2013-05-31

Mark ShuttleworthがUbuntuバグ#1をクローズした

[Phoronix] Shuttleworth Closes Bug #1, Microsoft's Market Share

2004年、Ubuntuの開発会社であるCanonicalの出資者であるMark Shuttleworthは、自身の手で、Ubuntuのバグトラッカーの初めに、以下のバグを登録した。

Bug #1 (liberation) “Microsoft has a majority market share” : Bugs : Ubuntu

Mark Shuttleworth本人によって書かれたバグ報告は以下の通り。

マイクロソフトがデスクトップPCの新製品の市場において、大多数の市場シェアを占めている。このバグはUbuntuと他のプロジェクトによって修正されるべきである。Ubuntuプロジェクト発足の思想は、「我々の労力はソフトウェアは自由であり万人に利用可能であるべきだという信念によって突き動かされている」というものだ。

「Ubuntuソフトウェアは自由である。常にそうであったし、今後も常にそうである。自由ソフトウェアは万人に望むままの方法で使い、望むままの人間と共有できる自由を与える。この自由は多大な利点である。これにより、あるいはUbuntuコミュニティは成長し、集産された経験と技能を共有し、Ubuntuのあらゆる点を改良できる。また、ソフトウェアを入手する手段を持たなかった人たちにもソフトウェアを提供でき、これは世界中の個人並びに団体が利点と考えるところのものである」

不自由ソフトウェアは利用者をソフトウェア所有者の慈悲に委ね、技術を中央管理し、我々の社会の力を少数の手に委ねることになる。さらに、プロプライエタリ・ソフトウェアはイノベーションを阻害し、見せかけの希少性を演出し、DRMのような悪意ある非機能や、監視や、その他の単一政治的手法を有効にする。

このバグはPC業界において顕著である。

再現方法:

  1. 近所のPCショップに行く
  2. プロプライエタリ・ソフトウェアのないマシンの購入を試みる

実際の挙動:

ほぼ常に、大多数の販売されているPCはMicrosoft Windowsがプレインストールされている。珍しい場合では、GNU/Linuxオペレーティング・システムか、あるいはオペレーティング・システムなしのものがあるが、ドライバーとBIOSはおそらくプロプライエタリである。

期待する挙動:

大多数の販売されているPCは、自由ソフトウェアのみを含むべきである。

その「バグ」とは、「マイクロソフトが大多数の市場シェアを占めている」というものであった。

これは私を含む2089人も同じバグに遭遇しているとマークし、バグは確認(Confirm)され、その重要度(Importance)は、深刻(Critical)であると設定された。

本日、この記事より6時間前のことだが、このバグが、Mark Shuttleworth本人の手によってクローズされた。

その本人のクローズ時のコメントに曰く。

Comment #1834 : Bug #1 (liberation) : Bugs : Ubuntu

今日のパーソナル・コンピューティングは2004年当時より裾野が広がった。携帯電話、タブレット、ウェアラブルやその他のデバイスはすべて、我々のデジタル生活に混ざっている一部である。競争的視点からいえば、このような広い市場は健全な競争をもたらす。IOSとAndroidは実力あるシェアを獲得した(http://www.zdnet.com/windows-has-fallen-behind-apple-ios-and-google-android-7000008699/や、特にhttp://cdn-static.zdnet.com/i/r/story/70/00/008699/meeker620-620x466-620x466.jpg?hash=ZQxmZmDjAz&upscale=1を参照)

Androidは私や諸君のLinux選択として第一のものではないかもしれないが、疑いなく、オープンソースプラットフォームのひとつであり、実用的かつ経済的利点の両方を利用者と業界にもたらしている。つまり、我々には、パーソナルコンピューティング内で、競争と、オープンソースの知名度の両方を得たわけだ。

我々はこの転換の一部を占めるに過ぎないとはいえ、思うに、市場に転換が訪れたということを認識することは重要である。そのため、Ubuntuの視点からいえば、このバグは今やクローズされた。

もちろん、このバグリポートには社会的な要素も含まれている。多くの人にとって、これは意思宣言のようなものであった。しかし、もはや他人の製品に対する影響力ではなく、我々の優秀さに注力する意図を持ったほうがよい。このバグが報告されてから多年、我々はクラウドですばらしく思われるようになり、そしてじきにデスクトップ開発者の間ですばらしく思われるようになることを願っているし、そしておそらく、あらゆるデバイスの万人にも素晴らしく思われるようになるだろう。私はむしろ、我々は発想と主導力を発揮できたことに勝どきをあげるべきだとおもう。

今日、クラウドコンピューティングをみれば、マイクロソフトのIAAS部門は技術的にもすばらしく、UbuntuのようなLinuxゲストを含むすべてのOSをAzure上ですばらしくうまく実行していて、作業を快適にしている。市場の転換の影響だろう。情勢が代わり、目的も応じたのだから、我々もそうするべきだ。

その中で、2004年から以下に多くのことが変わったかを振り返るのはいいことだし、いかに早く変わったかもだ。Ubuntuにとっては、我々の目的は依然としてすばらしい体験を、開発者と、製品インフラの構築者と、あらゆるデバイスのエンドユーザーに提供することだ。我々はこれを10年毎に完全に変化していしまうような環境で行なっている。そのため、我々も、意思決定や作業やツールや関係に対して、大きな変更をする意欲を持たなければならない。このバグの状態を変更するのは、そのほんの小さな一例だ。

というわけで、もはやPCが従来のデスクトップやラップトップ以上に広がったし、オープンソースベースのOSもだいぶ広まったので、状況が変化し、従来のバグは意味をなさなくなり、クローズされることになったのだという。

訳していておもったのだが、どうも2004年のMark Shuttleworthと、2013年のMark Shuttleworthは言葉遣いが変わったように思われる。まず、GNU/Linuxと書かずに、単にLinuxと書いている。また、ProprietaryやDRMという言葉は出てこなくなっている。実際には、iOSやAndroidは、プロプライエタリなドライバーやファームウェアやソフトウェアが満載で、到底自由なソフトウェアと認めることはできない。そして、言い回しも複雑になったように感じられる。以前のように自由を全面的に押し出さなくなり、オープンソースという言葉を使い、またエクスペリエンスのような曖昧としたものを宣伝するようになった。

これはどうも、怪しい心境の変化のように思われる。まるで、これからでUbuntu Phoneではプロプライエタリなドライバーやファームウェアを許容できるような・・・というと、うがった見方だろうか。

実際、このバグは全然修正されていない。マイクロソフトの影響力は相対的に下がったとはいえ、少なくとも日本では、近所のPCショップにいって、プロプライエタリソフトウェアの一切入っていないマシンを購入するのは不可能である。ほとんどのデバイスのファームウェアは依然としてプロプライエタリだからだ。このバグは閉じられるべきではなかった。

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