XChatというIRCクライアントがある。このソフトウェアは、UNIX風OSとMAC OS XとWindowsに対応している。
XChatのライセンスはちょっと変わっている。、UNIX風OSとMAC OS X用はGPLv2(ただしOpenSSLリンクの例外条項あり)で、Windows用はプロプライエタリソフトウェアとなっている。
1999年に初めて公開されたこのソフトウェアは、当初無料ソフトだったが、2004年からWindows用のみシェアウェアに移行した。公式な理由によれば、Windows用の開発に必要な技術とビルドに必要なコンピューター資源を捻出するためだという。
ただし、依然としてGPLv2(OpenSSL例外条項)なので、ソースコードは公開されている。そのため、実質は公式のWindows用ビルド済みバイナリがプロプライエタリになったというわけだ。この変更に対して、第三者がWindows用のビルド済みバイナリを提供したり、Windows用にforkして開発したりされた。
そのforkに、HexChatがある。当時はXChat-WDKという名前だった。2010年に始まったこのforkは、当初はWindows用の自由なXChatを目指して、Windows環境でのバグを修正したりなどしていたが、その後、新機能を追加したりなどし始め、そうなってくるとWindows限定というのもどうかということで、UNIX風OS向けにビルドもできるようになった。
さて、ここからが謎なのだが、2010年あたりから、当の本家XChatの開発が停滞してしまったのだ。
XChatのオリジナルの作者であるPeter Zeleznyは、どういうわけか音信不通になってしまった。今のXChatのレポジトリには、たった一人、それもPerlインターフェースのメンテナーだけがコミットしている。Peter Zeleznyは、このPerlインターフェースのメンテナーからの連絡にも一切返信しないでいる。XChatは、事実上開発停止してしまった。
こうなってくると、Hexchatも存在意義が増す。Hexchatの開発者は、HexchatとXChatをマージしてはどうかと本家XChatにもちかけてもみたが、そもそもPeter Zeleznyと連絡が通じない以上、どうしようもない。
Hexchatは、とりあえずxchat.orgのドメイン失効を待ってみたが、なんとドメインは執行しなかった。どうやらPeter Zeleznyは死んだわけでもなく意欲を失ったわけでもないらしい。ちゃんとドメインの更新手続きが行われた。しかし、依然として連絡は通じない。
そういうわけで、XChatと合流するというHexChatの当初の目的は達成できなくなり、結局HexChatは別プロジェクトとして独立することになった。その際、もはやWindows限定でもないのに、名前がWDK(Windows Driver Kit)とはおかしいだろうという事で、HexChatに改名した。現在、リリース体制を整えたり、*nixのメンテナーがパッケージ化してくれるように体裁を整えたりと作業を進めているそうだ。
XChat - Wikipedia, the free encyclopedia
Ubuntuでは、Hexchatをレポジトリに入れてはどうかということと、そして事実上開発停止したXChatをHexChatで置き換えるようにしてはどうかということが議論されているようだ。
Bug #995018 “[needs-packaging] HexChat” : Bugs : “xchat” package : Ubuntu
3 comments:
実はXCHATのひと死んでるけどクレカは生きてるとかだと恐ろしいですね。
いやー、どうもPeterさん、年に一回ぐらいレポジトリにコミットしてるみたいで。
あらま。
枯れちゃったとか忙しいとかそっちの理由でしょうかねぇ。
とにかく、生きててよかったです。
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