2013-04-13

もし独裁国家が大真面目に健康を人民に強制したらどうなるのっと

The Perfect Health Regimen that Only an Absolute Dictator Could Impose

なかなか面白かった。長いので要約としてまとめる。

我々は、明らかに健康に良い悪いと分かっている習慣があっても、しばしば従わないものである。毎日、多種目の野菜やフルーツを摂取する。適度に運動する。十分に睡眠を取る。あるいは、歯磨き、フロス、ストレッチ、ストレスをためないなど、おそらく健康に良く長寿に関係するとされている習慣を行わない

これは由々しき事態である。もし、独裁国家が、現在、多くの論文で取り上げられていて相関性があると考えられている健康と長寿に貢献する条件を人民に強制するとしたならば、それはどのような世界になるのだろうか。

結論はディストピアだ。

食事は、味気のない植物性および動物性由来のタンパク質とウジ虫を真水で流しこむことになる。ただし、アルコールは一日5グラム(ワイン換算で80ミリリットル程度)ほど摂取できる。そして、退屈だが安全な運動を行う。これは序の口だ。

この新社会においては、全人民が可能な限り健康的な生活を健康的な場所で全うするのだ。

つまり、我々の居住区は高地に設けられた収容所になる。統計的に、標高の高い土地にすむ人間の方が寿命が長い。これは高地は低地に比べて酸素が欠乏しがちであり、我々の肉体は環境に適応するためより効率的に機能するようになるためだと考えられている。ただし、高地は夏暑く冬寒く、老人には辛い環境だ。そのため、我々は高地の集中出産所で産まれ、幼年時代を高地で過ごし、歳を取るに従って居住区を低地に移動していくことになるだろう。

基本的に、人民の旅行は禁止されている。人の移動は空気感染する感染症を拡大させてしまうからだ。しかも飛行機は被曝する。高度が高くなると、大気で阻害される低地に比べて宇宙線を受けやすくなるのだ。たまに移動する分にはそれほど影響がないだろう。ただし、パイロットと客室乗務員は、右翼労働組合の主張により、被曝する危険性のある労働者とみなされ、定期的な健康診断が義務付けられるだろう。太陽活動は11年に一度活発化するので、その時期には特別な注意が必要だ。

国外から入国してくる人間には、検疫が義務付けられるだろう。特にインフルエンザの季節などは、航空機による入国が制限され、国は事実上鎖国する。

ストレスは寿命に影響する。そのため、人民は幸福を義務付けられる。

多くの研究が、友人の数と寿命に長さには相関性があることを示している。多くの友人を持つことを国家が義務づけ、また保証しなければならない。

配偶者と子の存在は、いくつかの研究では、一見すれば長寿命に影響するようにみえる。しかし、多くの研究には欠陥がある。

多くの研究で、結婚は寿命を伸ばすと結論している。しかし、この寿命への影響というのは、多くの研究で、男にとっての影響である。女は結婚してもほとんど寿命に影響がない。いくつかの研究などでは、最初から男の寿命しか考慮していない。

多くの研究では、離婚者と未婚者を一緒くたに結婚していないグループに分類している。これは明らかに誤りである。離婚は明らかに寿命に影響することが示されている。離婚は多大なストレスを伴うものであり、当然の結果だろう。離婚したものと、一度も結婚していないものを分けて考えると、結婚はそれほど長寿化に寄与していない。一生結婚したものと、一生結婚しないものでは、それほど寿命に差がない。それでいて、結婚には離婚という低寿命化のリスクを含んでいる。

故に、健康を義務付ける独裁国家は一対の男女が生涯連れそう現在の結婚システムを禁止すべきである。それほど利点もなくリスクの多い欠陥システムに人民を晒すわけにはいかない。

我らの健康第一主義の独裁国家は、結婚の定義を、愛情によるものではなく、健康のための処方箋にするべきである。結婚はうまく行けば寿命を伸ばすが、素人が行うにはあまりにもリスクが大きい。結婚は個人が独断で行うのではなく、プロの手に任せるべきである。

現在、そのような適切な結婚システムに関するデータが不足している。そのため、政府は異なる結婚システムを実施して、その結果を比較した上で最適な結婚システムを決定すべきである。新しく設計された離婚リスクのない結婚システムは人民の長寿命化に貢献するだろう。

早期退職は寿命に悪影響を与えることが分かっている。ただし、これは仕事への意欲があり、しかも健康的な人間が早期に退職した場合である。仕事が嫌で病弱な人間には早期退職は長寿命化に貢献する。そのため、退職時期はフレキシブルにすべきである。

宗教は寿命の寄与することが知られている。この理由に関しては、いくつか挙げられている。宗教信者はそうでないものに比べて、相対的に健康に良い習慣を持っているのではないか。教会に集まるなどの定期的な会合が地域コミュニティによるお互いの健康確認を行わせているのではないか。信仰心によりストレスが下がるのではないか等だ。どんな理由にせよ、宗教は長寿命化に寄与している。独裁国家は宗教を義務付けるべきだ。宗教を固定する必要はないし、どんな宗教でもかまわない。空飛ぶスパゲティモンスター教でもいい。とにかく人民に宗教を義務付けなければならない。

さて、ここまであらゆる健康と長寿命に寄与する要素を独裁国家の強権により義務づけてきた。これらを施行した社会には、一体何が待ち受けているのか。後は何が長寿命化を妨げる要因になっているのであろうか。

答えは、男だ。

あらゆる社会で、女は男より長生きすることが統計的に明らかになっている。インドのような男女差が半年という国もあれば、男女差13年に及ぶ国もある。習慣を改善することで、寿命差を縮められるかもしれないが、もし、あらゆる努力をもってしても男女差が縮まらなければ、健康第一の独裁国家は、やはり決断しなければならない。男を減らすのだ。

もちろん、現在のところ、種を存続させるためには男が必要である。健康的な人口を維持できるだけの数の男は保ちつつ、男を減らすというのは難しい問題である。おそらく多数の実験が必要であるが、あまりいい実験ではないだろう。

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