2012-09-29

将来、不老不死が実現するというニュースが流れるたびに思い出すスケッチ

将来、不老不死が実現するというニュースを聞くたびに、デイビット・ミッチェルとロバート・ウェブのこのスケッチを思い出す。

Mitchell & Webb - Future - YouTube

ミッチェル「クソが。おい、これ読んだか」
ウェブ「ああ、その通りだね」
ミッチェル「おお、そうか。待てよ。読んでないだろ」
ウェブ「オッケー、なんだよ」
ミッチェル「科学者がいうには、将来の世代では、永遠に生きる可能性が非常に高いそうだ」
ウェブ「いいじゃないか」
ミッチェル「アホかお前は。将来の世代だぞ。俺らじゃないんだ」
ウェブ「そうだが」
ミッチェル「分からんのか。俺らが最も不幸な世代になるんだぞ」
ウェブ「なんで」
ミッチェル「死ぬのは俺らが最後に決まってるからだろアホ」
ウェブ「まあな」
ミッチェル「俺らは死んで、遺産は全部、忌々しい不老不死の超人に取られるんだぞ」

ウェブ「デイビット、うらやましいのか」
ミッチェル「なんだと」
ウェブ「お前は、まだ産まれてもいない未来の子供に嫉妬してるのか。お前は産まれてもいない子供に死んで欲しいのか。実際にお前が死ぬのを目にするわけじゃないとしても、いずれ死ぬと知って満足したいのか」
ミッチェル「ええと」
ウェブ「お前は希望と期待あふれる自分の子供の目を見て、こいつらも遅かれ早かれ歳食ってくたばるんだと考えて満足するってわけか」
ミッチェル「お前だけそう立派な父親ぶるのはやめてくれよ」
ウェブ「ん?」
ミッチェル「『デイビー君、子供ができてからというもの、私はすっかり変わりました。もう人を憎んだり殺したりなんかしたくありません。君も子供ができたら分かります』っていうやつだよ」

ウェブ「いいか・・・」
ミッチェル「頼むから子供の死をスケッチのネタにするのはやめてくれよ。子供がいる身としてはちょっと気分が悪いんだよ」
ウェブ「腰痛ネタをさんざんやってきたのはお前だろ」
ミッチェル「腰痛に面白いことなんかありゃしない」
ウェブ「俺を悪者に仕立て上げるのはやめてくれよ。俺だって子供の死を喜ぶなんてふうにみられたくはないんだから」
ミッチェル「何も子供の死をジョークのネタにしなくてもいいだろ」
ウェブ「分かったよ。単に自分の子孫が不死身になるのを悪く思うのはちょっとどうかと思っただけだよ。そもそも実現しないだろうしな」
ミッチェル「(聞き取れず)科学記事に意見つけるとはな。お前がビタミンCとってるの見たことあるぞ」
ウェブ「まあちょっと落ち着けよ」
ミッチェル「年金問題をどうにかせにゃならんだろうな。年金、破綻するぞ。アホガキめ」
ウェブ「でも嬉しいんだろ、それで」
ミッチェル「まあな。クソガキめ」

sanctimonious: Adjective. derogatory. Making a show of being morally superior to other people.

mean-spirited: Adjective. Having or characterized by a malicious or petty spirit.

rarファイルのアセンブラーとリンカー

rarという不自由な圧縮とアーカイブのフォーマットがある。RAR1とRAR2に関しては、自由な実装による復号化だけはできるが、最新のRAR3に関しては、自由な実装の復号化も不可能である。したがってrarは使ってはならない邪悪なフォーマットである。

ところで、このrarフォーマットは興味深いことに独自のプログラムを搭載していて、VMで実行されるらしい。これは、圧縮するデータごとに独自の変換を施して、復号化時に逆変換をかけるような用途に使われているそうだ。

そのVMを解析した結果のアセンブラーとリンカーがGithubで公開されているrar VMのアセンブリは、x86に似ているらしい。

taviso/rarvmtools · GitHub

また、その作者により、このVMを利用して、圧縮時とは違う、hello worldと復号化させるプログラムを搭載したrarファイルも作成されている。

Tavis Ormandy: Fun with Constrained Programming

ただし、rarは圧縮とアーカイブのフォーマットであるので、プログラムのコンパイル時に計算された、プログラムの出力のCRCが、実際のプログラムを実行した結果の出力と合わないと、エラーになる。ただ、CRCというのは意図的にハッシュ値の衝突を起こすことが可能な弱いハッシュアルゴリズムであるので、プログラムの実行時に他のビット列を調整することでCRCを一致させることができる。

rarフォーマットの復号化にはVM上でプログラムを実行させるというと、気になるのはセキュリティだ。ただ、現在のところ、実装に含まれているかもしれないバグを除けば、セキュリティ上の問題はないらしい。

というのも、このVM上のプログラムの入力として与えられるのは、プログラムが含まれるrar内のデータだけであるし、出力はrar内のファイルを復号化した結果となる。また、ひとつのプログラムは2億5千万個の命令を実行した場合、無条件で強制終了される。そのため、無限ループを起こして一生終わらない復号化処理ということもできない。ただし、一つのrarファイルに含まれるプログラムの数は制限されていないので、単にプログラムを分ければ、ある程度の長い実行は可能だ。

2012-09-28

猫の顔認識アルゴリズム

kittydar

猫の顔を認識するアルゴリズムをJavaScriptで実装しているらしい。これでどこに猫がいるのかすぐ分かる。

ちなみに、Hacker Newsのコメントによると、これはかなり古い論文を元に実装されていて、今では、犬や猫の顔を判定する方法には、大幅な精度向上がなされているのだとか。

Pre-Portland mailingについて

Pre-Portland mailingが発行された。

今回も、いつものように簡易レビューをしようとひたすら書いているが、なにせ時期が時期だけに、野心的な新機能の提案が多く、単に「これこれの些細な修正」というだけではないので、紹介と解説をしていて、時間がかかる。まだまだかかる。

よって、もうしばらく待たれよ。

MinecraftのNotch、MSからの特別扱いを一蹴

Microsoftが来たる不自由なWindows 8で、Minecraftを「認定」する手助けをすると開発者のNotchにメールしたところ、Notchはこれを一蹴。オープンなゲームプラットフォームであるPCをやめるなと一喝したという。

邪悪で不自由なWindows 8では、新しいUIや独自のソフトウェア販売網を整備しているが、これがAppleなどと同じく極めて閉鎖的であると非難されている。

そこまで自由の重要性がわかっていながら、なぜ不自由なソフトウェアに留まるのか。

人間よりも人間らしいFPSのBOT

Artificially intelligent game bots pass the Turing test on Turing's centenary

2K Gamesのスポンサーにより開催された、いかに人間らしいUnreal Tournament 2004のBOTを作るかというコンテストで、テキサス大学のチームが優勝した。

審査委員によって、本物の人間も含めて評価した結果、このBOTは人間よりも人間らしいと評価された。

2012-09-24

邪悪なアップルの手にかかれば、ケーブルすらドングル搭載となる

Authentication chips discovered in teardown of Apple's new Lightning connector

邪悪なAppleのiPhone 5の独自規格専用ケーブルを分解したところ、認証チップらしきものがあるという報告が上がっている。つまり、組み込みのドングルだ。

悪もここまでくるとどう罵っていいのか分からない。ただの銅線にドングルとは恐れ入る。

まあ、Appleは以前にもIntelと組んで、ThunderboltとかいうPCIeとUSBを両方混ぜて送れるゲテモノ規格を出しているし、何をしても不思議ではない。しかし、THunderboltは本来光ファイバーのはずが、全然規格として固まらないから、仕方なく銅線で出したとも聞く。

もちろん、このドングルはケーブルのコストを上げるだろう。そのコストは正規品購入者が負担することになる。やれやれ、宗教の信者というのはマゾなのだな。

Mark Shuttleworth: Dashにおけるアマゾン検索について

Mark Shuttleworth » Blog Archive » Amazon search results in the Dash

Ubuntu 12.10では、Dash(画面左上にあるアイコンをクリック、あるいはSuperキーを押せば現れる検索画面)に、アマゾン検索レンズ(レンズとはDash内で個々の検索を提供するソフトウェアの名称)を追加する。

起業家にして宇宙飛行士にしてUbuntuの開発と商用利用を行うCanonicalへの出資者であるMark Shuttleworthが、Dashにアマゾン検索レンズをいれることについて書いている。

アマゾン検索をDashに組み込むことは当然だ。何故ならば、DashのHomeレンズは、あらゆる場所からあらゆるものを発見できるべきだからだ。これからも、Dashはますます賢くなっていくだろう。いずれ、何を聞いても正しく動くようになる。

DashのHomeレンズは、「アレ取ってくれ」ということを実現する。Superキーを押して、何が欲しいのか言えば、その意味するところを解釈して、ソレを与える。もちろん、その検索の幅を狭めることはできる。たとえば、Super-Aを押せばアプリケーションだけを検索できる。しかし、単にクエリーをDashに投げつけた場合、Dashはあらゆる場所から結果を探しだせるほど賢くならねばならない。

12.10では、オンラインとローカル両方を検索する第一歩を踏み出した。Homeレンズはアプリとか音楽などのローカルを表示するのは従来のままに、Amazonの検索結果も表示するようになるのだ。注意されたいがこれは広告ではなく、利用者の検索結果である。我々はいかなる製品やサービスも特別に宣伝したりはしないし、バナーとかスパイウェアのたぐいではない。これは検索結果であって、それがHomeレンズを通して見えるだけだ。なぜならば、検索範囲を狭めていないからだ。

誤解をとくためのQ&A

なぜUbuntuに広告を入れているのか。

Ubuntuに広告は入れていない。DashのHomeレンズにオンライン検索を組み込んでいるだけだ。これにより、Superを押して好きなことを入力すれば動く。やがて、検索範囲がどんどん追加されていけば、正しい答えを返すことができるだろう。

これは広告ではない。なぜならば、設置型ではないからだ。検索に対する、アマゾンの検索結果そのままである。Dashはあらゆるデータに対するスーパー検索となるのだ。現時点では、まだそれほど動的に検索を選択できず、単にローカルとアマゾンを検索しているに過ぎないが、やがて賢くなるだろう。

Amazonの検索なんてしたくない。

Super-Aを使え。Unityに何を検索したいかを性格に伝えられる。将来的には、HOMEレンズからも設定できるようになるだろう。今のDashのレンズバーより簡単になるはずだ。

Homeレンズで検索できるものを制御したい。

私もだ。いつも通り、設計とパッチは歓迎するよ。14.04 LTSなら諸問題は解決済みじゃないかな。それまでは12.04 LTSで待ってるといいよ。俺らはすべてが完璧になるまで待ってられないんでね。というのも、何が完璧なのかを知るためには、人々に、本物の人間に、使ってもらわないといけないんでね。

Ubuntuを変更するなんて信じられん。従来の方法の方が良かった。

また半年たったようだね :-)

また金儲け主義かよ。

我々がまずアマゾンを選んだ理由は、多くの[訳注:Ubuntuの]利用者がアマゾンの利用者でもあるからだ。Amazonの利用が快適になるからね。私も今朝、superを押して"queen marking cage"と入力したよ。養蜂の女王蜂でウォーリーを探せをやるのは難しいね。[訳注:Mark Shuttleworthは最近養蜂に手を出した] Ubuntuは私がAmazonをそのように使うということを反映しているのだよ。Amazonはユーザーへの接触が増え、しかも時間効率がよくホットキーでアクセスできる利点を得られる。

だが、Unityで検索できるのこれだけじゃない。多くはUbuntuにはびた一文支払わない。しかし、我々は聞けば答える仕組みを作るために組み込むつもりだ。私はこれにより、デスクトップがよりよくなると思っている。

なぜアマゾンに俺が何を検索しているのか教えるんだ。

我々は、アマゾンに、君が、何を検索したのか教えてはいない。匿名性は我々がクエリーを中継することにより保たれる。[訳注:おそらくCanonicalがプロクシーとなるのだろう] 我々を信頼しないって? オッホン、我々はrootなのだよ。君は自分のデータにについて、我々をすでに信頼しているのだ。君は、我々がアップデートでシステムをぶっ壊さないことを信頼しているのだ。君はDebianを信頼しているし、多くのオープンソースコミュニティを信頼している。最も重要なことに、君は人間として我々は信頼してるだろう。その、まあ。

要するに、釣り師に餌を与えるなということだ。我々はHOMEレンズをよりよい検索にする感想とか、検索結果を向上するとか、制御の提供に興味があるのだ。

これが一番重要な質問だろう。

CanonicalとUbuntu Communityはこのようなサービスに責任を持てるのか。

まあなんだね、自動的にアップデートされて世界に接続された日々の生活に貢献するモダンなプラットフォームにしたいのならば、これぐらいはできなければならない。できなければ革新はない。そこで、我々はプライバシーポリシーについて議論し、適切な暗号化をし、適切な設定をし、これを世界級にするのだ。

デフォルトでローカルとオンラインを両方検索するというのは、プライバシー上極めて深刻な問題である。そのような機会をみすみす作り出す必要はない。「パッチは歓迎するよ」というのは、うるさい人間を黙らせる常套句だが、この場合、そもそも存在すべきではない機能なのだ。ローカルはローカルで、オンラインはオンラインで、明示的に別の検索が提供されているべきだ。

