韓国は、政府によるインターネット整備が抜きん出ていた国である。アメリカ合衆国が暗号を武器とみなし、輸出を制限していた頃、鍵長が40bitのSSLに不安を感じ、独自の暗号規格、SEEDを開発した。さらに、法律を制定して、オンライン上の通貨取引には、かならずこの暗号を使わなければならないと定めた。
暗号としてのSEEDは、鍵長が128bit固定であることを除けば、今のところ、大した欠陥は見つかっていないようだ。問題は、その実装にある。
ブラウザー上のSEEDの実装はActive Xのみなのだ。他のブラウザーはサポートしていない。唯一、FirefoxだけがSEEDを実装しているらしいが、暗号としてのSEEDを実装しているだけで、他の部分の規格を実装していないので、それだけでは役に立たない。つまり、韓国でのオンラインでの銀行取引やネットショップなどは、必ずIEを使わければならない。さもなければ、法律違反となる。(AmazonとかPaypalなどはどうしているのだろうか)
つまり、韓国民の大多数は、いまだにMS WindowsとIEに縛られているのだ。
もちろん、韓国政府とて、いい加減に、現状の悲惨さには気がついており、法律を一部改正して、少なくとも三種類のブラウザーをサポートすることを条件として、Active Xプラグインの法律による強制をやめた。しかし、官僚主義の弊害は残っている。
もし、Active Xの使用を辞めたい場合、同等の保護をもたらす政府によって認可された暗号技術を使わなければならない。政府による認可を得るには、該当の部署に届けなければならないが、この部署は、いままでに一度もそのような認可を下したことがない。
まだまだ囲い込みの弊害は続くのである。
思うに、国家の法律制定速度というのは、技術の向上速度に比べて、あまりにも遅いのではないか。そのため、あまりに具体的な指定をすると、すぐに時代遅れの法律になってしまう。
South Korea Still Paying The Price For Embracing Internet Explorer A Decade Ago | Techdirt
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