーゲームキューブ - Wikipedia
ゲームキューブは、かなりソフトの開発しやすい環境であったと言われている。高いピーク性能より、平均的に性能を発揮できるハードであった。メモリのレイテンシも低い。ただし、PS2に勝てなかった。ニンテンドー64と同じく、売上の上位には、アクション性の高いゲームが多いように思われる。もっとも、ゲームキューブには、単にゲームを攻略するだけならば、シビアなアクション性を求めるソフトは少ないのだが。
ゲームボーイアドバンスは、2001年に登場した。
ゲームボーイアドバンスのランキング
ゲームボーイアドバンス - Wikipedia
売上の上位は、ポケモンで占められている。ただし、アドバンスには、アクションゲームも多い。ハードの性能が向上したことで、アクション性の高いゲームも作れるようになったのだろう。ただし、わずか三年後にニンテンドーDSが登場したため、アドバンスは、どうもマイナーな部類に属するハードではないかと思う。
XBoxは、2002年に登場した。
XBoxのランキング
Xbox - Wikipedia
少なくとも、日本では不振であった。ゲームの売上を見ても、コアなゲームが多い。また、売上数も、圧倒的に少ない。一位以外のソフトは、百万本の桁に到達していないのだ。また、後継機であるXBox360が、早くに登場したため、もはや現役ではない。
ニンテンドーDSは、2004年に登場した。
ニンテンドーDSのランキング
ニンテンドーDS - Wikipedia
ニンテンドーDSは、タッチパネルの採用により、それまでゲームをしていなかった人たちにも、広く受け入れられた。売上の上位に入っている特徴的なソフトとしては、教育ソフトがある。脳トレであるとか、英語や国語、料理などといった、今までにないソフトが、売上の上位に登場した。このような教育ソフトは、ファミコンでも多く作られていたが、売上の上位に食い込むことはなかった。ニンテンドーDSは、教育ソフトを売れるようにしたのである。今までゲームをしてこなかった層を取り込むというのは、ソフト全体の売上を底上げするにも、相当に力のあることである。面白いソフトとしては、著名な文学作品を収録したソフトなどもある。もちろん、既存のアクション性の高いゲームや、やり込み要素の高いゲームも、数多く開発されている。
プレイステーション・ポータブルは、2004年に登場した。
PSPのランキング
プレイステーション・ポータブル - Wikipedia
PSPは、ポータブル機としては相当に高い処理能力を有する。また、音楽や動画の再生、ブラウザ、ワンセグなどの機能も備えている。これらは、ニンテンドーDSでも、ある程度はサポートされているが、PSPは高い処理能力に支えられ、DSよりも質が高い。ただし、DSに勝てなかった。当時の私の印象では、PSPの人気は、ソフトとしての人気というよりも、そのハードの人気であったように思う。私の知るPSPの所有者は、必ずといってよいほど、非公式のカスタムファームウェアを使っていた。目的は、自作のソフトを走らせたり、ソフトウェアによる無意味な制限を取り払うためであった。高い処理能力にもかかわらず、安価であるという点が、一部のコアなオタクに、非常に受けたようだ。しかし、ハードが安いのは、ソフトのロイヤリティに頼っているためであり、本来の意図した使われ方ではなかっただろう。
肝心のソフトはどうかというと、グラフィックに優れたソフトが多いように思われる。また、プレステからの移植作も多い。
XBox360とPS3は、ハードの性能がかなり上がった。ただし、開発費も高騰し、まともにソフトを開発できるのは、相当に力のある企業だけになってしまった。売上の上位は、ほぼ既存の有名タイトルの続編で占められている。また、XBox360、PS3、PCのマルチプラットフォーム向けにゲームが開発されることが多くなった。
Wiiは、XBox360とPS3とは、だいぶ違う路線を走っている。その独特のコントローラーは、三次元に自由に動かすことができ、既存のコントローラーとはだいぶ違ったものとなっている。ゲームも、コントローラーを意識したものが多い。
未来のゲームはどうなるであろうか。ハードを考える。現在、XBox360やPS3は、Wiiに似たコントローラーを出す動きが見られる。また、全身の動きを認識するコントローラーも発表されている。また、立体視のできるディスプレイに対応したソフトの動きも見られる。
ただ思うに、ここ数年、ゲーム専用機の処理能力は、PCに比べて、だいぶ遅れてきているように思われる。
ソフトを考える。ここ最近、全く新しい画期的なソフトというのは、出ていない。あまりにアクション性のシビアなゲームは、もはや流行らない。ゲーム内のメモリ上のデータを変更し続ける、やり込み系のソフトも、何が面白いのかよく分からない。また、多くのゲームが、乱数に頼っている。多くのゲームが、何度もやり続けることで、レアアイテムなどを得るようになっている。一体、擬似乱数のアルゴリズムと格闘して何が楽しいのであろうか。理解出来ない。開発費の高騰から、続編や移植ばかりが開発されるようになっている。しかも、売上の上位に、そういったソフトが上がるので、なお悪い。ゲームの未来は、あまり明るくないように思われる。
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