そういうわけで、12.10では以下のコマンドを実行するのを推奨する。

sudo apt-get remove unity-lens-video unity-scope-video-remote unity-lens-shopping unity-lens-music unity-lens-photos unity-lens-radios

これにより、レンズはHOMEレンズとアプリケーションレンズとファイルレンズだけになる。

Ubuntu 12.10のアマゾン検索の問題は、広告ではなくてプライバシーだ

Ubuntu 12.10では、Dashにアマゾン検索レンズが追加された。あるものは、これを広告であるとして忌避するだろうが、問題は広告ではない。プライバシーだ。

DashのHomeレンズは、ローカルのソフトウェアやファイルを探すのに使われる。Homeレンズは最もよく使うレンズである。Superキーを押せば出てくるし、Dashアイコンを押して出てくるデフォルトだからだ。しかし、Homeレンズは、すべてのレンズに対して検索を実行する。つまり、ローカル上のソフトウェアやファイルを検索しようと思って入力した検索クエリーが、アマゾンの商品検索にも飛ぶことになる。

これはプライバシー上、深刻な問題である。どのようなソフトウェアをインストールしているかとか、どのようなファイルがあるかがアマゾンに知られることになるし、単に存在するだけではなく、Dashで明示的に検索したということも知られることになる。プライバシー上の問題をいささかも見出さずに実装した開発者の常識を疑う。

ローカルとオンラインを暗黙的に同時に広範にわたって検索するというのは、プライバシー上極めて危険だ。

Shuttleworthは、検索はCanonicalのプロクシー経由で行われると言っている。しかし、それで防げるのは、アマゾンによる検索クエリーとIPの紐付けだけであって、肝心の検索クエリーが駄々漏れなのはどうしようもない。また、Canonicalは検索クエリーとIPの紐付けをできる。もちろん、Ubuntuを使うからには、Canonicalは信頼しなければならない。なぜならば、Canonicalは自動アップデートを通じてあらゆる変更を行えるからだ。しかし、無用の個人情報を収集させる機会をわざわざ作り出す必要はない。

ところで、そのプロクシーとの通信は暗号化されているのだろうな。もし、そうでなければ、途中の通信経路が信頼できない場合、悲惨なことになる。

実は、すでにUbuntuのDashには、オンライン検索が入っている。動画検索は、オンライン検索も行うのだ。unity-scope-video-remoteというのがそれで、unity-lens-videoに依存している。私はUbuntuをインストールしてすぐ消したが、なるほど、すでに開発者の常識のなさが現れていたわけか。

したがって、もしUbuntuを使い続けるとしたら、少なくとも、以下を実行しなければならない。

sudo apt-get remove unity-lens-video unity-scope-video-remote unity-lens-shopping

音楽レンズのunity-lens-musicも無用なので消しておいたほうがいい。今はローカルだが、果たして将来はどうなることやら。

少なくとも、Canonicalがプライバシーについて一切考慮しないということが判明した。

2012-09-23

Ubuntu 12.10はデフォルトでAmazonの広告をインストール

Ubuntu 12.10では、デフォルトでショッピングレンズをインストールする。レンズというのは、UnityのDash Homeに表示される、インクリメンタルサーチできるランチャーの名称だ。

Ubuntu -- Details of package unity-lens-shopping in quantal

これは、実質アマゾンの広告である。アマゾンは邪悪で不自由な電子書籍閲覧デバイスのSwindleを提供している企業であり、さらに非人道的で不自由なソフトウェアを多数取り扱っている。そのような邪悪な企業の広告が表示されるのはありえない。

このブログでもアマゾンへのリンクは多数あったと思うが、修正するのが面倒なので消してない。

私は、アマゾンの広告全般に反対しているわけではない。他人の支配下にあるWebサイトで何をリンクしようとも、他人の自由である。実際に広告を表示しているのは、ソフトウェアであるブラウザーなので、ブラウザーを支配下におく利用者が、adblockなどを使えばよい。ただし、OSは、利用者が所有、あるいは支配するコンピューターにインストールするものである。利用者が所有、あるいは支配下においていないコンピューターとは、不特定多数に利用者される、キオスクとして設置されたコンピューターなどだ。OSにデフォルトで広告をインストールするのは、ありえない。

この広告を除去するには、以下を実行する。

sudo apt-get remove unity-lens-shopping

また、Ubuntu 12.10では、ローカル画像とオンラインラジオ用のレンズもインストールされる。

Ubuntu -- Details of package unity-lens-photos in quantal
Ubuntu -- Details of package unity-lens-radios in quantal

すでに、ローカル動画とオンライン動画とローカル音楽のレンズがあるが、それと似たものになるのだろう。

私にとっては必要ないので、これもアンインストールしている。

しかし、これはどうもよろしくない傾向だ。そろそろディストロを変える潮時かもしれない。

2012-09-20

日本の海賊

知ってるか野郎ども。毎年9月19日はTalk Like A Pirate Dayだぜ。すでに日本時間では20日だが、かまうこたぁねぇ。世界的にはまだ継続中だ。そこで、今日は、にわかに海賊気分の俺が日本の海賊について書き散らしてやる。

まあ、対外的には倭寇とか呼ばれてて、主に朝鮮半島あたりをふんどし一丁で荒らしまわってた海賊もいたらしいんだがな、今回語りたいのは主に国内の海賊だ。

古来、日本では航海技術が発達していた。百済を助けるために日本が援軍を送った白村江の戦いは有名だよな。日本の航海技術はそれほど高度だったわけだ。

ただ、少し時代が下ると、どーも水路というのは朝廷からだいぶ疎まれていたらしいんだ。というのも、俺ら海賊というのは大抵、まつろわぬ民だったからな。朝廷とはしょっちゅうケンカばかりしてたもんよ。んだもんだから、租庸調を運ぶのも陸路でいった。この道を舗装するという文化のない日本で陸路なんで馬鹿げているにもほどがあるんだが、まあ、陸路なんて整備したら戦争しやすくなるだけだしな。

で、国内の海賊だが、まあ、瀬戸内海と琵琶湖に結構いたらしいんだよな。ほれ、平家物語でも言うだろ、「近く本朝をうかがふに、承平の将門、天慶の純友、康和の義親、平治の信頼」と。この天慶の純友が、当時、瀬戸内海でブイブイ言わせてた俺ら海賊の先祖だ。まあ、朝廷側から言わせれば、まつろわぬ奴らってわけだ。しかもこの純友のアニキは相当なワルだったらしく、手が付けられないんで、ひとまず官位を与えて懐柔てことで、なんと従五位下に叙せられてる。まあ、奴らの勝手につけた官位なんてしったこっちゃーねーが、悪事に目をつぶって柔和を図るほどの大海賊だったってこった。

んで、網野善彦っつー話せるオヤジによれば、いや、実際、俺は会って話したこたぁねえんだが、鎌倉時代あたりの当時の俺ら海賊には、水の民とでも言うべき、何か水上を統治する独立国みたいな、そういう気概があったらしいんだよ。当時の国内の政府のひとつである朝廷や幕府から言わせりゃ、俺らは海賊なんだろうけど、俺らから言わせりゃ、奴らは日本の中の一政府に過ぎないわけで、こちとら対等な水の上の独立国なわけよ。独立国であるからには通行料ぐらい取るのが当たり前だよな。いや、なにもただむしり取ってたわけじゃねーんだよ。まさか。俺らはそんな乱暴はしねえよ。俺らはお友達だぜ。ちゃんと守ってやるさ。みかじめ料さえ払えばの話だがな。当時の琵琶湖では、海賊の一派にみかじめ料を払って、海賊を一人船に乗せて琵琶湖を行けば、それだけで、他の海賊も手を出さなかったらしいぜ。まあ、海賊がお互いに戦争おっぱじめたら無傷じゃすまんもんな。そこは穏便にいくわな。そういうわけで、当時の海賊はちゃんと守ってやってたんだ。

でも、俺ら水の民は、当時の政府に目をつけられて、厳しく取り締まられ、次第に数を減らしていったらしいんだよな。なんでだよ。侵略じゃねーか。

で、江戸幕府になり、平和な世の中になると、俺ら水の民を撲滅してしまったり、大名に革命の力をつけさせないためとかで、水路というのはほとんど廃止されてしまったんだよ。造船技術とか航海技術とかも引き継がれずじまい。情けないよな。昔、俺ら日本の海賊は太平洋を支配していたんだぜ。それが、物流に水路すらまともに使わなくなってしまったとはな。

で、明治になって船が必要になっても、まともな知識を持った奴がいないもんだから、最初は運任せだったらしいぜ。暴風雨にあったらマストを切り落としたりとかな。阿呆かお前ら。マスト切り落として生き延びたとしても、嵐が収まってどうやって航海を再開するんだよ。まあ、大方は嵐をやり過ごしてもそのまま漂流して、知られずじまいってわけだ。

まあ、しかし、俺らの中に歴史を書き留めておく人間がいなかったのは残念だったな。せっかくの純友のアニキの活躍も、軍記物にはなってない。純友追討記にほんの少しばかり漢文が残ってるだけだ。もし軍記物になってならば、相当な人気が出たはずだぜ。ひょっとしたら平家物語よりも人気だったかもな。

2012-09-19

ひどいニュースをみた

いじめ、警察に無断通報しないで…一貫校の校長 : 社会 : YOMIURI ONLINE(読売新聞)

東京都内の私立中高一貫校で、中学時代に同級生からいじめを受けたとして、警視庁に被害届を出した高校1年の男子生徒(15)が、進級面接で学校側から相談なく警察に通報しないよう求められたことが18日、分かった。

男子生徒は進級の条件として口止めされたと理解し口外しなかった。だが、高校に進級後もいじめが続き、改善は不可能だと判断し、8月に警視庁に暴行容疑で被害届を出した。

男子生徒の母親によると、母親と男子生徒は1月下旬に行われた進級面接で、校長から「(学則を守るなど)誓約書に書かれている事項をふまえて、具体的に守ってもらいたいことがある」と告げられたという。

その際、校長から「生徒にボイスレコーダーを持たせ、校内の人の発言を録音しない」「学校で解決されるべき問題について、学校に相談することなく、警察などへ通報しない」など4項目について守るよう求められた。その後、学校側は、校長が求めた4項目を文書にし、男子生徒側に郵送した。

男子生徒は、中学1年生の頃から、同級生らに更衣室やトイレで暴行を受けるなどのいじめに遭っており、その都度、学校側に相談していたが、解決することはなかった。

いじめを訴え続けたことで昨年9月頃から、学校側が「そういう態度だと進級できない」などと進路への影響を言及していた。そのため、進級面接の際、学校側が求めた4項目について、男子生徒の母親は「進級を条件に『口止め』を要求されたと理解した」と話す。

だが、進級後もいじめが続き、被害届を提出。受理されたのは、中学3年生だった昨年10月、体育祭で同級生から首を絞められたり、腕を殴られたりするいじめに遭ったとする内容。

校長は、読売新聞の取材に対し「確かに学校との協力関係を崩すようなことはしないでほしいという内容の文書は送ったが、進級の条件ではない。『警察に言うな』というのではなく『事前に学校に相談してほしい』という意味だった」と説明した。

この中高一貫校では、中学2年生の男子生徒(13)が同級生からのいじめに遭ったとして、8月から9月にかけ、4件の被害届を警視庁に提出している。

githubをホストするRackspace、いつも通りテキサス州で、特許侵害の申立を受ける

PersonalWeb Technologies et. al. v. Rackspace et. al.

