2013-05-08

各種GNU/Linuxベースのディストロのダウンロードの分かりやすさ調査

このつぶやきにピンときたので、各種GNU/Linuxベースのディストロの公式サイトから、ISOイメージのダウンロードの分かりやすさを主観的に比較してみた。

まずそのまえに、わかりやすいという触れ込みのFirefoxの公式サイトをみてみよう。

Mozilla — Home of the Mozilla Project — mozilla.org

たしかに、これ以上にないというぐらい分かりやすい。上部にダウンロードと書かれており、クリックするとダウンロードが始まる。利用者の環境は自動的に判定し、私の環境の場合、GNU/Linux用のビルド済みのバイナリがダウンロードされた。そのへんに展開してfirefoxというスクリプトを実行するだけでFirefoxが実行できる。これはわかりやすい。ユーザーに一切の入力や選択を強いることがない。マウスさえ使えればダウンロードできる。

思うに、ユーザーになにか選択を強いるような設計は悪なのだろう。大多数のユーザーはバカであり、自分のコンピューターのOSやCPUすら知らないと仮定して設計すべきである。そこで、今回は何もわからないユーザーになりきって、可能な限り懐疑的、批判的に、各種ディストロのISOイメージのダウンロード方法を検証しよう。

さて、GNU/Linuxの各種ディストロだが、DistroWatch.comのディストロ別ページへの過去半年のアクセス数をもとに、知名度の高いディストロについて調べてみた。

Main Page - Linux Mint

まず、最近Ubuntuを押しやってアクセス数ナンバーワンのLinux Mint。公式サイトにDownloadという項目がある。クリックすると、以下のページに飛ぶ。

Download - Linux Mint

これはとても分かりにくい。もちろん、私のようなパワーユーザー(死語)には何の問題もないが、あまりにも選択肢が多すぎる。Mate, Cinnamon, KDE, Xfceというよっつのデスクトップ環境ごとにISOイメージがあり、しかもMateとCinnamonに至っては、特許保護されている可能性のあるコーデックを含む版と含まない版が存在する。さらに難しいことに、32bitと64bitに分かれている。

とりあえず、Mateの64bit版を選んでみる。

Linux Mint 14 "Nadia" - MATE (64-bit) - Linux Mint

何やら呪文のような項目が多数並んでいて、非常に分かりにくい。

どうやら、デフォルトのダウンロード方法はtorrentのようだ。.torrentというファイルがダウンロードされる。ここから目的のISOイメージをダウンロードするには、BitTorrentプロトコルに対応したクライアントが必要であり、とても分かりにくい。現在、bittorrentプロトコルを実装している汎用的なブラウザーはOperaしかない。まったくもって初心者に優しくない。

その下に、直接ダウンロードできるミラーサイトがずらずらと並べられている。ここでまた選択を強いる。非常にわかりづらい。

さて、ダウンロードしたISOイメージはどうすればいいのか。MintではダウンロードのページからユーザーガイドのPDFへのリンクを張っている。ユーザーガイドはISOをDVDに書き込む方法や、インストール方法のそれなりに丁寧な解説が書かれている。各国語に翻訳されているが、わざわざPDFを別に読まなければならず、分かりにくい。

Home of the Mageia project

さて、二番目にアクセス数を集めているのはMegeiaだ。公式サイトでは、中央に、でかでかとFree Downloadと書かれている。これは分かりやすい。早速クリックしてみよう。

Download Mageia 2

クリックすると、予想に反して、別のページに飛ばされた。DVD 32bit, DVD 64bit, CDという三種類のインストール用のISOイメージが並んでいる。しかも、それぞれに直接のダウンロードとBitTorrentプロトコルによるダウンロードが示されている。またしてもユーザーによくわからない選択を強いる設計になっている。

その下にLive CD用のISOイメージが並んでいる。あらかじめ設定されているロケールごとにわかれているし、さらにデスクトップ環境としてGNOMEかKDEかを選ばなければならない。もちろん、直接のダウンロードとBitTorrentプロトコルによるダウンロードという選択肢も存在する。

さて、この.isoとかいうよくわからないファイルはどうすればいいのか。Megeiaではとても小さな字で、Mageia 2 Release Notes - Mageia wikiへのリンクが貼られている。ただし、この内容はとても初心者向けではないし、どこに何が書いてあるのか分かりにくい。

Mageiaのダウンロードはとても分かりにくい。

The world's most popular free OS | Ubuntu

気をとりなして三番目のUbuntuをみてみよう。なんと、公式サイトのタイトルからして、世界一有名な自由OSを謳っている。実際、Ubuntuはかなり使われているし、一時期初心者を取り込むため、CDを無料で郵送するサービスなども行なっていた。果たしてISOイメージのダウンロードも世界一簡単なのだろうか。

