源平盛衰記のいけずきとするすみの部分に、象についての記述が出ているので、ちょっと象について調べてみた。
象自体は、日本人にとっても、古くから知られていたと思われる。なにしろ、母摩耶の夢の中で、釈尊は白象となって、母摩耶の右脇を衝いて胎内に入ったという伝説が残っているぐらいだから、仏教伝来と共に、象の存在も日本に知られるところとなったはずである。
しかし、当然ながら日本人は、象はおろか、その写真さえ見たことがない。当時の日本人にとって見れば、伝説の生き物と同じ扱いだったのではないか。
日本に初めて象がやってきたのは、室町時代の応永十五年(1408年)のことで、今の小浜市に南蛮船が着岸したらしい。船は現在のスマトラ島からやってきたと推測されている。象は足利義持に献上されたらしい。そもそも、仏教書では、象というものは、白象とされているので、実際の灰色の象を見て、わざわざ黒象と書き残しているようだ。
また、江戸時代の享保十三年(1728年)、広南(ベトナム)から象がやってきて、八代目将軍、徳川吉宗に献上されたらしい。また、時の皇、中御門天皇の叡覧にも預かったのだが、天皇に謁するためには、位が必要とて、「広南従四位白象」という位と名前を賜ったとか。
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