Rackspace accused of patent infringement for hosting Github | Hacker Newsより

PersonalWeb Technologiesという聞いたこともない名前の会社が、いつも通りテキサス州でgithubをホストしているRackspaceを、特許侵害で訴えた。

この他にもPersonalWebはFacebook, Apple, Yahoo, Microsoft, IBMなどといった大企業をことごとく、特許侵害で訴えている。

No-Name Company Sues Internet, Misunderstands GitHub | Wired Enterprise | Wired.com

いい加減に、テキサス州をインターネットの世界から切り離したほうがいい。さらに、無意味な特許を認めるアメリカ合衆国も世界から切り離してはどうか。もちろん、邪悪なソフトウェア特許を認めている日本も切り離したほうがいい。

特許は技術を確信させる目的であると、たいていの国の法には書かれている。しかし、特許はその成立の初めから、技術革新を阻害してきた。

一方、githubはその登場の初めから、技術革新に大いに貢献している。

特許は修正しようのないほど壊れた仕組みである。撤廃する以外に道はない。

2012-09-18

QtとWaylandを用いた斬新なコンポジター

[Phoronix] A Crazy Qt-Based 3D Wayland "Maze" Compositor

Qt 5 based 3D Wayland compositor - YouTube

Wolfenstein 3D風の3D迷路の中に、Waylandのデスクトップを多数配置するデモ要素あふれるコンポジター。

日本書紀の冒頭を読んだ感想

これまで、古事記しか読んでいなかったのだが、日本書紀も読んでみることにした。

まず、特徴的なのが、その編集方法だ。古事記が、ひえだのあれに覚えさせた言葉を一人の博士が書き写したという体裁をとっているのに対し、日本書紀は多人数による編纂作業が行われたらしい。しかも、参考にした文章の異なる部分は、いちいち併記するという形をとっている。そのため、同じような話が何度も続いて、文章としては非常の冗長なのだが、非常に面白い。

問題は、日本書紀は明らかに中国史や儒教からの影響で、改変されているという事だ。たとえば、いざなみがかぐつちを産んで、マンコを火傷して死んだという古事記の部分は、皆同様に、単に火傷して死んだと書かれている。

また、すさのおがあまてらすおおみかみとうけいをする場面では、古事記では、すさのおの持ち物から女子が生まれたのですさのおに悪心なしとされているのに、日本書紀ではどうしたことか、男子を生むことが悪心のない証明といううけいにかわっている。あまてらすおおみかみの持ち物をすさのおが使うと男子が生まれたというものだ。しかし、その後で、道具の使用者ではなく所有者の子供だという記述があるので、やはり不思議だ。おそらく、男優先の儒教に影響されたに違いない。

また、さかはぎのうまを屋根から放り込んで機織りの女を殺すところでは、古事記では驚いた女が道具をマンコにしたたかにあてて死んだと書かれているのに、日本書紀では、やはりその詳細は省かれている。

天の岩戸に引きこもったあまてらすおおみかみを助ける下りでは、ににぎが裸踊りをしたことが古事記に書かれているのに、日本書紀では、単に踊ったとあるだけだ。

少し読んだだけで、多くの違和感を覚える。あまり信頼できない文章だ。

ただし、異説を併記しているのはすばらしい。たとえば、古事記ではおおげつひめを殺したのはすさのおということになっている。しかも、古事記ではなぜかこの部分が浮いている。古事記での配置は、すさのおが追放された後になっているのだが、どうもよくわからない。

日本書紀の一書によると、おおげつひめをころしたのはつくよみであるという。あまてらすおおみかみの勅を奉じておおげつひめの元に向かったつくよみは、口から食物をだすおおげつひめをみて、けがして奉ると思って斬り殺した。帰り上ってあまてらすおおみかみにこの由を報ずると、あまてらすおおみかみは非常に怒り、以来、あまてらすおおみかみとつくよみの中が悪いのだという。これは、昼と夜の区別がある説明にもなるし、これが本来の形だったのではないだろうか。古事記でのつくよみは、名前ぐらいしか出てこない。

ただ、古事記では鼻や尻からも食物を取り出したと書かれているが、日本書紀では、すべて口から取り出す。ただし、日本書紀では、おおげつひめの死体から生じた食物に、食物の名前と、体の部位の名前とで、古代朝鮮語の音が一致しているという注釈がある。古事記ではその一致はない。これもなかなか興味深いことだ。

機能的に同一だが、同一ではない関数テンプレート

テンプレート仮引数が関数テンプレートの仮引数リストや戻り値の型の式の中で参照されている場合、式は関数テンプレートのシグネチャの一部となる。

template < int I >
struct X { } ;

template < int I, int J >
X< I + J > f( X<I>, X<J> ) ; // #1の宣言

template < int K, int L >
X< K + L > f( X<K>, X<L> ) ; // #1の再宣言

template < int I, int J >
X< I - J > f( X<I>, X<J> ) ; // #2、これは#1とは異なる宣言

この時、式を評価した結果が同じだが、式が同一ではないものを、「機能的に同一だが同一ではない」という。機能的に同一だが同一ではない二つの宣言がある場合、ill-formedとなる。no diagnostic is required.

template < int I >
struct X { } ;

template < int I >
void f( X< I + 10 > ) ;

template < int I >
void f( X< I + 1 + 2 + 3 + 4 > ) ; // ill-formed

規格にもあるように、これを判定したり、エラー表示したり警告を出したりする必要はない。私の知る限り、これを判定するC++コンパイラーはない。

日本の法解釈が危険なレベルに達している

「人体食」イベントで男女4人書類送検 局部をフライパンで調理、他人に提供 - MSN産経ニュース

東京都杉並区のライブハウスで今年5月に開催された「人体の一部を食べる」と称するイベントをめぐり、警視庁保安課と杉並署が18日、自分の局部を他人に提供したなどとして、わいせつ物公然陳列の疑いで、相模原市に住むイラストレーターの男(23)と東京都渋谷区に住むダンサーの女(29)ら男女4人を東京地検に書類送検した。

わいせつ物だと。医療的に切除した局部の肉片がわいせつ物ならば、もはや何がわいせつ物でもおかしくはない。

日本の法解釈は危険なレベルに達している。

Clover Trailは忘れろ。時代はValley Viewだ。

[Phoronix] Intel Valley View SDV Powers On With X.Org

やはりというか当然というか、Valley Viewの自由なGNU/Linux用ドライバーが公開された。

2012-09-17

Aliyun OSについて

Is Aliyun OS really Linux? Android? A rip-off of both? | ZDNet

Aliyun OSだが、どの陣営に対してもよろしからぬOSであるという記事が出ている。

まず、Android自体は自由なソフトウェアだが、Androidを使う団体があり、そこに加入する際には、Androidの非互換なforkを作らないという契約をしなければならない。今回のAliyunはそれに違反する。

また、LinuxカーネルはGPLv2だが、Aliyunのソースコードは、現在のところ公開されていないし、公開される気配もない。したがって、GPL違反でもある。

また、Androidのapp storeからソフトウェアを許可無く流用したらしく、さらにGoogleのAndroid用ソフトウェアも無断で搭載しているのだという。

2012-09-16

ものにカメラを取り付けて動かしながら撮影した映像

Hula Cam at Burning Man 2012 - YouTube

フラフープにカメラを取り付けて撮影したらしい。面白い映像だ。

似たような映像としては、剣先にカメラを取り付けて演舞したものがある。

Spin Around - YouTube

2012-09-15

Appleに洗脳された信者の末路

不自由で制限的で非人道的なiPhone 5がもうすぐリリースされようとしている。Appleの営業部門は非常に優秀らしく、信者を洗脳するのがうまい。新しいiPhoneが出るたびに、型番落ちのiPhoneは、一瞬でその価値を失うのだ。

ここで面白い実験がある。なんでも、街角でiPhoneユーザーに、新しいiPhone 5を試させ、現行のiPhone 4Sとどちらが優れているのかたずねた。しかし、iPhone 5はまだ発売されていない。実際に使ったのは、素のiPhone 4である。

しかし、Apple信者は、現行のiPhone 4Sよりも、自称iPhone 5(実際はiPhone 4)の方が、より早く、軽く、しかも大きいと評価した。

信仰は盲目なるかな。

IntelとAMDの新APUがGNU/Linuxをサポートしないこと、GoogleがアリババOSを差し止めたこと

[Phoronix] Intel Shafting Linux Users With Clover Trail: No Support

Intelの次期Atom製品、Clover Trailは、GNU/Linuxをサポートしない。Atomは、省電力なプロセッサーであり、タブレットなどのやや小さいコンピューターに使われている。

現在、ネット上には物事の本質を理解しない議論であふれている。Atomはx86ベースであり、Linuxカーネルの実行を阻害するような機能は含まれていない。問題は、Clover Trailが使っている、サードパーティGPUであるPowerVRに起因する。PowerVRはImaginationからのライセンス品であり、自由なドライバーを作れないし、そもそもGNU/Linux用のドライバー自体がない。

PowerVRの自由なドライバーは、自由ソフトウェア財団でも高優先度プロジェクトに指定されている。

High Priority Free Software Projects — Free Software Foundation — working together for free software

問題は、PowerVRを使って開発するには、Imaginationの理不尽な契約に同意しなければならない。その契約は、PowerVRの詳細を公開することや、PowerVRの自由なドライバーの開発を禁じている。そのため、PowerVRの自由なドライバーを開発する知識のある人間は、ことごとく契約により開発できない。このために、ソフトウェアのNDAは邪悪であり、決して同意してはならない。そのような理不尽な契約を強いてなぜ売れるのかというと、いまのところ、ライセンス可能で極小省電力で性能も悪くないというGPUが、まあPowerVRぐらいしかないためだ。

私から言わせると、PowerVRのような自由をサポートしないGPUを使う製品は、滅びたほうがよいし、ソフトウェア自体にNDAを要求するソフトウェアも滅びたほうがよい。私は大真面目にこれを言っている。もちろん、MS WindowsAppleのMac OSやiOSやPS Vitaのような制限ある製品も含まれる。一般に、ゲーム専用機は制限されていて非人道的であるので所有してはならない。

もっとも、Clover Trailのような邪悪な製品は、次のおなじ市場向けのValley Viewまでのつなぎでしかない。現在の観測によると、Valley ViewはIntel内製の、Ivy Bridgeに搭載されているGPUを使っているとのことだ。すなわち、自由なソフトウェアも動作するだろう。

[Phoronix] AMD "Hondo" APUs May Not Be Too Linux Friendly

AMDのAtomと同じ市場向けのプロセッサーであるHondoも、Linuxカーネルをサポートしない。

これは、Linuxカーネルの動作を阻害する機能があるのではなく、単に公式にLinuxカーネルをサポートしないだけだ。Hondoはx86ベースであるし、また統合GPUもRadeonベースなので、ひょっとしたら動くかもしれない。ただし、現在、AMDのGPU向けの自由なドライバーは、電源管理などの、この市場向けの本質的な機能を欠く。そのため、あまり使い物にはならないだろう。

もはや、ハードウェアは、それ単体では動作しない。ハードウェアを動かすソフトウェアが必要である。ハードウェアを売りながら、適切なソフトウェアを提供しないのであれば、そのハードウェアは文鎮と同じである。単に文鎮を所望ならば、もっと適切な、ソフトウェアが必要なく、電力消費も一切ない優れたハードウェアがたくさんある。

Acer cancels phone launch with Alibaba, allegedly in response to threats from Google | The Verge

GoogleヤクザがアリババOSを搭載した製品の出荷を妨げたらしい。なんでも、「androidのパクリ」だとか。はて、Linuxカーネルを使い、GoogleのコードがApacheライセンスであるandroidの、「パクリ」とはどういうことだろう。

推測するに、大方は、特許か商標で自由を阻害しているのだろう。Linuxカーネルは時代遅れのGPLv2や、弱い許諾的ライセンスだからそういう理不尽なことが起きるのだ。やはり、真に強い自由なライセンスであるGPLv3を使わねばならない。

2012-09-14

LLVM 3.2が年内に出るかも

[Phoronix] Planning For The LLVM 3.2 Release This Year

LLVM 3.2は、年内のリリースに向けて調整が進んでいるようだ。

ターミネーターの歴史改変

ターミネーターという映画がある。現在、ターミネーター4まで出ているが、特にパラドックスで問題になるのは、1から3までの作品だ。

ターミネーターのあらすじは以下のようなものである。

未来では、人工知能として開発されたスカイネットが自己認識するに至り、すべての機械が人間に対して反乱を起こした。革命を起こした日を、審判の日と呼ぶ。ジョン・コナーは抵抗軍の指導者として機械との戦いを指導し、ついに機械を打ち負かそうとする。追い詰められたスカイネットは、タイムマシンを発明し、歴史を改変してジョン・コナーの存在を消すため、機械の暗殺者であるターミネーターを過去に送り込む。一方、抵抗軍も護衛を過去に送り込む。

最初の作品ターミネーター(T1)では、スカイネットはジョン・コナーの母親であるサラ・コナーを暗殺するべくT-800を送り込んだが、阻止された。

ただし、未来からターミネーターがもたらされたため、歴史が変わってしまった。

ターミネーター2(T2)では、未来から送り込まれたT-800を解析した結果、スカイネットの完成が早まり、結果として審判の日も早くきた。しかし、ジョン・コナーが抵抗軍の主導者となり、機械を追い詰める未来は変わらなかったらしく、追い詰められたスカイネットは、この時間軸でもやはりタイムマシンを発明し、少年ジョン・コナーを暗殺するべくT-1000を送り込む。一方、革命軍もT-800を鹵獲し、護衛として過去に送り込む。結果として、暗殺は阻止され、T1のときのT-800の残骸や解析結果も消され、T2のT-800も溶鉱炉に落ちた。Hasta La Vista, Baby!

