ふとTwitterをみたら、こんなtweetがretweet経由で目に入った。
この前、金曜ロードショーの次回予告で、耳をすませばに対して「リアルな中学生の恋愛模様を描いた 」とか言ってたけど、リアルさなんかこれっぽっちも無えぞ。どんだけファンタジーだよ!まだ、明日俺がレベル5の超能力に目覚める方がリアルやんけ、分かってんのか!という気分になった。
— ドーモ、じょーかじゃです (@joker1007) July 1, 2013
耳をすませばを当時みた感想としては、あることにものすごい違和感を感じた。主人公が、図書館の紙の図書カードに書かれている借りた人の名前が気になり、そこから恋愛が始まるというところだ。
昔、図書館では本の貸出履歴を記録するために、紙のカードを使っていた。その紙の図書カードは、通常本に挟んでおくので、図書館では誰でも閲覧可能な状態になる。したがって、ある本を誰が借りたのかがまるわかりになる。そんなプライバシーのかけらもない世界が、1995年当時から信じられなかった。
借りた人間の情報を一時的に保管しておくのは分かる。返さず忘れている人間に催促状を送る必要もあるからだ。しかし、なぜ借りた履歴が他人にまるわかりな状態である必要があるのか。
当時、私が物心ついて図書館を利用するようになった時からすでに、借りた人間の情報はコンピューターで管理するようになっていた。コンピューター管理は新たな問題を生む。ちゃんと履歴は不必要になった時点で消されているのかどうかだ。さもなければ、電子化されたプライバシー情報は大規模な統計処理に使えてしまう。その裏側はともかく、本の貸し出し履歴が誰にも公開されるようにはなっていなかった。
映画の「耳をすませば」は、スタジオジブリにより1995年に公開されている。参考のためにリンクしているアマゾンで販売されている製品はDVDであり、CSSという邪悪なDRMを含むので注意。VHSの方にリンクしようかと思ったが、どうせVHSも邪悪なコピーガードノイズを含むだろうから同じだと思って、DVDにした。
その1995年当時でさえ、このプライバシー駄々漏れ状況が理解できなかった。今調べると、「耳をすませば」には、実は原作があるという。少女漫画雑誌のりぼんに1989年8月号から1989年11月号まで連載された柊あおい名義の同名の漫画作品だという。マンガ公開時の1989年の感覚では、紙の図書カードで貸し出し者履歴がダダ漏れなのが一般的だったのだろうか。
また、DREAMS COME TRUEという名前の音楽グループの作品に、「眼鏡越しの空」というものがある。この歌詞に、やはり他人が図書カードの履歴を閲覧しているらしい記述がある。
図書館で借りた 空の写真集
カードに つよくてきれいな あなたの名前がある眼鏡越し空、The Swinging Star(1992)収録
これも恋愛の話だ。この歌は、The Swinging Starという1992年に公開されたアルバムに収録されている。これはどうやら、好きな人間が借りた本なので借りているのだろう。1992年当時、好きな人間の図書館の貸し出し履歴を探すというストーカーまがいの行為がよしとされていたのだろうか。
1990年前後といえば、まだ私は文字の読み書きができるような歳ではなかったし、ほとんど記憶がないので分からない。
もちろん、1990年前後の作品といえども、作っている人間はその年に生まれたのではない。
漫画耳をすばせばの作者柊あおいは1962年生まれ、
眼鏡越しの空の作詞者の吉田美和は1965年生まれ、
どちらも1960年代だ。1960年代に生まれた人間は、好きな人間の図書館の貸し出し履歴を探すというストーカーまがいの行為でプレイバシーダダ漏れの状況に疑問を感じなかったのだろうか。
時代精神というのはよくわからない。
5 comments:
自分が通っていた図書館が電子化されたのは1990年前後だと記憶している。それなりに大規模な地方都市の市営図書館でそれだったので、90年代前半は紙のカードが残っていてもおかしくはない。
あと、小中高と学校の図書館(図書室)はその後も電子化される気配はなかった。学校の図書室の電子化は遅いだろうと推測されるので、90年代中もその慣習が残っていたとしてもおかしくはない。
> 1989年の感覚では、紙の図書カードで貸し出し者履歴がダダ漏れなのが一般的だったのだろうか。
私が大学を卒業した1990年後半でも、その大学の大学図書館では貸出履歴はダダ漏れでしたね。貸出履歴から研究室の人が借りている(もしくは研究室からのお下がりである)のがわかると、「その研究室ではこんな研究しているのか」とわかり、研究室とのミスマッチが起こりにくく良かった意味もありますね。
1990年辺りまでは新聞雑誌にも普通に「売ります買いますコーナー」が有って、住所TELまで載ってた気がしますな。
嗚呼……
「ラジオの製作」に載ったあの痛々しい住所付きの投稿を消し去りたい
私は2000年まで中学に通ってましたけど(年齢がバレますな)紙の貸出カードでしたよ。
私が借りた本の私の名前の真上に、4年前に同じ本を借りた姉の名前があって、「4年間誰も借りてなかったのか」とか「同じ本借りるとか趣味似てるな」とか思ったものです。
色々問題は感じていてはいただろうがなぜ使用されていたのか電子化されてない時代への想像力の貧困さは置いといて…。
プライバシーへの高い意識をお持ちの割にBloggerを使ってられる神経がよくわからんですな。
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