2010-07-20

これはすごい歴史の話

odokemono comments on Anyone know why /var and /etc weren't named something like /etc and /cfg?

このodokemonoという人のコメントが面白かった。特に二つの話が面白かったので、翻訳してみる。

これから話す話は、知識というよりも経験というべきだろう。私は、エンジニアではないし、特別にそういった訓練を受けていたわけでもない。私はベテランのシステム管理者だ。私はいくつかの記事を書き、またシステム管理者の教育もしている。私は80年代前半から、ほとんどUnix一本でやってきた。

Unixのすばらしいところは、25年前に書いた私のコードが、いまだに修正なしでコンパイルでき、しかも動くということだ。

それでは、「すばらしい話」のいくつかをしようと思う。

私は昔、顧客である大手の弁護士事務所の元に出向き、週末の間に、サーバーの大幅なアップグレード作業をしていた。私は相当大きな(60MBぐらいだったと思う)ディスクを、古いサーバーから取り外して、新しいサーバーに取り付けて、データをさらに容量の大きな新しいディスクにコピーしていた。ディスクというのは、5.25インチのMFMディスクであった。新しいサーバーが用意され、セットアップされた。私は古いディスクをつなぎ、コピーを始めた。コピーは、恐ろしく遅かった。10KBのファイルひとつコピーするのに、4,5分はかかった。私はすぐに、ddでセクターをひとつづつ読み書きするスクリプトを書き、経過を表示させた。27セクター読むごとに、読み込みが数分間ハングしていた。

そこで、私は事務所のシステム管理者の自宅に電話をかけ、バックアップがあるかどうかと、サーバーがおかしくなっていなかったかどうかを訊ねた。彼はバックアップを取っていなかった。また、サーバーの状態については、「そういや、この一週間というもの、極端に遅くなっていてね。だからアップグレードするってわけさ」と。私は電話を切った。

訳注:つまり、古いディスクは壊れているため、27セクター読むごとに数分ハングするのであった。

計算すると、このままの速度では、コピーには10日間かかる。顧客は月曜日の朝までにサーバーが用意されていることを期待している。これはまずい。

ヘッドのステッパーのモーターシャフトが、ディスクの横から突き出していた。私はシャフトに優しく指を当て、読み込み中に延々とシークばかりしている状態を感じ取れないものかどうか、試してみた。実際、その通りになっていた。しかしここで、私はあることに気がついた。私がシャフトにすこしだけ力を加えた場合、無駄なシークが止まったのだ。しかも、コンソールは正しいセクター番号を、ハングせずに表示しているではないか。

その後二十時間、私はシャフトに指を当て続けた。データの転送に成功し、顧客は満足した。そして私は、その後二日間、タイプできなくなった。

これも昔の話。私は顧客のもとに出向き、サーバーの交換とアップグレード作業をした。コンピューターは、有名なキャッシュレジスター会社によって作られた、NCRタワーであった。これは高さ約1.2メートル、幅1.8メートル、奥行き20センチメートルであり、136キログラムもの重量があった。アップグレードは事無く終り、その帰り際に、このすばらしい顧客が、ふとつぶやいた。「この古い機械は、一体どうすればいいんだろうねぇ」と。私は答えた「さあ」と。顧客は言った。「欲しいかい?」

その後しばらくの間、私はNCRタワー450(4MBのRAMに120MBのディスク、16本のシリアルポート、二つのシリアルターミナル)を、自宅で使うことになった。私は"Hello World!"プログラムを、たったの1.5分でコンパイルでき、冬でも部屋を暖房する必要がなくなった。このシステムは、当時としては、二万二千ドルもする代物であった。まだPC以前の時代にもかかわらず、私は自宅にUnixサーバーを持っていたのだ。私はこの上もなく幸せであった。ただし、部屋は相当狭くなってしまったが。

この他にも、まだまだ面白い話はあるのだが、まあ、このへんにしておこう。

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