しかし、これでも審判の日は回避出来なかった。

ターミネーター3(T3)では、かろうじて残ったバックアップの解析結果などから、やはりスカイネットが作られた。しかも、今度のスカイネットは、全世界の軍事民間のコンピューター上で動く、P2P型の集合体としてであり、潰すことができなくなった。しかし、T2によって改変された時間軸でも、やはりジョン・コナーは抵抗軍を率いてスカイネットを追い詰めたらしい。スカイネットはまたもやタイムマシンを発明し、青年ジョン・コナーを暗殺すべくT-Xを送り込む。それを阻止するため、鹵獲したT-850が抵抗軍により送り込まれる。

参考:Timeline - Terminator Wiki

ちなみに、映画の出来は、ターミネーター2が最高だ。初回よりも面白い。とりあえずどれか一つだけみるのならば、ターミネーター2をみるべきだ。ターミネーター3はセルフパロディに成り下がっている。ターミネーター4は、知らん。

ドラえもんのタイムマシン解釈

ドラえもんには、タイムマシンが存在する。ドラえもんは未来から歴史を改変するためにやってきたロボットであり、当然、時間旅行に関わる話がたくさん出てくる。その過程で、多数のパラドックスが存在する。

たとえば、第一話で語られる、歴史改変前の未来がある。長い連載と原作者以外の者の手による作品により、未来の詳細の細部は異なるが、概ね次のようなものである。

本来の時間軸におけるのび太は、現在と同じく未来もまるでダメで、就職に失敗し、それならばと起業するが、これも失敗する。ジャイ子と結婚し、子孫を残しているものの、末代になっても借金が残っている。

このため、子孫のセワシは歴史を改変するべく、タイムマシンで猫型ロボットを送り込む。

マンガ第一話ののび太ですら指摘するように、過去を改変するとセワシは存在しなくなるのではないかという疑問には、他で調整して同じような未来にするのだと答えている。

ほんの僅かな違いでも、未来には相当な影響が出るはずなのだが、どうやっているのか。

未来の自分に助けられるパラドックス

ドラえもんの原作マンガや映画で、未来の自分に助けられるという筋書きがよくある。困難な問題に直面し、解決方法がわからない時、すでに解決済みの未来から自分を連れてきて問題を解決させるというものだ。しかし、その問題とは、問題が解決できない場合、未来の自分が救助に来れないような問題なのだ。一体、この未来の自分とやらは何なのか。

未来を延々と先取りするパラドックス

人気漫画、ライオン仮面で、主役のライオン仮面が敵に捕まり絶体絶命というところで終わる。ドラえもんはタイムマシンでいち早く次号を読む。次号では、ライオン仮面の弟のオシシ仮面が登場するが、やはり敵の魔の手に落ちて、火あぶりにされて悲鳴を上げるところで終わる。

ここで、フニャコ・フニャオに頼まれて、更に次号のライオン仮面を未来から調達する。しかし、未来のライオン仮面も、同じように新しい仲間を登場させ、同じように絶体絶命に陥るというものであった。

フニャコ・フニャオは締め切りに追われる多忙な生活が嫌になり、ドラえもんに代筆を頼む。ドラえもんは、未来の次号を取り寄せつつ代筆するが、本当の作者は誰なのか疑問に思う。

どうも、ドラえもんの世界では、未来は常に現在直面している問題を解消しているらしい。そのため、解決方法がわからない問題を解決するのに、未来から自分を引っ張ってきて解決させるという筋書きも多い。その過程で、本当に問題を解決しているのは誰なんだという矛盾が生じる。

ドラえもんとキテレツ大百科のタイムパラドックス

ドラえもんとキテレツ大百科で、覚えている印象深かったタイムパラドックスをメモがわりに。

キテレツは、先祖のキテレツ斎の書き残したタイムマシンの作り方を読んで、タイムマシンを作った。なぜか、キテレツ斎の時代には存在しないはずの電池などの記述に疑問を抱く。さて、出来上がったタイムマシンに乗って過去に行ったところ、タイムマシンが壊れて帰れなくなった。たまたま通りがかったキテレツ斎がタイムマシンを見て直した。その結果、キテレツは現代に戻ることができた。

キテレツ斎は、キテレツのタイムマシンをみて、作り方を記述した。キテレツは、キテレツ斎の記述通りに作った。では、本当にタイムマシンを発明したのは誰。

のび太はしずかちゃんを連れて、タイムマシンで過去へと遊びに行った。しかし、タイムマシンをなくしてしまい、帰れなくなった。ドラえもんはのび太がどの時代に行ったのか知らないので、助けに来ることはできないはずだ。しかし、ドラえもんは助けに来た。一体どうやって居場所を知ったのかと問うのび太の前に、明日ののび太が現れた。ドラえもん曰く「助けだされた明日ののび太に居場所を聞きに行ったのさ」、今日ののび太「では、明日の僕は誰が助けたの?」、明日ののび太「それはもちろん明日の僕さ」、のび太「いや、しかし、明日の僕は今日の僕なわけで、僕が助け出されるためには・・・」。しずか「さっさと帰して」

無性にかっこいいXiki

無性にかっこいいXiki。

trogdoro/xiki · GitHub

現在、Emacs上で動くらしい。またVimへの移植も検討されているのだとか。

まあ、耳目を驚かすことはたしかだが、実際に使いたいかというと、うーむ。

GNU/Linuxで異なるOpenGL実装の混在を可能にするべく議論が進んでいるらしい

[Phoronix] A New Linux OpenGL ABI Is Being Proposed

GNU/LinuxにおけるOpenGLの実装は厄介だ。なぜならば、GPUベンダーごとに独自のlibGL.so.1を提供しなければならないからだ。つまり、同時に複数のOpenGL実装を混在させることはできない。

現在、libGL.so.1は、実際の実装へのディスパッチをするものに変えようという議論が進んでいるらしい。

2012-09-13

中国にはいまだに文明が存在しないな

頭押さえつけ取材対応を妨害 中国公安当局 - MSN産経ニュース

【北京=川越一】日本政府による尖閣諸島国有化を受け北京入りしていた外務省の杉山晋輔アジア大洋州局長が12日、中国外務省の羅照輝アジア局長らとの会談後、市内のホテル前で報道陣に対応しようとしたところ、公安当局などに妨害された。

当局は突然、現場に警察車両で乗り付け、取材活動を許可しない旨を日本大使館関係者に通告。警備員らが杉山局長の頭を押さえつけて車に押し込み、報道陣との接触を妨げた。

空港で取材に応じた杉山局長は「あらゆる形で意思疎通を続け、強化していくことが重要という点では一致した」と述べたが、会談の詳細な内容には言及しなかった。

礼を知らず。まあ、もっとも中国人にしてみれば、周囲は取るに足らない夷だが。

森鴎外と最初の妻、気性合わずと書いた妻の兄の手紙が発見される

森鴎外 最初の妻と“全く気性あわず” NHKニュース

文豪、森鴎外の1人目の妻の兄が書いたとみられる手紙が、静岡県磐田市で見つかり、鴎外が妻と性格が合わず、文筆活動の妨げになっていると話していたことなど、離婚に至ったいきさつをうかがわせる記述があることが分かりました。

これは森鴎外の1人目の妻、登志子の磐田市に住む親族が保管していたもので、ことし6月から地元の研究者らが調べていました。

縦24センチ、横16センチほどの和紙6枚に毛筆で書かれていて、調査の結果、登志子の兄が父親に宛てた手紙の下書きとみられることが分かりました。

この中では、鴎外が登志子との関係について、「全く気性あわず」と話していることや「筆硯の妨げにもなる」と文筆活動への影響を訴えていることが、知人から聞いた話として記されています。 また、鴎外が家を借りて別居を始めたことが記される一方で、「決して離婚などはしない」と鴎外が話していると書かれていました。

森鴎外は明治22年に登志子と結婚したものの、その後、別居し、結婚から2年もたたずに離婚したとされていますが、別居を始めた当初は離婚の意思がなかったことがうかがえます。

手紙を調べた元高校教諭の杉本完治さんは、「離婚が作品にどのように影響したかは分からないが、鴎外の人生の一部に光を当てるものだ」と話していました。

この手紙は、今月15日から来月14日まで磐田市にある旧赤松家記念館で展示されます。

あんな奴と気性のあうやつなんてそうそういないぞ。

自称潔癖症だが風呂嫌い。洋行して微生物を顕微鏡で見たのがトラウマになったのか、なんでも大量の砂糖を使えば殺菌できるという不思議な持論を保持。好物はまんじゅうのお茶漬け。

脚気が栄養不足によるものだという説を、具体的な証拠が上がってもちゃちな自尊心から認めず、最も日本軍を悩ませた人間。自尊心だけは異様に高く、軍服を着ているとき、文壇仲間から声をかけられても、「軽々しく声をかけるな」と傲慢一喝。

日本語表記についても保守的。仮名遣いはともかく、長音記号すら認めないという一徹ぶり。

ただ、文章は悪くないし、ファウストの翻訳も、いまだに森鴎外訳を超えるものはない。

2012-09-11

SVGの起源

Secret Origin of SVG - SVG

Web上で使えるベクトルグラフィックフォーマットの必要性は早くから認識されていた。そこで、W3Cが1996年に公募したところ、1998年には、六種類の競合するフォーマットが集まった。

それぞれに違っており、またフォーマットを背後についている組織の思惑も様々だった。たとえば、Adobeは、PGMLは提案に過ぎず、W3Cでの変更は喜んで受け入れるという姿勢だったし、Microsoftは、VMLはすでに実装されて出荷された製品のドキュメントであり、W3Cが変更することはできない、という姿勢だった。

結局、W3Cは公募されたフォーマットを選ぶことなく、またどれかを改良することもなく、独自にフォーマットであるSVGを策定することになった。既存のフォーマットは当然SVGに多大な影響を与えた。

結局、まともに実装が下々の利用者にまで提供されて、使えるようになったのは、ここ数年の話だ。

xkcd: Flash Games

xkcd: Flash Games

「お、たぶんわかったぞ」
「よし、もう一時間遊ぼう」

世界一強力なゲームシステムであろうとも、小さなブラウザー内のFlashゲームにはかなわない。

けだし真実。

2012-09-10

明示的特殊化のややこしさ

クラステンプレートは、明示的特殊化できる。クラステンプレートのメンバーは、明示的特殊化できる。このとき、クラステンプレートの明示的特殊化のメンバーの定義と、クラステンプレートのメンバーの明示的特殊化が、似ているのに微妙に違うので、非常にややこしい。

// プライマリークラステンプレート
template < typename T >
struct X
{
    void f() ;
} ;

// プライマリークラステンプレートのメンバーの定義
template < typename T >
void X<T>::f() { }


// クラステンプレートの明示的特殊化
template < >
struct X<int>
{
    void f() ;
} ;

// 上記のクラステンプレートの明示的特殊化のメンバーの定義
// 明示的特殊化ではない
// template < >を記述するとエラー
void X<int>::f() { } 


// クラステンプレートのメンバーの明示的特殊化
// template < >の記述が必要。
template < >
void X<char>::f() { }

方や明示的特殊化ではなく、方や明示的特殊化なので、このような違いが出るのだが、はために見ると非常に似ていて、ややこしい。

IE10のDNT(トラックすんなよヘッダー)、Apacheで無視されることになり議論勃発

Apache does not tolerate deliberate abuse of open standards · a381ff3 · apache/httpd · GitHub

Apacheの変更で、設計上の欠陥があるDNT(トラックすんなよヘッダー)は、IE10の場合、無視されることになった。これは、クソな規格上、利用者の明示的なDNTの意思表示を求めているためで、デフォルトでDNTを有効にするIE10は、規格違反のブラウザーであるとのことだ。

コミットしたのは AdobeのRoy Fielding、DNTの規格考案者でもある。

DNT(トラックすんなよ、絶対すんなよヘッダー)は技術的に間違っている。もし、ユーザーがcookieと同等技術によるトラッキングを防ぎたいと思えば、cookieを無効にし、Flashを無効にし、localstorageを無効にし、その他、同様の機能を提供するブラウザーの機能とプラグインをすべて無効にするべきである。DNT(トラックすんなよヘッダー)は、そういう当然の対応をせずに、単に意思表示をしているに過ぎない。意思表示だけで相手の行為が防げるはずがないし、たとえ法律で重罪に規定したところで、防げるはずがない。もし防げるとするならば、家に一切鍵をかけず、開け放したままで、「家に鍵なし、貴重品並びに現金あり、爾盗むなかれ」と書いた看板を立てておくといい。鍵をかけずとも窃盗は成立するので、定めし法律が守ってくれることだろう。

IE10のデフォルト設定に怒り、Apacheのデフォルト設定で対抗するのは、本末転倒だとは思わないのか。しかもこれは、まったく技術上の問題ではなく、政治上の問題なのだ。

いいか、この記事は、はてぶもTwitterでのリンクも禁止だかんな。リンクすんなよ、絶対すんなよ。

2012-09-09

無責任な取り下げ要求には罰を与えるべきではないか

Should Bogus Copyright Takedown Senders Be Punished? | TorrentFreak

インターネット上の著作権侵害の申立による取下げ要求は、あまりにも無責任すぎる。何故ならば、著作権保有団体は自動的に取り下げ要求を送っているからだ。Googleによれば、同社に送られてくる実に37%ものDMCA取り下げ要求は、根拠のないものだという。

彼らは、自分が著作権を所有しないものに、不正かつ無責任に著作権を主張し、取り下げ要求を出している。これは虚偽であり、罰せられるべきではないか。

現在いくつかの国で行われていて、TPPやATCAという国際条約で世界的に広めようとしている法に、3ストライク法がある。これは、著作権侵害の警告を三回受けたならば、当人のインターネット接続の権利を取り上げようという法である。

著作権団体が熱烈に押しているくらいだから、3ストライク法は効果があるに違いない。これを不正な著作権の主張にも適用してはどうか。すなわち、不正な取り下げ要求を三回行った者には、それ以降取り下げ要求を出す権利を剥奪するのだ。

まさか著作権団体は反対しまい。

存在自体が非人道的なテレビを保有してはならない

この休日の昼間だというのにNHKの阿呆がテレビの有無を尋ねてきた。先月も来た気がするぞ。調査結果を把握してないのか。テレビに携わる低能の最底辺の人間にC++の参考書を執筆するという崇高な作業が中断されていいはずがない。クソが。

しかも何だ、「あ、テレビ保有していないんですね」とは。一体どういう言語感覚をしているのだ。核兵器か。

もっとも、悪法により、テレビの所有者は受信の有無にかかわらず、契約の自由を有せずNHKに受信料の支払い義務を負うことを考えれば、保有は危険である。

さらに、今のテレビは設計上の欠陥であるDRMを強制し、不自由なソフトウェアの利用を強制する、存在自体が非人道的なシロモノである。したがって、テレビは邪悪であり、一切保有してはならない。

