ドラえもんには、タイムマシンが存在する。ドラえもんは未来から歴史を改変するためにやってきたロボットであり、当然、時間旅行に関わる話がたくさん出てくる。その過程で、多数のパラドックスが存在する。
たとえば、第一話で語られる、歴史改変前の未来がある。長い連載と原作者以外の者の手による作品により、未来の詳細の細部は異なるが、概ね次のようなものである。
本来の時間軸におけるのび太は、現在と同じく未来もまるでダメで、就職に失敗し、それならばと起業するが、これも失敗する。ジャイ子と結婚し、子孫を残しているものの、末代になっても借金が残っている。
このため、子孫のセワシは歴史を改変するべく、タイムマシンで狸猫型ロボットを送り込む。
マンガ第一話ののび太ですら指摘するように、過去を改変するとセワシは存在しなくなるのではないかという疑問には、他で調整して同じような未来にするのだと答えている。
ほんの僅かな違いでも、未来には相当な影響が出るはずなのだが、どうやっているのか。
未来の自分に助けられるパラドックス
ドラえもんの原作マンガや映画で、未来の自分に助けられるという筋書きがよくある。困難な問題に直面し、解決方法がわからない時、すでに解決済みの未来から自分を連れてきて問題を解決させるというものだ。しかし、その問題とは、問題が解決できない場合、未来の自分が救助に来れないような問題なのだ。一体、この未来の自分とやらは何なのか。
未来を延々と先取りするパラドックス
人気漫画、ライオン仮面で、主役のライオン仮面が敵に捕まり絶体絶命というところで終わる。ドラえもんはタイムマシンでいち早く次号を読む。次号では、ライオン仮面の弟のオシシ仮面が登場するが、やはり敵の魔の手に落ちて、火あぶりにされて悲鳴を上げるところで終わる。
ここで、フニャコ・フニャオに頼まれて、更に次号のライオン仮面を未来から調達する。しかし、未来のライオン仮面も、同じように新しい仲間を登場させ、同じように絶体絶命に陥るというものであった。
フニャコ・フニャオは締め切りに追われる多忙な生活が嫌になり、ドラえもんに代筆を頼む。ドラえもんは、未来の次号を取り寄せつつ代筆するが、本当の作者は誰なのか疑問に思う。
どうも、ドラえもんの世界では、未来は常に現在直面している問題を解消しているらしい。そのため、解決方法がわからない問題を解決するのに、未来から自分を引っ張ってきて解決させるという筋書きも多い。その過程で、本当に問題を解決しているのは誰なんだという矛盾が生じる。
No comments:
Post a Comment