邪悪なDRMつきのソフトウェア配信システムであるSteamを運営するValve社は、2012年12月時点のSteamクライアントのインストール環境の統計を発表した。
Steam Hardware & Software Survey
OSの種類は、バージョンと、CPUアーキテクチャがx86かx64かで、分割されている。これをまとめると、
Ubuntu 12.10 64 bit 0.29% Ubuntu 12.04.1 LTS 64 bit 0.26% Ubuntu 12.04.1 LTS 0.13% Ubuntu 12.10 0.12%
となり、足し合わせると0.8%となる。今年は確実に1%を超えるだろう。
ああ、デジタル制限管理により再配布を制限され、さらに単なる個人的な利用すら制限されるライセンスへの同意を迫られる、汚らしい不自由なソフトウェアの汚染が進んでいる。
百千万歩譲って考えると、不自由なOS上で不自由なソフトウェアを実行するより、自由なOSで不自由なソフトウェアを実行したほうが、まだいくらかマシであるといえる。かのRMSも、「悪よりも善の方が大であると思う」としている。
とはいえ、現在GNU/Linux用に提供されているゲームをまともに遊ぶには、やはり処理能力の高いGPUを使いたいものであり、それにはnVidiaかAMDのGPUを、公式の不自由なドライバーとともに使う必要がある。してみれば、Steam利用者の大半のGNU/Linux環境は、所詮は完全に自由なOSでもないのだろうが。
さらに、Other(その他)が0.71%あるというのも興味深い。SteamはWindows 2000やそれ以前のOSを公式にサポートしていない。もちろん、それでもなんとか動かしている人間もいるかもしれないが、その他の環境が考えられる。
Ubuntu以外のGNU/Linuxベースのディストロかもしれない。聞説、邪悪なライセンスへの同意を要求するSteamの現在のライセンスはリパッケージを許しているかどうか疑わしいが、Valveの一社員の見解によれば、制限していないのだという。GNU/Linuxベースのシステムでは、ライブラリのバージョンの差異などにより、邪悪なバイナリのみの提供では移植性に難があるのだが、まあ、やれないこともない。
もう一つの可能性としては、Wine環境が考えられる。WineはGNU/LinuxやFreeBSDやMac OS Xなどの環境に、Windows互換レイヤーを提供するソフトウェアである。近年のWineの精度の向上はめざましく、なんとSteamクライアントを動作させ、不自由なソフトウェアを購入し、ダウンロードし、大半のソフトウェアを実行することができるそうだ。それも、Direct3Dをふんだんに使ったパフォーマンスが重要なゲームでも、問題なく遊べるレベルに達しているらしい。もちろん、不自由なソフトウェアを実行するのは問題であるが。
すでに明らかになっているように、Valveは利用者の環境にwine3dが存在するかどうかを調べ、実行環境がWineであるかどうかを判定している。OtherにはWine環境が含まれているのかもしれない。
邪悪で非人道的なSteamとそのソフトウェアの汚染は嘆かわしいことであるが、不自由なOSであるWindowsやMac OS Xのシェア率が下がり、不自由なドライバーを使っているとはいえ、部分的に自由なOSのシェア率が上がることは、RMSのいう「悪よりも善の方が大であると思う」といえる。
また、実際にゲームという需要が発生することで、GNU/Linux環境におけるグラフィク周りのソフトウェア環境の各種向上が発生しているのも、「悪よりも善の方が大であると思う」といえる。
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