職業に貴賎はある。テレビに携わる人間は最下層だ。

なぜedはクソなのか

edというテキストエディターがある。このテキストエディターはUNIX規格に必須項目として存在し、UNIX互換OSならばどんな環境にも入っている。不自由で制限多きMac OS Xにも、UNIX互換をほとんど気にしないMicrosoft Windowsにも入っている。BusyBoxにすらedはある。

しかし、edは使いづらい。なぜこんなに使いづらいエディターが標準なのだろうか。

と、こう疑問に思い、Wikipediaを読んでみたところ、驚いた。そもそも、当時出力装置といえば、ディスプレイではなく、テレタイプだったのだ。

Teleprinter - Wikipedia, the free encyclopedia

テレタイプとは、ロール紙に一行づつ印字する出力装置である。

印字速度は極めて遅い。ただし、出力したものは、紙という物理的な記録となって残るので、後から読み返すことができる。

なるほど、WYSIWYGではなく、テキスト全体を表示することもなく、行単位で動作し、さらにコマンドも暗号のように短いというedの実装は、理由あることだったのだな。何をタイプしたかは、すでに出力された紙を読めば一目瞭然であるし、印字速度が極めて遅いので、わざわざ長ったらしいコマンドなど入力したくはない。一度更新すると全体を表示するなど、紙と時間のムダだ。

やれやれ、先の時代精神とやらは理解できない。しかも、これは大昔というわけではない。一世代前の人間、若い時からコンピューターの一線で活躍していた今の50代後半の人間なら、テレタイプを使っていた可能性があるのだ。いま、50代の人間で、未だに第一線で活躍している者は稀である。

およそ伝説のプログラマーと呼ばれる人間は、今ほとんどが第一線を引退している。なるほど、テレタイプが当たり前だった自体からコンピューターに親しんでいるならば、もはや第一線で活躍するなど不可能に近い。当時の常識は今の非常識だ。

さて、これは困った。30年後にプログラミングを続けている自信がない。

AMD Catalystはブラックリスト行きのジャンク

[Phoronix] AMD Catalyst For Linux On The "Blacklist Of Junk"

Phoronixによると、1996年からLinuxに携わっており、今とあるウインドウマネージャーに関わっているある名前の公開されていない開発者がメールで曰く、「AMD Catalystはブラックリスト入りのジャンク」だそうだ。

linuxにおけるOpenGLのドライバーやライブラリはどれも貧弱だ。長年の経験から言うと、一番マシなのはnVidiaのクローズドドライバーだ。Intelのドライバーはそれに次ぐ。ATIのfglrxは最下位だ。俺にとってはブラックリスト行きのジャンクだ。あんまりにもクソなので、同じ部屋にあるのも我慢ならん。

俺が最初X11のcompositorを書いた時、俺は二週間も、なぜかtexture-from-pixmapが何もしないという現象に悩まされた。見つかるコードや資料は全部読んだ。二週間後、俺はある賭けを試してみることにした。プログラムを"compiz"という名前に変えてみたところ、なんと動き出した。ドライバーは、プロセスの名前がcompizでない限り、この基礎的な機能を完全に無効化しているのだ。これがgflrxドライバーだ。こいつは永久に俺のブラックリスト行きだ。

2012-09-08

新しいPCの皮算用

新しいPCを買う金はないが、最近のハードウェア事情に遅れてはならないと思い、久しぶりに状況を調べてみた。

まずディスプレイだ。私は早くから大きなディスプレイを購入した。当時はまだ高かったが、結局、我々はPCとのやり取りをディスプレイで行なっているわけで、より多くのピクセルを使ってやり取りするのは効率がよく、値段分の価値はあると考えたためだ。大きさは24インチで解像度が1920x1200、値段は当時、10万前後した。いま、似たようなスペックのディスプレイは、解像度さえ1920x1080を我慢すれば、それこそ2万以下で買える。ディスプレイの進化は遅いが、少なくとも値段はだいぶ下がった。

では、もし今、ある程度の金があるとしたらどのディスプレイを買うべきなのか。思うに、DellのU2713HMが、コストパフォーマンスに優れていいのではないかと思う。

LED搭載デル デジタルハイエンドシリーズU2713HM 27インチモニタの詳細

次にキーボードだ。今、私はREALFORCE106を使っている。これは悪くないキーボードだが、日本語配列で、しかもSuperキーがついていない。それはキー割り当てを変更すれば、ある程度は解消できる。問題は、テンキーが存在することだ。テンキーは不要であり、無駄にスペースを取る。それに、やはり英語配列のほうが、Enterなどのキーの形からして使いやすい。また、PS/2であることも、将来性に少々不安を感じる。なぜPS/2かというと、当時、私はまだUSBキーボードを十分に信頼していなかったのだ。

思うに、同じく東プレのRealforce86Uは、英語配列でSuperキーもあり、テンキーがないので、なかなかよさそうだ。

Realforce86U

CPUはどうか。CPUは、ほとんど進化していない。純粋なコアあたりのパフォーマンスは、ほんの僅かしか向上していない。それでも、最新のゲームを実行したり、ClangやGCC、Firefox、Chromiumといった大規模なソフトウェアをビルドする場合には、だいぶ違いが出てくる。残念ながら自由なソフトウェアで、それほどCPUのパフォーマンスが問題になるゲームは稀であるし、また、自前でビルドしているソフトウェアは、今のところClangしかないが、やはり早いCPUは欲しい。

私は宣伝に力を入れているだけで主流となっているものが嫌いだ。もちろん、主流となっているものには、それだけ利用者が多く、利点も多いが、やはり実力が伴っていなければならない。それ故、私の最初のPCのCPUには、AthlonXPを選択した。当時はAMDの方が優れていたからだ。5年ほど前に買った今使っているPCは、Core2Quadだ。現状を観察するに、やはり今PCを買うとしたら、IntelのIvy Bridgeを選択するだろう。ここしばらく、Intelの一人勝ちが続いている。このような競争のない市場は、Intelを増長させるのであまり好ましくない。AMDにも頑張って欲しいところだが、あまりいい噂を聞かない。

GPUはどうか。私は長らくnVidiaの信者だったが、GNU/Linuxに移行して、nVidiaは見限った。もうnVidiaを買うことはないだろう。今注目しているのは、CPUに統合されたGPUだ。たしかに、今はまだCPUに統合されたGPUのパフォーマンスは、専用グラフィックカードに比べて劣っている。しかし、将来は、パフォーマンスの差が気にならなくなるだろう。専用グラフィックカードとの絶対的なパフォーマンス差はどうしようもないが、今Core2Quadでも、通常の作業では、最新のIvy Bridgeとさほどパフォーマンスの問題を意識しないように、GPUのパフォーマンス差も、意識しない時代がすぐにやって来る。つまり、GPUのパフォーマンス向上が止まるのだ。

Intelの統合GPUに期待できる点は、IntelのGNU/Linuxへの対応は、Intel公式に自由なソフトウェアへの貢献という形で行われていることだ。つまり、バイナリブロブがいらない。実に、今の私のPCで唯一のソースコードが入手できないソフトウェアは、nVidiaの邪悪な制限ドライバーだけなのだ。

メモリーはどうか。今の私のPCはDDR2だ。速度でも容量でも、やはりDDR3に見劣りする。しかし、DDR4はそろそろ登場しそうな気がするのだが、なかなか難しそうだ。Intelも、DDR4のサポートは、Skylakeあたりでと考えているらしく、2015年頃には一般にも入手できるようになっているのではないだろうか。

DDR3は、2005年の時点で、「すでに3年開発している」と発表され、2008年あたりから一般的になった。とすると、一般人が入手できるまでに、都合6年間ほどかかっているわけだ。

DDR4は、2005年から開発を開始すると発表され、いまだに一般人が入手できる状況にない。2015年に入手できるようになるとすると、10年かかる計算になる。

メモリーの開発というのは、だいぶ長期的なものだ。ただ、グラフィック用のGDDRは、だいぶ頻繁に更新されているが。

ストレージはどうか。今、デスクトップでは二種類のストレージが主流である。回転する磁気円盤のHDDと、NANDフラッシュのSSDである。思うに、NANDフラッシュは、もうこれ以上大した発展がないのではないかと思う。というのも、これ以上微細化したり、セルあたりのビット数を上げたりすると、書き換え可能回数が千回以下に落ち込んでしまい、いかにソフトウェアで書き込みを工夫しようとも、どうしようもなくなるからだ。したがって、SSDは次世代のフラッシュメモリーの登場を待つしかない。

私はハードウェアに関しては保守的な人間なので、まだまだ信頼性の点で、HDDが優れていると思う。さらに、容量の点でも優れているし、まだHDDの容量を伸ばす余地があるとも聞いている。レーザーを当ててディスクを一瞬加熱するという、簡潔に書くと荒唐無稽な技術であるが、まだまだHDDに未来はある。

リムーバルストレージは、USB接続のフラッシュメモリに一本化されるだろう。まだ時代の流れに気がついていない人間のために予言するが、回転式の光学ディスクは、近い将来死に絶える。もはや、PCにCDやDVDやBDドライブを搭載する理由はない。無駄である。

ただ、小型のデバイスのために、カード型のフラッシュメモリーは今後しばらく存続するだろう。

.Xmodmapを編集して無変換キーをSuperキーにする方法

.Xmodmapはよくわからない。とりあえず以下のようにすれば動くようだ。

keycode 102 = Super_L Super_R

邪悪なクリエイティブ・コモンズで起こるべくしておきた事件

Internet Brands Sues People For Forking Under CC BY-SA - Slashdot

CC-BY-SAでライセンスされているWikitravelのコミュニティが、forkしてWikimediaに移行することを決定した。すると、Wikitravelは訴訟を持ちだした。

CC-BY-SAはforkできるライセンスである。唯一の条件は、同じライセンスのもとで公開することだけだ。WikitravelはCC-BY-SAが何なのかわかっていないようだ。

これは、起こるべくしておきた事件である。というのも、クリエイティブ・コモンズは邪悪だからだ。クリエイティブ・コモンズというライセンスはなく、CC-BYとかCC-BY-SAとか、ひどいのになると、CC-BY-NCとかCC-BY-NDなどがある。これらのライセンスは、お互いに非互換であるにも関わらず、同じクリエイティブ・コモンズという名前で知られている。そのため、クリエイティブ・コモンズと言っただけではどのライセンスなのかわからないし、また詳細はしばしば省かれるため、詳しいライセンスが誤解される。

非互換のライセンスには、明確に区別できる別の名前をつけるべきだ。たとえばNCやNDが入っているライセンスは、アンクリエティブ・コモンズと名付けるべきだ。なぜならば、非人道的な不自由で制限のあるライセンスだからだ。

これがために、クリエイティブ・コモンズは、全体が推奨できない。一部が推奨できないのであれば、不審は全体にかかるのは当然だ。しかも、彼らはクリエイティブ・コモンズが非互換のライセンス集であるということを十分に宣伝していないし、わざと誤解を招くように、単にクリエイティブ・コモンズと称する。甚だ邪悪である。

もはや、この悪はバージョンを上げただけでは解決しない。もしこの問題を解決しようと思ったら、別の名前のライセンスにすべきだ。たとえばGFDLとか。

中国は依然として南面王の国なのだな。

You’ll never be Chinese

中国において、南面王は何もしないのが美徳である。中国では、偉い人間は何もしない。ただ左右の助言に従って事を行うのみ。共産主義、計画主義の国であっても、未だにその美徳は受け継がれている。

記事中では、党が人民を導くのが「忘れられた」としているが、忘れられてなどいない。それが中国の昔からのやり方なのだ。今頃気がついたのだろうか。

反海賊ジャイアンはまだMegaupload、Demonoid、BTjunkieが生きていると思っている

Anti-Piracy Outfits Think Megaupload, Demonoid & BTjunkie Are Still Alive | TorrentFreak

これまで、Googleは自動保管に一部のキーワードを表示しないようにしたり、検索のランキングに著作権違反を反映させるように改良を重ねてきた。しかし、著作権団体はリンクを削除せよという絨毯爆撃をやめようとせず、ついにGoogleをして削除要求の透明化に行わしめ、誰が何を削除要求しているのか公開するに至った。

Copyright Removal Requests – Google Transparency Report

この数日、我々は開示を別の視点から観察した結果、いくつかの世界的に巨大な音楽団体と反海賊会社は、自分の送っている要求が正当なものか確認すらしていないことに気がついた。実に、我々は何十もの要求が、単に存在しない著作物へのリンクの削除を要求していることを発見したのだ。

この2012年を火星で過ごしたのでもなければ、この1月にMegauploadがアメリカ当局により落とされたのを知っているはずだ。数時間のうちに全サイトが完全に抹消され、ニュースは一面記事に載り、今なお載り続けている。

しかし、この誰もが知っているMegauploadがもはや存在しないという事実は、IFPIやBPIやソニーやワーナーやユニバーサルやEMIや出版社同盟やマイクロソフトやアダルト会社のVivid(さらにたくさん)も、知らないはずがない。しかし今日にいたっても、これらの会社はGoogleに取り下げ要求を送り、もはや九ヶ月近くに渡り存在しないMegaupload.com上の著作物へのリンクを削除するよう命令している。

その他、今は存在しないBitTorrentトラッカーのDemonoidやBTjunkie、Oron サイバーロッカー(アップローダー)のOron Cypberlockerに対するDMCA取り下げ要求も、未だに今日も発行されている。

