2019-11-14

John Carmack、人工汎用知能に取り組むと宣言

John Carmack - Starting this week, I’m moving to a... | Facebook

今日から、OculusのコンサルCTOの立場になる。

まだ開発に口を出すが、そんなに時間は割かない。

残りの時間をどのように費やすべきか。振り返って見るに、私はゲーム、ロケット、VRの分野において成果を上げてきた。ただ、今までは曖昧ではあるが解決策の道筋は見えていた。その当時は非現実的であったりまだ動くと証明されていなかったとしてもだ。そこでたまに考えていたのだが、解決の道筋すら見えない問題に取り組むのはどうだろうと。私が歳を取りすぎる前に挑戦すべき課題であるように思われる。

私は人工汎用知能(Artificial general intelligence, AGI)に取り組むことにした。

AGIは可能で、とても有益で、かつ私は何らかの成果を上げられるのではないかと思っている。そこでPascal’s Mugging(たとえ可能性が極めて低くてもそれによって得られる利益が莫大であれば期待値的には釣り合っているのでやるべきという理屈)に従い、挑戦する。

今のところ、私は「ビクトリア朝時代の紳士科学者」風に研究する。自宅で考え、実践してみるのだ。

AGIの次に取り組むべき価値のある研究は、安価な核融合炉だが、この研究スタイルには合わない課題だろう。

2 comments:

Anonymous said...

AGI の訳語は、意図的に順序を入れ替えた汎用人工知能という語で定着していると思います。

abo_junghichi said...

一見すると良く似た「汎用人工知能」と「人工汎用知能」との違いは、対義語を考えることで分かります。

例えば、「黄色い声」の対義語は何でしょう?
「野太い声」とか「悲鳴」とか、人によって異なるかもしれません。
しかし「声」の範疇にあることは、人によらないはずです。
「黄色い光」が「黄色い声」の対義語になることはありません。
対義語は、元の語とカテゴリーが同じであり、「黄色い『声』」が声のカテゴリーであるように、そのカテゴリーは元の語の語幹で示されます。

同様のことが、「汎用人工知能」「人工汎用知能」の対義語にも言えます。

まず、定着している「汎用人工知能」からいきましょうか。
「汎用『人工知能』」なのですから、その対義語は「人工知能」のカテゴリーに入る「XX人工知能」のはずです。
「汎用」の対義語は「専用」なので「専用人工知能」が対義語となるでしょう。
ここで重要なのは、「汎用」は「専用」より高性能である必要は全くないことです。
いや、もし「汎用」の性能が「専用」を上回ったら、その瞬間に「専用」の存在意義がなくなります。
例えば、浮動小数点演算に於ける、汎用プロセッサと浮動小数点コプロセッサ。
沢山の整数演算で浮動小数点演算はエミュレートできるので、汎用プロセッサでも可能です。
しかし速度の点では、浮動小数点コプロセッサには到底敵いません。
あるいは、一時期研究された「LISPマシン」。
LISPという特定のプログラミング言語を高速に動作させることに特化して作られたプロセッサですが、圧倒的に広い用途から来る圧倒的に多額な開発費を注ぎ込まれた汎用プロセッサと比較すると、特化しているはずのLISPの動作速度で、汎用プロセッサに負けてしまいました。
この瞬間、「LISPマシン」はその存在意義を失ったのです。
従って、動作速度が悲惨であっても汎用性さえあれば、それは「汎用人工知能」だと言えます。
動作速度が問われないのですから、単純なソフトウェア実装のブルートフォースアルゴリズムでも構わないわけで、「汎用人工知能」は疾っくの昔に実現済みの古い技術と言えます。

これに対して「人工『汎用知能』」は厄介です。
「人工」の対義語は「天然」なので「天然汎用知能」が対義語となりますが、天然の汎用知能の典型、最も身近な天然汎用知能は何でしょう?
この記事を読解しているあなた自身ではありませんか!
平たく言えば「天然汎用知能」とは、天然の人間の知能のことです。
ならば、「人工汎用知能」とは、人工の人間の知能のことでしょう。
つまり、「天然」のない「汎用知能」とは人間並の知能ということであり、その水準を「人工汎用知能」は満たさねばなりません。

このように、一見すると良く似た「汎用人工知能」と「人工汎用知能」との間には、圧倒的な技術水準の差があります。
既に定着した腐臭漂う訳語に流されず、原著の意図を救った江添氏の訳に、敬意を表します。