上部にDownloadと書かれている他、中央にGet Ubuntu Nowと書かれている。おそらくダウンロードはこれだろう。どちらを選んでも同じページに飛ばされる。

Download Ubuntu | Ubuntu

選択肢がいくつかあるが、Ubuntu Desktopが一番上に配置してある。まずこれを選ぶのだろう。他にもサーバーとかクラウドとか読めない中国語とかが配置されてあるが、まあこれではないだろう。

Download Ubuntu Desktop | Ubuntu

するとまた別のページに飛ぶ。延長サポート用の12.04LTSと、最新のUbuntu 13.04という選択が必要だ。さらに、プルダウンメニューから32bitと64bitの選択もしなければならないが、これはデフォルトで32bitが選択済みである。32bit版ならx86ベースのPCならば確実に動くだろう。

さて、いざダウンロードしようとクリックすると、以下の募金ページに飛ばされる。

Desktop contribute page | Ubuntu

募金は任意であり、払わないという事もできる。募金しない場合、Not now, take me to the downloadをクリックすればダウンロードが始まる。まあ、必要なこととはいえ、ダウンロードの手軽さが遠のいてしまう。

一応、ダウンロードを選択するページから、Alternative downloadsのページに飛ぶことができる。ここでは、種類を選んだり、BitTorrentプロトコル用の.torrentファイルをダウンロードできたり、ミラーサーバーの選択ができたりする。

Alternative downloads | Ubuntu

さて、ダウンロードしたISOイメージはどうすればいいのか。Ubuntuでは、ダウンロードの選択をするところから、インストールガイドに飛べる。インストールガイドは、PDFなどではなくWebサイト上で読むことができる。ISOイメージからブート可能なDVDやUSBメモリを作成する方法が、各OSごとに説明されている。

Fedora Project Homepage

さて、Fedoraはどうか。Fedoraの公式サイトトップページも上部に小さくDownloadと書かれたリンクが存在する。ここまでみてきた他のディストロと違い、分かりやすい「ここをクリックしてダウンロード」のようなボタンや、ボタンのようなテキストや画像が存在しない。トップページは全体的にごちゃごちゃとしたつくりで、Downloadのリンクを探すのに手間取った。Linux Mintのトップページもダウンロードのリンクを強く主張していなかったが、Fedoraほどごちゃごちゃしたデザインになっていなかったので、それほどダウンロードリンクの発見に苦労はしなかった。Fedoraはこの点、非常に劣っている。

Fedora Project - Download Fedora and try it.

なんとかダウンロードへのリンクを見つけ出して、小さい文字リンクに苦労しながらカーソルをあわせて押すと、別のページに飛ぶ。こんどは、Download Now!と勇ましく書かれたボタン風テキストが中央に表示される。選択肢は何もない。これを押すだけでISOイメージがダウンロードできる。これはすばらしい。

ダウンロードページの右サイドにインストールガイドがあり、Webサイト上で読むことができる。

Installation Guide

このインストールガイドは、詳細ですばらしいことは確かだ。普段の私ならば賞賛していただろう。しかし、あまりにも堅苦しく真面目すぎて、とても初心者向けではない。初心者向けの簡易なインストールガイドがあればよかったのだが。

Debian -- The Universal Operating System

さて、古参のDebianはどうか。Debianの公式サイトのトップページは非常にシンプルなテキストベースの作りになっていて好感が持てる。しかし、初心者向けには、どうもテキストが多すぎるような気がする。やはり分かりやすい「ここをクリックすればダウンロード!」なかっこいい画像やボタン風テキストを用意したほうが、初心者受けはいいのではないかと思う。CD ISO Imagesと書かれたところをクリックしてみる。

Debian on CDs

まず最初にあるのが、各国向けのCD-ROM購入サービスへのリンク集だ。なんとインストールディスクを郵送してくれるらしい。インストールディスクの作成方法が分からないようなユーザー向けにはすばらしいサービスではないかと思う。日本向けのサービスも存在する。値段も安い方ではないかと思う。

cart.env-reform.com, 「オープンソース」のお店

さて、ISOイメージをダウンロードには、jigdo経由、BitTorrent経由、HTTP/FTP経由、LiveイメージのHTTP/FTP/BitTorrent経由という選択肢がある。

jigdoというのは、特別なソフトウェアを使い、ミラーサーバーを自動で選択して、debファイルをダウンロードし、ローカルでISOイメージを作成するものだ。Debianはjigdoを将来メインのISOイメージ配布方法と書いているが、理解できない。というのも、このソフトウェアがやっていることは、単にISOイメージが欲しいだけの初心者向けではないからだ。jigdoはむしろ、独自にパッケージを選んだカスタマイズISOイメージを作成するツールである。これは到底初心者向けではないし、メインの配布方法とするのはわけがわからない。それに、大量のディレクトリやファイルをローカルに作成するのはパフォーマンス上よろしくない。普通の利用者が最も高速にISOイメージをダウンロードできるのは、やはりBitTorrentプロトコルではないかと思う。