明らかに、反海賊企業は著作物の確認を怠っている。単にGoogleで検索し、何も考えずにそのまま要求を発して、検索巨人が尻拭いをしてくれることを期待しているのだ。

2012-09-07

Gallium3DのDirect3D state trackerがデフォルトでビルド除外になった

[Phoronix] Direct3D In Gallium3D Suffers Bit-Rot, Now Disabled

Gallium3DのDirect3D state trackerはGallium3D上でDirect3D 10/11を直接実装するものであったが、誰も使っていないし、メンテナンスもされていないため、デフォルトでビルド除外になった。

本来の目的としては、Gallium3DをWindows上のドライバーとして使うというものだったのだが、誰もそんなのは実装しなかった。また、WineがDirect3DからOpenGLへの変換をかます必要がなくなるという期待もあったが、Wineは未だに検討だけで、実装をしていない。

実際、今後ますますOpenGLが主流になっていくことは間違いなく。リファレンス実装が不自由なDirect3Dに未来はない。

RMSの自由ソフトウェアの目覚め

RMSの時代のMITでは、自由な文化があった。ソフトウェアは自由に使え、ソースコードも公開されているのが当然だった。そのため、ソフトウェアにバグを見つけた場合、自分で直すことが可能だったし、改造することもできた。

MITには古いプリンターがあった。印刷は遅いし、まっすぐ印刷できずに歪むし、印刷も不鮮明で、しかもよく用紙が詰まった。MITにいる人間は工学技師ではなく、プログラマーだったので、プリンターを修正することは出来なかった。しかし、ソフトウェアは修正できた。そのため紙詰まりを検出すると、今印刷を行なっている人間の画面上に警告を表示させることができた。警告を受けた人間は、すぐさまプリンターのところに行って紙詰まりを解消した。

ある日、ゼロックスの新しいレーザープリンターがやってきた。このプリンターは、印刷が早いし、まっすぐ印刷できるし、印刷も鮮明だった。しかし、やはりときどき、紙詰まりは発生した。MITの人間は、昔のプリンターと同じように、ソフトウェアを改良することで、紙詰まりを検出して警告するようにしようとした。しかし、プリンターのドライバーはバイナリで、ソースコードが提供されていなかったので出来なかった。

そのため、この新しいプリンターの利便性は最悪だった。人間がプリンターの前で、印刷されるところを見張っていないといけなかったのだ。

あるとき、カーネギーメロン大学が、このプリンターのソフトウェアのソースコードを入手したと聞いた。そこでRMSは出かけていき、ソースコードをくれるように頼んだ。しかし、返事は、「渡せない。ソースコードを他人に渡さないよう約束しているから」だった。

このとき、RMSは言い表しがたいほど激怒した。RMSはあまりに激怒したため、何も言わずに後ろを向くと、無言で立ち去った。これが、RMSがNDAと出くわした最初の瞬間だった。

ソフトウェアにおいて、NDAは邪悪である。なぜならば、NDAによって、そのソフトウェアで、他人を助けることができなくなるからだ。ソフトウェアのNDAは利用者を分断する非人道的なものである。

時代の流れには抗いがたく、MITにも不自由なソフトウェアが流れこんできた。コンピューターを更新することになったのだが、その当時のコンピューターのOSは、みなソースコードが提供されておらず、さらに利用にはNDAに同意しなければならないかった。

ここでRMSは戸惑った。もしNDAに同意しなければ、コンピューターを使うことができない。コンピューターを使えなければ、自分はこれ以上プログラミングができない。多くの同僚たちはNDAに同意した。NDAに同意しなければコンピューターが使えないのだから、同意するしかないのだ。RMSはこのことを考えた挙句、NDAへの同意を拒否した。NDAに同意して不自由なソフトウェアを開発すれば、まあそれなりに金を稼げるだろう。しかし、後の人性をふりかえった時、自分は利用者を分断する非人道的な仕事をしていたのだと、絶対に後悔する。そんなことを正当化できるはずがない。

「一体何を考えているんだ。飢え死にするぞ」と同僚たちは言った。たしかに、RMSはこれまで、プログラマーとして人生を歩んできたので、プログラミング以外の能力は全く持っていなかった。しかし、RMSはウェイターとして働けるだろうと考えていた。ウェイターは、少なくとも非人道的な仕事ではない。ただしマクドナルドを除く。

RMSは今後の身の置き方について考えた。このままでは、自分はプログラミングできない。問題は、NDAを結ばなくてもよい、ソースコードが提供されていて、自由に改変もできる、自由なOSがないのだ。ところで、彼の専門は、システムプログラミングである。ならば、自分で自由なOSを作ればいいのではないか。少なくとも、自分のこれまでの経験が無駄にならない生き方だ。

RMSは自由なOSをつくろうと決意した。どのようなOSにするのか。RMSと同僚たちが15年かけて築き上げたPDP-10上のソフトウェア環境は、PDP-10のアセンブリで書いてあるソフトウェアは、すべて時代遅れとなってしまった。これは、PDP-10が、もはや時代遅れになったからである。この悲劇を再び繰り返さぬために、OSは移植性に優れていなければならない。市場を観察すると、UNIXが移植性に優れている。RMSはこれまで、UNIXを触ったことはなかった。しかし、UNIXはまあまあのOSであるので、UNIX互換OSを作ることにした。

OSをつくろうと決意したRMSがまずはじめに行ったのは、MITの職を辞することであった。これは、MITの職員の作成したソフトウェアは、MITが権利を保有することになっていたためである。自由なOSとして、そのようなことは受け入れがたい。ただ、MITの上司は気のいい人間だったので、MITに辞表を出したRMSに対して言った。

「ふーん、辞めるんだ。ところで、鍵はどうする? まだほしいかい」

RMSはそういうことになるとは思わなかったので一瞬戸惑ったが、YESと答えた。こうして、RMSはMITを辞してもなお、MITのコンピューターを使えることになった。

UNIXは巨大なOSである。自由なUNIX互換OSを実現するには、上から下まで全部自前で実装しなければならない。RMSは完全なUNIX互換OSを開発して、そして人々に配ろうと考えていた。

ところで、RMSが二番目に開発したソフトウェアは、Emacsであった。これは、RMSはviが嫌いで、その操作方法を覚えたくなかったからである。RMSはviがあまりにも嫌いだったので、別のコンピューターで、別のエディタを使ってEmacsを開発し、そのコードをUNIXに写してコンパイルしたのだ。Emacsが動くようになり、UNIX上でコードが書けるようになったので、開発がだいぶはかどることになった。

Emacsは、RMSが自分で書いた、RMSが満足するテキストエディターである。人々は、Emacsの価値を認め、完全なGNUが完成しないうちから、Emacsを欲しがった。しかし、まだ当時は、インターネットを持っている人間は稀であったので、Emacsの配布は、磁気テープにコピーされて渡された。

配布が問題だった。RMSは磁気テープにコピーする作業ではなく、コードを書きたかった。そこでRMSは言った。「すでにEmacsを持っている人間からコピーをもらえ。また、150ドル払えば私が磁気テープにコピーして送ってやる」

150ドルはだいぶ高い価格であったが、結構な人間が、オリジナルのコピーをRMSの手から欲しがった。そのため、はからずも自由なソフトウェアで多少は稼ぐことができた。

金があるというのは問題だ。金があると、家とかヨットとか子供とかを欲しがる。しかし、そういうものを買うと、維持費にさらに金がかかるので、より一層金を稼ぐことに努めなければならない。これでは、金を使うのではなくて、金の奴だ。家やヨットならば売ることもできるが、子供は逆出産できない。こういう贅沢な習慣がなければ、金のない生活は苦ではない。

イギリスの通信傍受を待たずしてWikipediaを暗号化せよ

Don’t Wait for the UK Snoopers’ Charter to Pass: Encrypt Wikipedia Now | Electronic Frontier Foundation

イギリス政府は、市民の安全のために、全市民のインターネット通信を傍受収集して解析すべきだと考え、法整備を進めている。これに対してWikipedia創始者のJimmy Walesは、もしイギリスがそんなことをしたならば、イギリス向けのWikipediaはすべて暗号化すると発表した。

Wikipedia founder Jimmy Wales attacks government's 'snooper's charter' | Technology | The Guardian

EFFはこの発表に対し、イギリスを待たずとも、Wikipediaは暗号化すべきだと主張している。これは当然で、もはや古き良き性善説のインターネットは終わり、途中の経路が信頼できない時代になっているのだから、通信傍受のみ鳴らず、悪意ある中継者による改変を防ぐためにも、通信は暗号化すべきだ。

実際、すでに政府は秘密裏に、何らの法手続きも経ずに、市民の通信傍受を行なっている。将来は、HTTPSが当たり前になるだろう。SPDYも暗号を必須にしている。

Ubuntu 12.10がそろそろ登場付記その他のニュース

[Phoronix] Ubuntu 12.10 Beta Released
QuantalQuetzal/TechnicalOverview/Beta1 - Ubuntu Wiki

Ubuntu 12.10のリリースまであと二ヶ月を切った。Ubuntu 12.10は、そのバージョン番号通り、10月の末日までにはリリースされる。今回のISOイメージは、800MBほどあるので、CDに焼くことはできない。USBメモリかDVDを使わなければならない。もっとも、もはや回転式光学メディアを使っている人間などいないだろうから、選択肢はひとつしかないわけだが。

[Phoronix] Clang'ed FreeBSD: Builds Quicker, Uses Way Less RAM

FreeBSDのコンパイラーをClangに置き換えたところ、コンパイル時間とコンパイル時のメモリ消費量の大幅な削減を達成したそうだ。ちなみに、出力されたコードの実行速度は、まだほとんどの例で、GCCの方が優っている。

[Phoronix] Valve's Steam Linux Beta About To Drop?

ValveのUbuntu GNU/Linux向けのSteamクライアントが、そろそろ投下されるのではないかという希望的観測がある。ただし、ValveのSteamは邪悪なDRMという設計上の欠陥がある不自由で制限あるソフトウェアを流通プラットフォームであり、絶対に神聖にして完全なる自由なOS環境への侵入を許してはならない。

[Phoronix] PowerVR KMS/GBM Driver Is Hoped For Release Soon

PowerVRの自由なドライバーが開発されつつあるとのこと。PowerVRの自由なドライバーは、自由ソフトウェア財団の高優先度プロジェクトにも挙げられている。ただし、公式に自由なドライバーのないPowerVRのような劣ったハードウェアは、もとから使うべきではない。

日本語の変化について憂う必要はない

身の振り方を考えるついでに、日本語について考えた - アスペ日記

自然言語は変化するものなのだから、その変化について憂う必要はない。たしかに、日本語は戦後大胆な改革があったが、それでもまだ、憂うには足りない。

実際のところは、戦後の日本語改革でも、特に日本語は簡単になってなどいない。日本語の難易度は、全然変わっていない。

また、昔の日本語との距離が薄れるというのも杞憂である。日本語は世界的に見てもなかなか下位互換性の高い言語であり、千年前の文章が普通に読める。事実、私などはもうまとまった量の現代文などまともに読んでいない。なぜならば、昔書かれて今なお残っている文章のほうが、圧倒的に質がいいことが保証されているからだ。

個々の言葉をみると、流行り廃れはある。それは自然言語として当然のことで、いまさら憂うに当たらない。

たとえば、今から150年ぐらい前に作られた白波五人男など歌舞伎の多くでは、了見という言葉が、勘弁するという意味で使われている。しかし、今誰も、「どうか御了見してくださいませ」などとは言わない。「勘弁してくれ」とか、「許してくれ」などと言う。これをみて、現代日本語が劣っているというのはあたらない。

閉じた環境で独自の言葉が発達するのはよくあることで、初期の2ch.netはネットスラングだらけだった。それが、2ch.netの利用者がしだいに増えていくにつれ、減っていった。これはなにも2ch.netの話ではなく、英語圏でも、インターネット初期はleet speakだらけだった。それが、インターネットの利用者が増えていくにつれ、減っていった。これらのスラングの収集や研究はすべきだが、スラングが死語になったからといって、悲しむにはあたらない。

そういえば、自衛隊は駐屯地や船という閉じた環境で生活しているためか、このような符丁が非常に多い。特に、隊員の中には、駐屯地や船から一歩も出ずに数年を暮らしている者までいるのだ。例を上げると、掌握(しょうあく:荷物を掌握する、人員を掌握する)、喫食(きっしょく:中国は何百年も前から略字として一般的に吃を使っていたので、吃食の方がむしろ正しいのではないかともひそかに思う)、各人(かくじん)、着眼(ちゃくがん:注目点)などといった単語だ。また、このような単語を使うときの助詞や助動詞も、どこか古めかしい。

また、IMEの特性上、漢字表記にランダム性が生じるとか、本来漢字表記すべきではないものも漢字表記されてしまうなどというのも、杞憂に過ぎない。というのは、IMEがなく筆で書いていた昔、漢字表記のばらつきはもっともっと甚だしかったからだ。たとえば、源平盛衰記では、一貫して、「さること」を「猿事」と書いている。当時はあまりにもひどい当て字が多かった。ましてや、一貫した仮名遣いなどは、本当にごく近年の話である。いま出版されている古文の本では、どれも自称「正しい歴史的仮名遣い」に直していると主張している。そんなもの、存在しないというのに。

