2011-04-09

最近のPCゲームに関する考察

Fallout 3以降、ゲームらしきゲームをしていない。カネがないというのもあるが、私の目には、どれもありきたりの凡作に見えるのだ。近年、YouTubeを初めとした動画サイトの興隆によって、実際のプレイ動画によって、クソゲーがすぐに確かめられるので、いい時代になったと言える。

なぜパブリッシャーは、実際のプレイ動画をもっと公開しないのか。Trailerは大抵、実際のプレイ動画ではなく、3DCGソフトによって描画されたムービーなのだ。実際のゲームによる描画ですらないとは、恥ずかしいと思わないのだろうか。

もっとも、実際のプレイ動画を公開してしまうと、メッキがはがれてしまうからなのかもしれない。まったくもって、動画サイトの進歩に感謝するばかりだ。

とはいえ、ここ数年ゲームから離れていると、ゲーム界隈の技術からも離れてしまう。もちろん、私が知るのは、単なる表面上の知識だけなのだが、それでも、一応、最近のPCゲーム事情を、久し振りに長々と考察してみることにする。ただし、私は実際にプレイしておらず、他人のプレイ動画の観察によってこの考察を書いているので、的が外れているかもしれない。

プラットフォームについて。

まず、ゲームはマルチプラットフォームが当たり前になったということだ。主にWindows向けのPC、XBox360、PS3、これらのプラットフォームに、同時に同じゲームを販売するということは、もはや当然である。

このマルチプラットフォームは、PCゲームに、いくらか影響を及ぼしている。まず、従来ならばコンソールでしか発売されなかったであろうゲームを、PCからも遊べるということだ。これは利点だろう。ただ、欠点もいろいろと目につくのである。

XBox360とPS3のハードウェアの性能は、現在のPCからみれば、化石である。博物館に陳列されていてもおかしくないほどの、考古学的価値のある化石である。そもそもコンソールのスペックは、登場時点ですでにPCより劣っていたのだから、当然なのだが、さすがに2011年ともなると、この違いは悲惨である。

現行のPCのハードウェア性能ならば可能である表現が、コンソールの存在によって、妨げられてしまうのである。手間を考えると、プラットフォームごとの差異はなるべく少なくしたい。PC向けに特別なコストをかけたくない。となると、表現は、全プラットフォーム向けで実現可能でなければならない。劣ったコンソールにつられて、PCでの表現も制限を受ける。

ただ、これには、あまり誇らしくない利点もある。未来のハードウェアを要求するゲームが販売されなくなったのである。これまで、PCゲームは、発売当初は非現実的に動作が重いというのが珍しくなかった。将来のハードウェアの進化をみこんで、現在のハードでは手に余る処理を行ったり、また、単に手間をかけたくないために、それほど速度を考えずに実装したりしていたためである。

今や、そのような馬鹿げたゲームは発売できなくなった。コンソールの処理速度は固定だからだ。もしコンソール所有者がゲームを買って、ハード性能が足りないがための処理落ちを経験したならば、購入者はそれを、不具合だと考える。当然である。性能は固定なのだから、そのプラットフォーム向けに販売する以上、そのプラットフォームで動くべきなのである。

コンソールの化石スペックとあいまって、無謀に重いPCゲームは、発売されなくなった。これは、利点である。思うに、プログラマーには、制限が必要なのではないかと思う。制限がないと、プログラマーという人種は極限を求めてしまうため、現行ハードでは到底実行不可能な重いプログラムができあがってしまうのだ。

もうひとつの欠点とは、UIの問題である。コンソールは、マウスとキーボードで操作しない。ゲームパッドで操作する。一方、PCでは、ゲームパッドも使用可能である。コンソールを考慮すると、ゲームパッドでの入力を前提にしたUIになってしまう。そして、これが非常によろしくない。

ましてや、ゲームパッドでFPSというのが理解に苦しむ。現行世代のコンソールが登場して、FPSゲームも販売されると聞いたとき、私は信じられなかったのだ。まさかゲームパッドで操作するとは信じられなかったのだ。驚くべきことに、ゲームパッドでFPSを操作するのである。私は未だに信じられない。

いわゆるFirst Person Shooterというジャンルのゲームでは、画面表示は一人称視点、あるいはそれに準ずる三人称視点であり、視点の方向はマウスで動かすものである。ゲームパッドでこれを実現しようとなると、必然的に、親指アナログスティックで視点を操作することになる。聞けば、最近のコンソールゲームしか遊ばない若者は、マウスとキーボードでのFPS操作ができなくなっているそうではないか。信じられない。あるいは、私も歳を取ったのだろうか。