BitTorrentプロトコルは、jigdoよりは有名だ。自動的なハッシュ検証、分割ダウンロード、レジュームなどの機能を備えていて、とても高速にダウンロードできる。しかし、やはり初心者には難しい。

さて、HTTP/FTPを選ぶと、以下のページに飛ばされる。

Downloading Debian CD/DVD images via HTTP/FTP

これは不親切にもほどがある。とてつもなく分かりにくい。これは初心者向けではないからだろうが。

やはり、初心者向けというのはLiveイメージだろう。これならディスクやUSBメモリからブートして試したり、さらにインストールもできる。これが最後の選択肢なのはとても分かりにくいと思う。

Debian -- Live install images

さて、ダウンロードはあはり分かりにくい。アーキテクチャ名がダウンロードへのリンクになっているのはどうかと思う。それに、アーキテクチャ名をクリックしても、さらに以下のようなFTPサーバーに対するHTTPページのようなページに飛ばされるのだ。

Index of /debian-cd/current-live/amd64/iso-hybrid

一体どれをダウンロードすればいいのかさっぱりわからない。

さらに、ISOイメージをどうすればいいのかという説明も、Frequently Asked Questions about Debian CDsの中に埋もれていて、とても探しにくい。

openSUSE.org

openSUSEはどうか。公式サイトのトップページに、Get it!と分かりやすい画像つきのボタン風リンクがある。これを押すと別のページに飛ぶ。

software.opensuse.org: Download openSUSE 12.3

選択肢がたくさんあるが、デフォルトの選択は、直接のダウンロード、32bit PCである。まあ、ほとんどのユーザーの環境に適合するだろう。そのままDownload DVDをクリックするとダウンロードが始まる。分かりやすい。

さて、どうやってインストールしたらいいのか。openSUSEのインストールガイドは、スクリーンショット付きでわかりやすく、USBメモリに書き込む方法や、インストラーの操作方法を解説している。

Portal:Installation - openSUSE

So cool ice cubes are jealous » PCLinuxOS

PCLinuxOSのトップページも、ごちゃごちゃしていて分かりにくい。上部にGet PCLinuxOSとあるから、これをクリックすれば別のページに飛ぶ。

Get PCLinuxOS » PCLinuxOS

左右にごちゃごちゃとなにかがあるが、選択自体は至って質素なページだ。主な選択はKDE Desktopの32bitか64bitかだ。とりあえずKDE Desktop 64bitを選んでみる。

64bit KDE Desktop » PCLinuxOS

何やら細かい文字でびっしりと書き込んである。かなり下までスクロールしないとダウンロードリンクが見つからない。ようやくISO Downloadという文字を見つけるが、直接のダウンロードは下部にあるどのリンクでも同じだとか書かれているだけ。その次にあるのは.torrentファイルのダウンロードリンクだ。

一番下までスクロールして、ようやく直接のリンクをみつける。各ミラーサイトへのリンクが貼られている。すでに上に書かれていたように、どのリンクでも同じなのだが、やはり選択を強いるのは難しい。

Arch Linux

Arch Linux。どうかんがえても初心者用のディストロではないし、いかに難しかろうと誰も文句は言わないようなユーザー層であるが、一応Distro Watchでは8番目にアクセス数の高いディストロであるので、確かめてみよう。右上にDownloadとある。

Arch Linux - Downloads

テキストを主体としたとても質素なページに飛ばされる。推奨のダウンロード方法はBitTorrentで、しかも.torrentファイルではなくマグネットリンクが先になっている。まあ、ArchユーザーならばBitTorrentクライアントぐらい使いこなせるだろうから問題はないだろう。次にネットワークインストール。そしてHTTP経由の直接ダウンロード。

