2011-04-09

読書感想

生物と無生物のあいだ (講談社現代新書)

動的平衡 生命はなぜそこに宿るのか

最近、福岡伸一の本を読んだ。分子生物学の観点から、生命というものを説明している本だ。感想としては、あまり文章がよろしくない。また、話題がかなりバラバラで、繋がりが見られない。問題を分かりやすく説明しようとして使っている比喩も、かえって問題を分かりにくくしているように感じる。ただし、内容は面白い。

分子生物学に関する様々な話を、どうもいまいち各話の繋がりが薄いように思われるが、非常に興味深く書いている。

生命とは、動的平衡である。その複雑な仕組みや、一部の遺伝子がノックアウトされても、回避を試みるなどの性質を考えれば、遺伝子組換えというのは、そんなに簡単に問題を解決しないと論じている。

ところで、作中で紹介している。シュレディンガーの"What Is Life?"を読もうとしたが、どうも英語が難しい。おいおい読むことにしよう。

天皇たちの孤独―玉座から見た王朝時代 (角川選書)

少し前から借りたままで、どうも読み進められなかった本。今朝、少し早く目がさめたのを幸いに、一気に読むことにした。

繁田信一による、王朝時代の孤独な天皇達の実情を書いた本。一条天皇、円融法皇、東三条院、花山法皇、上東門院、三条天皇について書いている。王朝時代とは名ばかりで、その実は摂関政治である。その時代の天皇は、孤独だったという。

あとがきで、「桐壺帝は正しかった」と述べているのも、納得できる内容だ。源氏物語で、光源氏は天皇になりそこなった人間という認識があるが、桐壺帝は光源氏を愛していたからこそ、天皇にならなくてもよい道を提供したのではないかということだ。そういう認識では、光源氏は天皇より恵まれていたのである。しかし、それでも作中で光源氏も色々と苦悩している。それでも悩みはつきないものなのだろう。

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