2011-10-12

下駄の鼻緒が切れた

「下駄の鼻緒が切れると縁起が悪い」という迷信があるが、あれは迷信などではなく、事実である。

私はここ二年ほど、下駄を愛用している。何故いまどき下駄なのかと不振に思う人もいるだろう。これは、特に下駄を履くことによる不利益がないからである。

まず、下駄の値段は数千円であり、通常の安い靴と何ら変わりない。私の使用頻度では、下駄は一年ほど使えるので、この点においても、安物の靴と何ら変わりない。走るのではなく、長距離を行くのでもなければ、靴と比較した場合の不利益がほとんどないと言って差し支えない。

唯一の不利益といえば、下駄を履くと足が汚れるので、玄関先で足を洗ってから上がらなければならないことぐらいだ。歌舞伎や昔の時代劇などで、家に上がる前に、足を拭く動作がみられるのも、このためである。

ところで、今朝、下駄を履いて歩いていると、突然、下駄の鼻緒が切れた。見ると、下駄の歯があまりにも擦り切れていて、鼻緒をかけている縄が地面に接触するようになったため、次第に縄がすり切れていき、とうとう切れたらしい。以前の下駄は、そうなるまえに下駄の歯が完全にすり切れてしまったので、鼻緒が切れる前に買い換えたのだった。

当然、その場で思い当たったのは、「下駄の鼻緒が切れると縁起が悪い」という迷信である。今日、私は、この迷信が、実は事実であるということを身を持って思いしらされた。

下駄の鼻緒が切れたせいで、その下駄を履いて歩けなくなってしまったのだ。仕方なく、私は下駄を脱ぎ、裸足で歩いて帰らざるをえなかった。この不便は、下駄の鼻緒が切れたという事象によってもたらされたものである。下駄の鼻緒が切れたという直接的な理由で不便を被ったのだから、「下駄の鼻緒が切れると縁起が悪い」という迷信は、実は正しいと言える。

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