今回の検証の目的からは外れるが、Archのダウンロードページは、ある点においてすばらしい。まず、ISOイメージのMD5、SHA-1のハッシュ値に、さらにはPGP署名まで提供されていること。さらに、それがHTTPSで提供されているという事だ。ハッシュ値の表示程度なら、すでに紹介した別のディストロのいくつかでも行われていたが、いずれもHTTPプロトコルで提供されていた。つまり、悪意ある者によって途中の経路で改変される攻撃を受けた場合、ISOイメージとハッシュ値が両方改変される恐れがある。その場合、私は悪意ある改変が施されたISOイメージをダウンロードしてしまい、念の為ハッシュ値を確かめても、ハッシュ値も改変されているために、改変に気がつかず、まんまと悪意ある改変版をインストールしてしまう。

その点、ArchのWebサイトはHTTPSで提供されているので、途中の経路による改変を阻止できる。すばらしい。

Archはドキュメントの整備もすばらしい。初心者向けではないにせよ、すばらしいことは確かだ。

Manjaro Linux

Distro Watchで9番目にアクセス数の高いディストロ、Manjaro Linux。上部にGet Manjaroとあるリンクをクリックすると別のページに飛ぶ。

Get Manjaro | Manjaro Linux

XFce, OpenBox, ネットインストールから選ぶことができるようだ。選んでクリックすれば、sourceforge.netに飛んでダウンロードが始まる。選択肢は少ないし、ダウンロードはあっさりとしている。

ダウンロードはあっさりしていていいのだが、どうやってインストールするかというドキュメントが見つけにくい。

Puppy Linux

FTP経由か、FTPのHTTP用ページでのダウンロードになり、とても分かりにくい。ドキュメントも乏しい。

Gentoo Linux -- Gentoo Linux News

番外になるが、一応紹介しておかなければ怖い人に刺されそうなので、Gentooも検証してみる。Get Gentooからダウンロードのページに飛べる。

Gentoo Linux -- Where to Get Gentoo Linux

ダウンロードはFTPのHTTP用ページから行う。ドキュメントも初心者向けではないが整備されている。

とりあえずDistro Watchでこの半年アクセス数の多いディストロ10件+Gentooを調べてみた。結論として、Firefoxほど分かりやすいダウンロードを提供しているGNU/Linuxベースのディストロは存在しなかった。ユーザーに選択を強いるのは難しい。ユーザーはその選択の意味を理解できないからだ。やはりデフォルトの選択を提示し、ユーザーが望めば、必要に応じて選択させるデザインであってほしい。さらに、落としたISOイメージをどうするのかという初心者向けの簡易ドキュメントも重要だ。これがないか、ダウンロードページからわかりやすくリンクの貼られていないWebサイトは難しい。

BitTorrentプロトコルの人気も気になるところだ。たしかに、BitTorrentプロトコルは便利だ。ダウンロードのハッシュ値チェックも自動で行われるし、レジューム機能も標準搭載している。ただし初心者向けではない。

それにしても、8番目にDistro Watchの専用ページへのアクセス数が多いディストロがArchという事自体、まだまだGNU/Linuxの普及が進んでいないという事だろう。

追記:

Debianはトップページの右上にダウンロードのリンクが貼られており、クリックするだけでHTTPプロトコルを使って直接ダウンロードが始まるが、この記事を書いている時、私は気がつかなかった。なぜかというと、私は1920x1200のディスプレイを使っており、デザイン上、右上というのは視界の外にあったからだ。

Fedoraはトップページの画像に分かりやすいダウンロードへのリンクがあるが、この記事を書いている時、私は気がつかなかった。なぜかというと、この画像、JavaScriptを使い、時間経過で自動的に4種類の画像が切り替わるようになっている。私はFedoraの公式Webサイトのトップページを開いた直後に閲覧したのではなかったので、画像が切り替わった後にダウンロードリンクを探した結果、見つからなかったのだ。

6 comments:

ssig33 said...

Debian 右上のほうにダウンロードリンクありますよ http://ssig33.com/gyazo/a51af83334a42885cd083486a6cc0e98.png

江添亮 said...

うわ、気がつかなかったw

やまぎしかずとし said...

s/あはり分かりにくい/やはり分かりにくい/
s/インストラーの操作方法を解説している/インストーラーの操作方法を解説している/

ですかね。

やまぎしかずとし said...

あとは、

s/選択字体は至って質素なページだ/選択自体は至って質素なページだ/

も。

Anonymous said...

日本語というのも手伝ってか、Vine Linuxのダウンロードは初心者にわかりやすい感じはします。
http://vinelinux.org/
デフォルトが PC/AT互換機(64bit) になってますけども。

Anonymous said...

ディストロの人気指標としてはdistrorankのほうが正確な気がします
まあこちらもArchはランキング上位ですが…