2007-08-15

美しい顔について

 世の中には様々な顔がある。とはいえ、四十路、五十路に差し掛かると、みな一様に、醜悪な顔になってしまう。電車に乗っていると、様々な人の顔が、否応なく目に入ってくるのだが、中年に差し掛かる人々はみな一様に、むさくるしそうなオッサンか、厚かましそうなオバハンである。特にオバハンは酷い。明治時代の薄化粧よろしく顔を塗りたくり、道化さながらのショッキングピンクの唇の上、どこで売っているのか理解に苦しむ服を着込んでいる。  もちろん、中年老年でありながら、美しい人というのは、たまに存在する。そういう人は大抵、姿勢正しく、目立たない化粧をし、無難な服装をしている。  要するに、大抵の中年の日本人は、醜悪な顔をしているのだ。私とて、二十年ないしは三十年先には、おなじ人相に成り下がる定めだろう。  ところが、私が日本以外の人種を見ると、どうも勝手が違う。みな、それほどまずい顔をしているようには見えないのだ。それどころか、兄弟姉妹でもないはずなのに、同じ人種の外人の顔が、似ているように感じてしまう。これは妙だ。日本人である私が日本人を見るとき、兄弟姉妹でもなければ、似ているとは思わない。しかし、私が日本人以外の人種を見ると、どうしても、どこかが似ているという感覚を覚える。彼らとて普通の人間であるから、別段美しいわけでもないし、ましてや似ているはずがない。これはどうしたことだろう。  普段見慣れていないものは、違いを認識できないのだろうか。  一体何が美しい顔なのか。私が美しい顔と醜い顔を判断できることからして、何かしらの基準は存在するはずである。一体何だろう。  私は卒業アルバムを開いてみた。かつての級友たちは、みな一様に醜悪な面構えをしていた。お世辞にも美しい顔は見当たらなかった。何故だろう。当時は、クラスの誰某がかっこいいとか、可愛いとか、話し合っていたはずである。今改めて顔を確認するに、一人として美しい顔がない。これは一体どうしたことか。  不思議に思っていると、心理学分野に進んだ昔の友人から、次のように言われた。 「知っているか? 一番美しい顔というのは、自分の顔なんだぜ」  考えてみるに、自分の顔は、かなりの頻度で見ている。従って自分の顔に対して嫌悪、拒絶など意識は覚えないはずだ。もし自分の顔を嫌悪あるいは拒絶する人がいたならば、まず紹介すべきは、腕のいいカウンセラーであって、間違っても、腕のいい整形外科医ではない。  美しい顔というものについては、面白い研究対象なので、おそらく先人も研究しているだろうと調べてみたが、どうも良い成果は上がっていないようだ。ある研究者は、顔の黄金比などを作っている。たしかに美しい顔にとされる人に当てはめてみると、結構一致する。しかしそれは、まず始めに結論ありき、といった感じがする。  他にも、複数の顔を合成して、平均的な顔を作っていくと、なぜか美しい顔になってしまうというものがある。これは面白い。たしかに美しい顔なのだが、何故か魅力を感じない。どこか非人間的な印象さえ受ける。  昔、近所に、韓国と日本人の混血の女の子がいて、美人と評判が高かった。思い出してみるに、その顔は日本人とも韓国人ともどこか違う感じを受けた。アジア人なのにアジア人らしくない顔であった。しかし、やはりアジア人であった。普段見慣れぬ顔である。しかも日本人と韓国人の混血であるので、平均された顔である。  普段見慣れていない顔は美しく感じるのだろうか。  平均顔は美しく感じるのだろうか。  はしがき  にほんではよく混血をさして、ハーフと言うが、これはどうも変な印象を与えるらしい。確かに、「お前は半分だな」、などといわれたらいい気はしない。じゃあなんというのかというと、mixed raceとかmixed bloodなどというらしい。一応、half bloodという言い方もあるにはあるが。

1 comment:

  1. そう言えば、恋人同士、夫婦同士は長年連れ
    添っていると顔が似てくると昔から言います
    が、実は心理学的に考察すると面白い結果が
    得られます。

    「恋人同士、夫婦同士になる人達は元々顔が
    似ている。似てくるのではなく元々似ている
    のだ。」

    自分の顔が一番美しいのだとすれば、伴侶と
    して選ぶ異性の顔が自分に似ているのも無理
    はないですね。

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