グラフィックは、ゲームの面白さの本質ではない。しかし、やはりグラフィックは重要である。私が始めた遊んだPCゲームは、Mafiaであった。Mafiaは、当時としては素晴らしいグラフィックであり、私のGeForce 4 Ti4200で快適に動作した。
今から思うと、惜しいことをしたものだ。私はもっと早くからPCゲームに目覚めているべきだったのだ。DoomやWolfenstein 3DやDuke Nukem 3Dなどといった往年の名作ゲームが、今となっては楽しめない。もし当時、これらのゲームに触れていれば、楽しめたはずなのだ。しかし、私の最初のPCゲームはMafiaだったので、それより以前の時代のゲームを楽しめないのだ。これは実に残念なことだと思う。私はThe Elder Scrollsシリーズが好きだが、ArenaやDaggerfallは楽しめない。どちらも、今、公式に無料で提供されているゲームである。また、DOSBoxのようなx86上で動くMS-DOSエミュレーターを使えば、当時とほぼ変わらずに遊べるゲームである。それなのに楽しめない。実に惜しい。
ともかく、最近のゲームのグラフィックの流行は、スクリーンスペースのポストプロセスだろう。なにしろ、どんなシーンでも負荷が予測できる範囲なので、化石並の低スペックなコンソールでも使いやすいのだ。
SSAO(Screen Space Ambient Occlusion)
SSAOは最も有名であろうと思う。Crysis以降、多くのゲームはSSAOを採用した。nVidiaなどは、ドライバー側でSSAOを適用する機能までリリースしたのだ。また、DirectXのラッパーDLLをかませて、既存のゲームにSSAOをかける手法も開発されてきた。Depth Bufferの各ピクセルと、周囲のピクセルの差を比較して、それに応じてやや黒くするポストプロセスである。もちろん、いくらスクリーンスペースと入っても、大まじめに実装しようとするとパフォーマンス上厳しいので、大胆な手抜き方法を使う。見た目に分かりやすい結果としては、面と面が角度をつけて重なり合っているような部分が黒くなる。面白いことに、この効果は、実にうまく人間の脳を騙してくれる。SSAOを古いゲームに適用してみると、急にグラフィックの品質が大幅に向上したように感じる。
ただし、最近は、以前程SSAOが喧伝されなくなっている。代わりに、SSAOっぽい影をテクスチャに最初から書き込んでおく手法もみられる。
ポストプロセスによるアンチエリアス
具体的な名称としては、nVidiaの考案したFXAAが一番有名だが、Crysis 2で使われているSMAA: Enhanced Subpixel Morphological Antialiasingもなかなか面白い。基本的な考え方はどれも同じで、ジャギーをごまかすフィルターである。
そもそも、アンチエリアスの一番分かりやすい目的は、縁のギザギザ、つまりジャギーを目立たなくするというものである。最初に実装されたAAの手法は、目的の解像度より高い解像度で描画して、しかる後に目的の解像度までダウンスケールするというものである。これは原始的だが、最も効果的な方法である。問題は、パフォーマンスが最悪だということだ。今の最新のCPUをつかって、大昔のゲームがやっと動くというほど、パフォーマンス上の問題がある。近代的なゲームに使うことはできない。次に、MSAAというものが実装された。これは、頂点処理だけ高解像度で行い、ピクセルに落としこむ際には、目的の解像度で行うというものである。すくなくとも、ジャギーはだいぶ解消できる。問題は、これも最近のゲームに使うには、ややパフォーマンス上問題がある。
結局、やっていることはジャギーの低減なのだ。ジャギーは縁に発生する。静止画の縁を判定する方法は、大昔から研究されている。だったら、縁を判定して、その部分だけ賢くぼかせば、ジャギーはごまかせるではないか。ということで、FXAAなどのアンチエイリアスは、縁を判定して賢くぼかすピクセルシェーダーのコードで実装されている。
Screen Space Global Illumination、あるいはReal-time Local Reflection
Unreal Engine 3のSamaritanデモで、この技術が披露されている。
また、Crysis 2にDirectX 11パッチを当てると、Real-time Local Reflectionと称して、この技法が使われる。
これも、スクリーンスペースによる反射の実装である。水たまり、テーブル、壁などに、周囲の風景が写り込んでいる。
何にしても、化石スペックのコンソールが足を引っ張りすぎている。テッセレーションを活用したゲームはほとんどない。もっとも、テッセレーションは、その可能性あふれると裏腹に、普通に使っても、それほど見た目にはインパクトがない地味な機能なので、仕方がないのかもしれない。それに、ほとんどのゲームでまともに使っていないので、GPUベンダーもあまり力を入れていないのだと思う。ただし、将来に期待できる。個人的には、Normal MappingやBump Mappingには全然感動できないので、Parallax mappingやDisplacement mappingがもっと使われてほしいものだ。
変わり種としては、Rageが上げられる。伝説のプログラマーJohn Carmackは常に変わったことをする人である。ただし、常に主流の技法からは外れているのだ。今回、Carmackがこだわったのは、テクスチャーだ。Rageでは、使い回しのないテクスチャーを実現している。もちろん、テクスチャーの構築には、デカールを使い回しているが、テクスチャ自体はユニークである。Rageのグラフィックは、序盤の廃墟がすばらしい。ただし、ユニークなテクスチャーは、デザイナーにかなりの負担を強いるらしい。プレイ動画をみても、中盤以降はマップの構成が雑になっているし、ついには長いマップ作成を諦めて、狭い部屋に閉じ込めて、周囲から延々と沸く雑魚敵を相手に戦うような演出でごまかしている。残念なことだ。もう一つ残念なことに、テクスチャーを使いまわさなかったせいで、あんなに短いのに、DVD三枚ほどの容量を必要としている。もちろん、PCならばいまどき20GB程度のサイズは問題にならないが、博物館に陳列されるレベルの低スペックな現行コンソールではかなり問題になる。そして、今時Bump Mappingすらないのだ。まあ、個人的にBump Mappingは価値がわからないのでどうでもいいのだが、やはりないと寂しい物がある。Rageは色々と惜しいゲームであった。
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