2011-07-26

コンピューターウイルスという用語は廃止すべき

慣習的に、malwareを「ウイルス」とか「ワーム」とか「トロイの木馬」などと読んでいる。これは、やめるべきである。結局、これらの言葉は、一般人には理解出来ない専門家が、ある特定のソフトウェアのカテゴリー分けをするために使っていた符牒である。符牒は、一般人に使われることを想定していないのだ。

寿司屋では、「上がり」とか「おあいそ」といった言葉が使われる。これは、「うぉーい、客が()ェるぞぉ。茶ァ出せ茶ァ」とか、「勘定しろぉい」など叫ぶのが、あまりにも客に対してぶあいそであるので、店側の人間だけで通じる、同様の意味を持つ暗号を取り決めたのだ。それが、いつの間にか客側にも広まってしまい、今では、客が「上がり頼むよ」とか「今日はこのへんでおあいそして」などというようになってしまった。本来、客側での使用を想定していない言葉が定着してしまったために、知らないものから見ると、非常に不思議に聞こえるのである。

ウイルス、ワーム、トロイの木馬にも、同じことが言える。これらの用語は、一般人が使うべきではない。英語圏では、すでにこれらの用語は廃れ、今では、マルウェア(malware)という言葉が使われている。これはMalicious Softwareの略である。日本語に直すと、悪意あるソフトウェアとなる。

単に、「彼、ウイルスを保管せしによりて罪せらる」というのは、誤解を招く。正しくは、「彼、ウイルスを邪まに用いんと欲して保管せしによりて罪せらる」と書かれるべきなのだ。しかし、これがもし、「彼、悪意あるソフトウェアを保管せしによりて罪せらる」とあれば、誤解は生じないはずだ。

したがって、ウイルス、ワーム、トロイの木馬といった用語は、使ってはならない。マルウェアも、日本人にはmalfunctionなどと使われるmalという言葉の意味がわからないので、不適である。「悪意のあるソフトウェア」という言葉を用いるのが、最もふさわしい。

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