2008-07-22

七月大歌舞伎

二週間続けて、昼夜の松竹座の七月大歌舞伎を見てきたが、なかなか面白い。

まず、おととい見た昼の部、春調娘七種は曽我兄弟の話なのだが、踊りで、あまり面白くない。父親の話では、若いときは舞踏は面白くないものだということであった。何がなんだかさっぱり分からない。おそらくは、曽我兄弟の劇も見ずばなるまい。

木村長門守は、豊臣家と徳川家の講和の話で、家康の血判を取りに良く場面だ。面白かったのは、左團次の演ずる家康で。なんだか人のよい爺さんになっている。

伽羅先代萩は、伊達騒動の話なのだが、この辺の時代背景には明るくないので、いまいちよく分からない。まあ、「お腹がすいてもひもじゅうない」というセリフなど、有名ではあるが。

夜の部は、二週間前に見た。熊谷陣屋は、その名の通り、熊谷の陣屋の話だ。平家物語は、今年の前半に読破していたため、これはとても楽しめた。熊谷の登場の仕方が、花道をノシノシと歩くので、なかなか格好がよい。しかし、梶原はよっぽど嫌われていると見える。この話でも、顔の色が変な、分かりやすい悪役の梶原が出てきて、「見いちゃった。見いちゃった。頼朝に告げてやろ。」という具合にしょうもない人間を演じる。私は判官贔屓というのはどうも嫌いな性なのだ。だいたい義経というのは私の印象では、夜間の行軍が暗すぎるというので、民家に火をつけて、「おう、明るくなったわい」などとげひた笑いをする人間なのだが。まあ、歌舞伎ではやたらと持ち上げるキャラなのだけれど。

さて、黒手組曲輪達引だが、これは助六の同人である。ドコにオリジナリティがあるんだというぐらいパクっている作品だ。権九郎の阿呆の演技があるのだが、この所作がいちいち面白い。元々パロディなので、ネタも取り入れやすいのか、川に落ちた権九郎が、鴨に食われて命だけは助かったといいながら、鴨の着ぐるみで登場したり、カーネル・サンダースがでてきたり、阪神タイガース教の信者まで出てくる始末。最後の格闘は、傘や土台を使って、やたらと派手だった。

羽衣、これは舞踏で、実に眠たかった。ここだけ唯一、うつらうつらとしながら見ていた。やはり舞踏の面白さはわからない。団子売の方は、まだいくらかマシだったが。

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