ところで、「当時」といえば、本来は現在を表す言葉であるのに、あまりにも古文に当時当時と書かれすぎているためか、もはや過去を意味する言葉になっている。過去を意味する「往時」という言葉があるにも関わらずだ。これを日本語の乱れとみるのはあたらない。あまりにも使われすぎたために意味が変わってしまっただけだ。

リンク先に影響されて、特にまとまりのつかない文章を少々書いたが、特に気にする必要のないささいな問題にすぎない。

mozcは、ある点ではMS IMEやATOKより優れていると思うのに、別の点ではどうしてこんな誤変換をという、不思議な誤変換が多い。といっても、今GNU/Linuxで使えるIMEの中で、SKK信者を別にすれば、一番マシなIMEだ。

GPLを日本向けに設計したら再配布を伴わない改変でもGPLへの同意を求められるか

国語の教科書の作者写真に落書きしたら犯罪 ~ホントは怖い同一性保持権侵害~ - @sophizmの日記

日本の著作権法の規定する同一性保持権は、公開、非公開にかかわりなく保護されるらしい。GPLは、受け取る際にGPLに同意する必要はないし、また再配布を伴わなければGPLに同意する必要はない。これは、GPLはアメリカの法で設計されているためであり、また、思想的に受け取る自由を制限していないためである。

しかし、日本には強力な同一性保持権があるので、再配布を伴わない改変でもGPLへの同意を求められるのではないか。GPLを日本の著作権法に基づいて設計すれば、より強力に自由を保証するライセンスになるのではないか。

件のエミュ鯖に関しては、著作権侵害というのが非常に気にかかる。というのも、公式サーバーと同じ挙動をするサーバーは、公式サーバーのソフトウェアを違法に複製したわけではない。ただ外部からプロトコル(規約)を観察し、同じ挙動を示すソフトウェアを実装しただけだ。

hostsファイルの書き換えがそうなのかとも言われているが、hostsファイルは自分の所有物である。

もしこれが同一性保持権の侵害として認められたのならば、ISPによるドメインやIPの検閲は、同一性保持権の侵害であり、検閲された側はよろしく訴えるべきだ。もっとも、検閲自体が悪なのだが。

この事例から分かる結論としては、不自由なソフトウェアは邪悪であり、もはや一切関わってはならないという事だ。不自由なソフトウェアに、もはや未来はない。私はめったに予言をしないが、私の生きているうちに、不自由なソフトウェアは死滅するだろう。なぜならば、誰も不自由で制限されたソフトウェアなど使いたがらなくなっているからだ。

2012-09-06

C++のspecializationはもう少しましな用語を使えなかったものか

C++では、特殊化(specialization)、明示的特殊化(explicit specialization)、部分的特殊化(partial specialization)がある。

このうち、部分的特殊化というのは、全く違う概念である。明示的特殊化に似ているので特殊化という名前がついているものの、あくまで部分的であるので、依然としてテンプレートである。

template < typename T >
struct X ;

template < typename T >
struct X< T * > ;

しかし、明示的特殊化は、完全に特殊化されている。

template < typename T >
struct X ;

template < >
struct X< int > ;

また、特殊化とは、暗黙的に実体化(instantiation)されたものと、明示的に特殊化されたものとの総称である。部分的特殊化とは、特殊化という名前が紛らわしいだけの別物である。

もう少し分かりやすい別の用語を選べなかったものか。

Twitter API 1.1により、Twitterは終了する

New Twitter API Drops Support for RSS, Puts Limits on Third-Party Clients

Twitter API Version 1.1の登場により、Version 1はdeprecatedとなった。1.1では、RSSがサポートされていない。これでTwitterは完全に終了した。終わりの始まりだ。

RSSが提供されているという事は非常に重要である。私はいちいち更新を手動で確認したくないのだ。私は、TwitterはほぼRSS経由で見ていたのに、今後はそれができなくなる。もはやTwitterをやるべき理由はない。

Twitterは、いよいよ邪悪な囲い込みを進めている。心ある者は、すぐに逃げ出さなければならない。

日経は廃業すべき

もうやだ日経産業新聞… on Twitpic

これは、有名なTiobe Indexを参考にしているそうだが、日経は、阿呆か、邪悪な意図をもってすれば、ここまで印象を変えて伝えることができるのだという歴史的資料として保存されるべきであろう。

まず、TIOBE自ら、"The TIOBE Programming Community index is an indicator of the popularity of programming languages. "と言っている。しかし、これは人気度というより、有名度とでも訳すべきである。TIOBE Indexは、大手の検索サイトや質問フォーラムなどで検索をかけた際の量などを参考に算出されている。したがって、人の好みには関わらず、単にインターネット上で多く言及されている言語が上位に来る。

プログラミング言語の表記も嫌になる。C言語はいいとして、Java(ジャバ)、オブジェクティブC、ベーシック、パイソン、パール、ルビー。音訳して何になるというのか。

まあ、ゲーテも言っているように、名前は物事の本質ではない。音訳はまだいいとしよう。しかし、誤った言葉を使うことは許せない。Ratingsを支持率と訳すのは阿呆か邪悪な意図をもっているに違いない。文脈を考えれば、Ratingsは単に割合とか頻度率としか言いようがない。一体頻度をそのまま支持とするとはどういうことか。頻度が高いからといって支持まで高いわけがない。日経の論法を用いれば、「自動四輪車や自動二輪車は、人力の自転車に比べて交通事故による死亡率が高いので、すなわち自動四輪車と自動二輪車は、業務上過失致死の支持率が高い」と言えるだろう。

極めつけは「利用料金」という言葉だ。一体どこのうすらバカのイカレトンチキの包茎野郎がこれを書いたのだ。これは人道上の罪であり、万死をもってもなお償いがたい。

まず、この表は間違っている。無料のC#やBasicの実装は存在する。また、私の知る限り、有料のC言語、Java、C++の実装は存在する。

あるいは、この記事の極悪非道なる全体主義者の筆者は、自由と無料をわざと混同させる目的でこれを書いたのかもしれない。戦争は平和なり。自由は奴隷なり。無知は力なり。

せっかく我らの日本語は、英語のような劣った言葉と違い、自由と無料を意味する言葉が明確に異なる言語であるのに、日経は日本にdouble thinkを蔓延させようと目論んでいる。

結論として、日経は恥を知るならば、これ以上double thinkを蔓延させる前に廃業するべきだ。

あるいは、ハンロンの剃刀で自害するとよい。

2012-09-05

絵本西遊記

絵本西遊記を読み終わった。絵本西遊記は後にして、日本書紀を読もうと思っていたのだが、ふと開くと面白く、一気に二日で読んでしまった。

手に入れた絵本西遊記は、有朋堂文庫のものだ。実に、有朋堂文庫はいい仕事をしている。余計な脚注や解説などは一切ない。また、底本をほとんど修正しない。この仕事の素晴らしさは、いまの出版社も見習うべきである。いまの出版社は、やたらと脚注を増やし、もったいぶって前面に解説を押し出し、はては句読点をあまりに多くうち、かなを漢字に直し、漢字の誤字を正し、等々。挙げればきりがないほど余計な仕事をしている。

まあ、有朋堂文庫は、送りがなを正しているので、少し余計な仕事をしているのは同類だが。

まず不思議なのが名前だ。日本では、三蔵の弟子として、孫悟空、猪八戒、沙悟浄という名前が知られている。

孫悟空は、戦術の師匠である須菩提祖師からもらった法名である。また、自ら斉天大聖と名乗っていた。三蔵からもらった字は、孫行者である。絵本西遊記の地の文では、孫行者か、単に行者と書かれている。

猪八戒は、三蔵からもらった字である。法名は猪悟能といい、これは観音菩薩からもらった。ただし、猪八戒は愛すべきバカであり、地の文は八戒と書くが、しばしば、獃子(あほう)と書かれている。

沙悟浄は、観音菩薩からもらった法名である。三蔵からは沙和尚という字をもらう。地の文では、たいてい沙和尚と書かれている。

これを考えると不思議なのが猪八戒だ。日本では、孫悟空、沙悟浄とも、法名で知られているのに対し、彼一人字で知られている。地の文でも、猪とはあまり書かれず、八戒や獃子と書かれることが多い。

もっとも、獃子と書かれるのはまだマシな方で、かわいそうなのは沙悟浄だ。孫悟空は猿で、猪八戒が顔が豚だと書かれているのに対し、沙悟浄は容姿の描写がほとんどない。ただ、色黒だと書かれているだけだ。絵本西遊記の挿絵では、沙悟浄は普通の人間のむさくるしいオッサンの顔面をしている。非常に扱いがひどい。もっとも日本では、水の妖精というところから、河童の姿で描かれることが多いようだが。

沙悟浄は活躍しない。戦うのはほとんど孫悟空と猪八戒で、沙悟浄は三蔵と馬と行李を守る役だ。ただ、孫悟空は水中ではほとんど戦わないのに対し、沙悟浄は水中での戦いが得意なのだが、その役目も、猪八戒も前世が水軍の天蓬元帥なので、水中での戦いが得意であり、目立たない。

一応、前世は捲簾大将をしていたためか、機転を聞かせて弁舌で難を切り抜ける箇所が二箇所ほどある。ただ、ほとんどの機転をきかす必要のある場面は、孫行者が活躍するので、彼の活躍の場はない。

ただ、その制約のなさから、後世の作品では、沙悟浄は自由に性格設定ができる便利な人物だとして重宝されているようだ。特に、中島敦の作品では、沙悟浄を自分に擬して、あらゆるものの根本の意味について迷う妖怪として書かれている。

それにしても不思議なのは三蔵だ。いかにも中国らしい、偉人は何もしないという美徳を体現したような人物であるが、徳の高い和尚には到底思えない。人を殺すぐらいならば死ぬべきだと説くが、いざ命の危機が迫ると、泣いて助けを乞う。こればかりは、勅命を奉じて天竺に真経を取りに行く使命があるからという事情があるから死ぬわけには行かぬという理由があるしよう。しかし、せっかく孫行者が妖怪の罠だと見ぬいて忠告しても、むしろ怒って暇を与え、結果として窮地に陥ることがたびたびある。まあ、真経を取るために九九(81)の苦難に合わなければならないという都合もあるのだが、なんとも俗人臭い人物である。

結局、外国の宗教を受け入れるためには、その国にあった変容が必要で、支那の場合、仙人思想に変化しなければならなかったのだろう。

vimでカーソルの場所にペーストする方法

vimで複数行をyank(y)してpaste(p)しようとすると、カーソルの位置に挿入されるのではなく、カーソルがある行の次の行にペーストされる。

そうではなく、カーソルのある場所にレジスター内のテキストを挿入したい場合、Insert ModeでCtrl-Rを押せばよい。そうすると、挿入すべきレジスターを指定することができるので"(無名レジスター)とか+(クリップボード)とかを指定すればよい。

なお、このCtrl-Rは、exやcommand modeでも有効なので、コマンドをコピペすることもできる。

2012-09-03

電子書籍に関するなかなか面白い意見

米国における電子書籍の新しい試み 「神待ち家出少女、援助求む」と一緒にしないで! - Market Hack

なかなか面白い意見だったので紹介する。媒体によって表現が変わるのは今更言うまでもないが、最後の部分が面白い。

なぜか今、日本では、メルマガという大昔の媒体が流行っている。しかし、「ただ単に「いま課金が成功している」ということと、未来があるという事は同義では無い」

今の若者はメールなんてほとんどみない。今の若者が行わない文化は、当然将来行われない。

日本には「電子書籍はダメだ、やっぱりメルマガだ!」という、激しくガラパゴっている意見もあるようですけど、ただ単に「いま課金が成功している」ということと、未来があるという事は同義では無いと思うのです。

ドットコム・バブル時代に沢山のIPOを見てきた経験から言わしてもらうと、大体、新しいサービスや商品の普及可能性は、最初飛び出した時の初速、つまりモメンタムで決まってしまいます。メルマガなんて昔からあるサービスで、新鮮味は無いし、表現のプラットフォームとして魅力あるものではありません。

大体、次にどんなサービスが死ぬかを測るには、女子高生あたりの行動を見ればわかると言われますけれど、彼女たちはスマホにしてからメールを以前ほど見なくなっているのではないでしょうか?