もちろん、スティックはマウスほど正確な操作ができないということは、ゲーム開発者も承知していて、それなりの処置が取られている。たとえば、敵の方向に視点をロックするだとか、撃った弾は魔法のように敵の方向に向かってホーミングするだとかの類である。

これ自体は、別に悪いとは思わない。もうハイパーオリンピックやスーパーマリオブラザーズの時代ではない。連打速度とか、極めて正確なミリ単位の操作が求められる時代ではない。ただ、そうまでしても、やはりスティックが正確な操作には向いていない。結果として、aiming感は最悪である。

唯一の利点は、有線のXBox360 Game Controllerは、PC用のゲームパッドとして最適であるということぐらいだろうか。このゲームパッド自体、なかなか悪くない出来だ。エレコムやサンワの安かろう悪かろうなゲームパッドとは雲泥の差である。また、マルチプラットフォームのゲームのPC版は、XBox360のゲームパッドを前提にした設計になっており、コンソールと同じ感覚で遊べるというのも悪くない。レーシングゲームならパッドのほうがいいに決まっている。ただし、やはりFPSは無理だ。

実際に販売されたゲームから考えて、やはりコンソールは害悪であると思う。かつてPCゲームとして面白かったゲームが、マルチプラットフォームになったばかりに、非常に制限されたものになってしまっているのだ。ほとんどのゲームが、コンソールの影響を受けているので、いちいちゲームタイトルを挙げるにも及ばない。

グラフィックについて。

グラフィックは非常に進化した。コンソールの性能という足かせのせいで、ポリゴン数やテクスチャーは変わらないが、代わりに、シェーダーによる見せ方が非常に向上した。特に、Defferred Shadingは素晴らしい。

思うに、ポリゴン数やテクスチャー自体の底上げが見られないのは、いまだにDVD二層の容量である8GBが足かせとなっているためだろう。また、リソースのサイズが増えると、それだけロード時間もかかってしまうので、仕方がないのだろう。光学ディスクとHDDが廃れるまでは、この状況は変わらないだろう。

それに、ポリゴン数やテクスチャーの質が明らかに分かるのは、極端に拡大された場合であり、大部分はそれほど拡大しないゲームにおいては、リソースの質の底上げはあまり意味を成さないだろう。むしろ、ポリゴンによる描画以外の手法を研究すべきだろう。たとえば、ボクセルとか。

ゲームの表現について。

ゲームの表現方法は、かなり進歩が見られる。思うに、ゲームはどんどん親切になっている。たとえばチュートリアルだ。FPSにありがちな、「しゃがむ」という動作のあるゲームでは、しゃがまなければ進めないような道を最初に用意する。「ジャンプ」という動作のあるゲームでは、ジャンプしなければ通れないような道を最初に用意する。これらのはからいによって、プレイヤーはゲームを進めつつ操作方法を覚えることができる。

また、途中で詰まらないように、攻略のヒントを出してくれる神のような存在がいることである。「ゼルダの伝説 時のオカリナ」におけるナビィのような存在がいる。もちろん、実際に見えているわけではなく、単なる通信という形をとった声だったりする。また時には、もっと露骨に、ゲーム中の空間に文字やアイコンが浮かんでいたりするし、常にコンパスが目的地を指している場合もある。「ゼルダの伝説」のように、ノーヒントで何もない壁を爆破して入口を見つけたり、草を燃やして階段を見つけたりといった、ありとあらゆる動作を総当りさせるような、単純な謎解きは、もはや時代遅れである。

また、ロード時間をごまかすための工夫も見られる。ロード時間はストレスがたまるものである。ロードが必要なところでは、カットシーンやムービーを流したりなどをすることもある。また、次の場所までの間に、やたらに細長い道を作って時間稼ぎをしたり、また最小限のインタラクティブ性をいれるなどすることもある。たとえば、ドアを開けるのにボタン操作を必要としたり、一歩足を動かすために、タイミングよくボタンを押さなければならないなどの操作である。どちらも魂胆が露骨に見え透いているのだが、少なくとも、ロード画面で待ちぼうけを食らわすよりはマシだろう。

ゲームの面白さについて。

最近のゲームは、ますます大規模になっている。開発費用もうなぎのぼりだ。しかし、どうもゲームはあまり面白くなっていないと思うのは、私だけだろうか。特に、多額の開発費用をかけたゲームほど、つまらなくなっているような気がするのだ。

たしかに、グラフィックはいいのだが、それだけでは良いゲームたりえない。グラフィックだけはいいものの、細かい操作性に、いちいちストレスがたまるゲームがいかに多いことか。

結局、現行世代のコンソールに制限を受けている限り、ゲームは進化しない。次世代コンソールがでるまで、しばらくゲームは不作が続くだろう。

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