これまで、古事記しか読んでいなかったのだが、日本書紀も読んでみることにした。
まず、特徴的なのが、その編集方法だ。古事記が、ひえだのあれに覚えさせた言葉を一人の博士が書き写したという体裁をとっているのに対し、日本書紀は多人数による編纂作業が行われたらしい。しかも、参考にした文章の異なる部分は、いちいち併記するという形をとっている。そのため、同じような話が何度も続いて、文章としては非常の冗長なのだが、非常に面白い。
問題は、日本書紀は明らかに中国史や儒教からの影響で、改変されているという事だ。たとえば、いざなみがかぐつちを産んで、マンコを火傷して死んだという古事記の部分は、皆同様に、単に火傷して死んだと書かれている。
また、すさのおがあまてらすおおみかみとうけいをする場面では、古事記では、すさのおの持ち物から女子が生まれたのですさのおに悪心なしとされているのに、日本書紀ではどうしたことか、男子を生むことが悪心のない証明といううけいにかわっている。あまてらすおおみかみの持ち物をすさのおが使うと男子が生まれたというものだ。しかし、その後で、道具の使用者ではなく所有者の子供だという記述があるので、やはり不思議だ。おそらく、男優先の儒教に影響されたに違いない。
また、さかはぎのうまを屋根から放り込んで機織りの女を殺すところでは、古事記では驚いた女が道具をマンコにしたたかにあてて死んだと書かれているのに、日本書紀では、やはりその詳細は省かれている。
天の岩戸に引きこもったあまてらすおおみかみを助ける下りでは、ににぎが裸踊りをしたことが古事記に書かれているのに、日本書紀では、単に踊ったとあるだけだ。
少し読んだだけで、多くの違和感を覚える。あまり信頼できない文章だ。
ただし、異説を併記しているのはすばらしい。たとえば、古事記ではおおげつひめを殺したのはすさのおということになっている。しかも、古事記ではなぜかこの部分が浮いている。古事記での配置は、すさのおが追放された後になっているのだが、どうもよくわからない。
日本書紀の一書によると、おおげつひめをころしたのはつくよみであるという。あまてらすおおみかみの勅を奉じておおげつひめの元に向かったつくよみは、口から食物をだすおおげつひめをみて、けがして奉ると思って斬り殺した。帰り上ってあまてらすおおみかみにこの由を報ずると、あまてらすおおみかみは非常に怒り、以来、あまてらすおおみかみとつくよみの中が悪いのだという。これは、昼と夜の区別がある説明にもなるし、これが本来の形だったのではないだろうか。古事記でのつくよみは、名前ぐらいしか出てこない。
ただ、古事記では鼻や尻からも食物を取り出したと書かれているが、日本書紀では、すべて口から取り出す。ただし、日本書紀では、おおげつひめの死体から生じた食物に、食物の名前と、体の部位の名前とで、古代朝鮮語の音が一致しているという注釈がある。古事記ではその一致はない。これもなかなか興味深いことだ。
2 comments:
固有名詞をひらがなで書かれると非常に読みにくいことがわかった。
よみずらい
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