メルマガなんて、オジンのツール。

僕なら「神待ち家出少女、援助求む」などという迷惑メールといっしょくたにされる場所で、自分の意見を発信したいとは、思いません。

C++11参考書でのVariadic Templatesを使ったクラスのうまい例が思いつかない

今書いているC++11のコア言語の参考書では、原則としてC++11の文法と機能だけを解説し、その利用方法については範疇ではないという方針だ。しかし、Variadic Templatesに関しては、利用例も説明したほうがいいのではないかと思った。とくに、任意個の実引数を汎用的に扱う方法だけは、説明しておいた方がいいだろう。

function parameter packで汎用的なコードを書くために再帰を使う方法は、もちろん説明するとして、問題は、その利用例だ。関数の場合は、短い実用的な例がいくつも挙げられる。たとえば、単純に実引数を全部、標準出力に出力するといったものや、二つ以上の任意個の実引数を取り、最小あるいは最大の値を返す関数、minやmaxの実装などだ。

しかし、Variadic Templatesクラステンプレートとなると、うまい利用例が思いつかない。というのも、真面目に実装しようとすると、やたらと複雑なテンプレートメタプログラミングの技法が出てくるからだ。もちろん、テンプレートメタプログラミングとしては初歩的な技法に過ぎないのだが、その技法を知らないとわけがわからない。しかし、その技法を解説するのは、やはりそれ専用の本を別に書くべきだ。

いちばんわかりやすいのは簡易的なtupleだ。任意個の実引数をコンストラクターで取ってクラスのデータメンバーとして格納するのは簡単だが、何番目かを指定して取り出すgetの実装が、やたらと長ったらしくなってしまう。メタプログラミングとしては初歩的なものなのだが、やはりメタプログラミングの解説書ではない以上、これを載せるのはどうかと思う。

functionもわかりやすい例だが、やはり実装は長ったらしくなる。

実装自体は、純粋なコア言語の知識だけで書けるので、非常に美しいのだが。

追記:書きなおしてみると、tupleのgetは完結に書けることが判明した。そういえば、規格にtupleのコンパイル時イテレーターとか実行時for_eachがないのはなぜだろう。

GNU/Linuxとデスクトップ

What Killed the Linux Desktop - Miguel de Icaza
Sriram Ramkrishna - Google+ - miguel had a pretty cool post on why the linux desktop…
Torvalds Takes Issue With De Icaza's Linux Desktop Claims - Slashdot

まあ、議論はいろいろあるが、GNOMEやKDEのような巨大なデスクトップ環境が勝手に自爆しているだけじゃないかという気がする。

ドライバーに関しては、カーネル外部のAPIをぶち壊したことはない。カーネル内部はカーネル内部なので自由に変えられる。不自由なドライバーは死ぬべきだ。

Linusの自由なソフトウェアに対する矛盾した態度も感心できない。Linuxは便利ならば何でもいいと考えているのだ。方やリチャード・ストールマンの掲げる自由なソフトウェア運動を批判しながら、また一方では、nVidiaの不自由で消極的な支援も批判する。自分の言動が矛盾しているとわからないのだろうか。

2012-09-02

日本書紀がいまいち面白くない理由

日本書紀の書き下し文を読んでいるのだが、いまいち面白いとは思わない。なぜかと考えてみると、おそらく、訓読のセンスがないからだろう。一方、今主流の古事記の訓読はセンスがある。本居宣長は相当なセンスの持ち主だったのだと、今さらながら思い知らされる。

そもそも、日本書紀は一部支那人によって書かれたらしいし、最初から訓読を想定して書いていないのではないかという気もする。

液体窒素を飲み込んで助かった唯一の例

Student Gulps Into Medical Literature - WPI

液体窒素は、安全に、手のひらの上で転がしたり、口の中に入れて吹き出したりできる。しかし、飲み込んでしまうと危険だ。液体窒素を飲み込んで、素早い治療によって助かった例が一件だけあるそうだ。

2012-09-01

glibcがBusyBoxのsedで動かない理由

glibcのビルドがBusyBoxのsedではうまくいかない理由。

[BusyBox] Why glibc doesn't like busybox sed.

glibc-2.3.2の./configureファイルの、busyboxのsedを拒否ってるところ。

  # Found it, now check the version.
  echo "$as_me:$LINENO: checking version of $SED" >&5
echo $ECHO_N "checking version of $SED... $ECHO_C" >&6
  ac_prog_version=`$SED --version 2>&1 | sed -n 's/^.*GNU sed version 
\([0-9]*\.[0-9.]*\).*$/\1/p'`
  case $ac_prog_version in
    '') ac_prog_version="v. ?.??, bad"; ac_verc_fail=yes;;
    3.0[2-9]*|3.[1-9]*|[4-9]*)
       ac_prog_version="$ac_prog_version, ok"; ac_verc_fail=no;;
    *) ac_prog_version="$ac_prog_version, bad"; ac_verc_fail=yes;;

テストを通過するには、"GNU sed version 3.1"という文字列を返さなければならない。つまり、sedであるだけでは不十分で、GNU sedでなければならないのだ。完全に互換性のある実装だけでは不十分なのだ。コーラのブランドをテストしてる。

正しい修正は、このテストのドタマを割れガラスと釘がいっぱい詰まったバズーカで撃つことだ。なにか意見は?

さらに問題は続く。

[BusyBox] Busybox "expr" is broken.

以下の式は、busyboxとgnuとで異なる挙動をする。

expr "UNKNOWN" \< 5

GNUは5を返すが、BusyBoxは0を返す。このため、perlの検出に失敗する。'perl -V:apiversion'はUNKNOWNを返し、それがperlが古すぎないかどうかの確認に使われている。そして、「お、UNKNOWNは5より小さいな」というわけで、./configureスクリプトはperlを無効化する。

これもsedの問題じゃねーよ。

さらにはこんなクソなworkaroundまで飛び出す始末。

[BusyBox] How to make ./configure happy with busybox's sed version.

これはとても汚いが、まあ./configureスクリプトを騙すことはできる。

--- ../cvs/busybox/editors/sed.c 2004-01-04 00:42:14.000000000 -0600
+++ busybox/editors/sed.c 2004-01-25 12:11:09.426692904 -0600
@@ -1073,6 +1073,14 @@
   bb_perror_msg_and_die("atexit");
 #endif
 
+#define LIE_TO_CONFIGURE
+#ifdef LIE_TO_CONFIGURE
+ if(!strcmp(argv[1],"--version")) {
+  printf("This is not GNU sed version 4.0\n");
+  exit(0);
+ }
+#endif
+
  /* do normal option parsing */
  while ((opt = getopt(argc, argv, "ne:f:")) > 0) {
   switch (opt) {

そもそも諸悪の根源は、glibcのクソなconfigure.inなのだが、それを書き換えるのはだいぶ手間がかかるらしい。

AgigA Tech、不揮発DDR3 DIMMを発表

AgigA Tech Introduces Non-Volatile DDR3 DIMMs

AgigA Techは不揮発DDR3 DIMMを発表した。

これは、メモリモジュールにDRAMとNAND Flashを搭載することにより、電源遮断時にDRAMの内容をフラッシュメモリに退避して保存するもの。退避に必要になる僅かな電力は、内蔵のコンデンサーに蓄えられている。十年間の内容保持を保証。

このようなハイブリッドなものは、それほど一般的になるとは思えないが、まあ需要はあるのかもしれない。

聞くところによると、現在各社が開発に力を注いでいる次世代フラッシュメモリは、不揮発で、現行のDRAMと遜色ないレイテンシーで、しかもSRAMのようにCPU内への組み込みも可能と、なんだか夢のような技術らしい。

オバマのRedditへのAMAがプロパガンダくさい演出を使った疑い

アメリカ合衆国の大統領、バラク・オバマがRedditに、「オバマですが何か?」という、RedditではAMA(I am a...)と呼ばれている投稿をしたことが話題になっている。

I am Barack Obama, President of the United States -- AMA : IAmA

もちろん、これ自体がプロパガンダといえばそれもそうだが、どうもきな臭い演出が行われた疑いがある。

オバマがAMAを投稿してから、5分39秒後にRedditのプロファイルを作成したhmleeというユーザーが、そのきっかり6秒後に、「ロースクール卒だけど仕事が見つからない・・・」というコメントをし、オバマがそれに答えている。

hmlee comments on I am Barack Obama, President of the United States -- AMA

I am recent law school graduate. Despite graduating from a top school, I find myself unemployed with a large student loan debt burden. While I'm sure my immediate prospects will improve in time, it's difficult to be optimistic about the future knowing that my ability to live a productive life -- to have a fulfilling career, to buy a house, to someday raise a family -- is hampered by my debt and the bleak economic outlook for young people. I know that I'm not alone in feeling this way. Many of us are demoralized. Your 2008 campaign was successful in large part due to the efforts of younger demographics. We worked for you, we campaigned for you, and we turned out in record numbers to vote for you. What can I say to encourage those in similar situations as I am to show up again in November? What hope can you offer us for your second term?

私はロースクール卒です。最高の学校を卒業したのに無職で、多額の学生ローンが重荷になっています。この私の問題は時間が解決してくれるでしょうが、今後を楽観視するのは困難です。生産的な人生を送り、満足するキャリアを得、家を買い、家族を持つためには、私の借金と若年層に対する経済問題が横たわっています。これは私だけの問題ではありません。多くの若者が絶望しています。あなたの2008年の政治宣伝は、若年層の支持を得て成功しました。我々はあなたのために働き、あなたのために宣伝し、あなたのために記録的な投票という結果を出しました。来る11月に、同じ事をするにはどうすればいいのですか。あなたの二期にはどのような約束をしてくれますか。

なんと、Redditの時間記録によれば、これだけの複雑でよく推敲されたような文章を6秒で入力したらしい。

オバマは以下のように返している。

PresidentObama comments on I am Barack Obama, President of the United States -- AMA

I understand how tough it is out there for recent grads. You're right - your long term prospects are great, but that doesn't help in the short term. Obviously some of the steps we have taken already help young people at the start of their careers. Because of the health care bill, you can stay on your parent's plan until you're twenty six. Because of our student loan bill, we are lowering the debt burdens that young people have to carry. But the key for your future, and all our futures, is an economy that is growing and creating solid middle class jobs - and that's why the choice in this election is so important. The other party has two ideas for growth - more taxs cuts for the wealthy (paid for by raising tax burdens on the middle class and gutting investments like education) and getting rid of regulations we've put in place to control the excesses on wall street and help consumers. These ideas have been tried, they didnt work, and will make the economy worse. I want to keep promoting advanced manufacturing that will bring jobs back to America, promote all-American energy sources (including wind and solar), keep investing in education and make college more affordable, rebuild our infrastructure, invest in science, and reduce our deficit in a balanced way with prudent spending cuts and higher taxes on folks making more than $250,000/year. I don't promise that this will solve all our immediate economic challenges, but my plans will lay the foundation for long term growth for your generation, and for generations to follow. So don't be discouraged - we didn't get into this fix overnight, and we won't get out overnight, but we are making progress and with your help will make more.

今の情勢が新卒に厳しいことは理解している。あなたの言う通りだ。長期的には展望があるものの、だからといって短期的な希望には結びつかない。明らかに、私の行った政策のいくつかは、あなた達若年層の手助けになるだろう。健康保険法により、あなたは26歳まで両親の保険に留まれる。学生ローン法により、若者が負う借金を低減している。しかし、あなたと我々の将来の鍵となるのは、中間階級の職を生む成長する経済である。そのため、今回の選挙の選択はとても重要だ。他の政党は成長に対して二つのアイディアを持っている。富裕層に対するさらなる税金の引き下げ(中間階級に対する税金の引き上げと教育への投資削減で穴埋めする)と、我々がウォールストリートを規律して消費者を助けるために課した規制の撤廃だ。そのようなアイディアはすでに試みられたが、いずれもうまく行かなかったものであり、経済をさらに悪くする。私は、高度な製造業の維持によりアメリカに職を戻し、アメリカのすべての電力源(風力と太陽光を含む)を支持し、教育への投資を維持して大学をより安価にし、我々の基盤を再構築し、科学に投資し、無意味な支出を抑えることで政府の借金をバランスのとれるところまで減らし、年商250000ドル以上の人への税金を上げる。私はこれらの政策が現在直面する経済問題のすべてを解決するとは約束しないが、私の計画は若年層とそれに続く次世代に長期的な発展をもたらすものである。希望を捨ててはならない。問題の解決は一夜にしてならざりしかば、一夜にしてならざるものであるが、我々は前進しており、あなたの助けにより、さらにうまくいくであろう。

なんとも、あらかじめ完全に推敲されたような複雑な文章で回答している。

さらに、偶然かもしれないが、このhmleeと同じ名前のユーザーは、2008年にオバマ支援ブログを開設している。

erwinthehamsandwich comments on I am Barack Obama, President of the United States -- AMA

さらにhmleeという同じユーザー名を持つ者が、本を紹介するサービスに存在している。そこでは、たしかに法学関係の本が多く並んでいるようだ。

hmlee's books | LibraryThing

さらに、あるSNSで、hmleeと同じユーザー名を持つ者が、自身のプロフィールで、26歳の女性であり、21-36までの男性パートナーを募集していていると書いている。

Hmlee, 女性, 26 | , アメリカ合衆国 | Badoo

さらに、ブログと同じ画像を使っているLinkedInのプロフィールで、司法省のインターンをしていたとの情報も。

果たして、彼女は独自にオバマがRedditにAMAを投稿したのにいち早く気が付き、その場で即座にRedditアカウントを作成し、6秒で上記のような複雑な文章による質問文を書き上げたのだろうか。

あるいは、裏でオバマと連絡がついていて、質問内容や回答をあらかじめ用意しておき、無関係の第三者を装って質問したのであろうか。

londubhawc comments on Obama answers a planted question in his AMA by a user account 4 hours old. Nobody notices/cares.
reddit user does the math and finds one of obama's softballs was made by a user that wrote a paragraph in 6 seconds, and is a former DOJ intern. : bestof

プロパガンダはアメリカの常とはいえ、なんともまぁ。

追記:さらなる考察によると、オバマはRedditに投稿する前にAMA予告をTwitterに出していたそうだ。そこから考えると、このhmleeなるユーザーは、予告をみてあらかじめ質問を書いておいたのではないか。そして、redditでオバマのAMAを見てから、アカウント作成が必要なことに気が付き、急いでアカウントを作って投稿した、とまあ、一応辻褄のあう説明はできる。