2009-10-25

我が国に奴隷の何ぞ多き

モンスター社員続出で右往左往する現場 | 部課長の基本

これまで合宿研修の期間中に私用で外出を希望する人間は一人もいなかった。夜の自由時間は、昼間の研修内容を復習したり、同期とディスカッションするのが当然だと思っていた。たった一人のわがままでもそれを許せば、合宿を通して培ってきた「みんなで一緒に頑張ろう」という気持ちが崩れかねない。遠藤さんは合宿の意味から説き始め、なんとか思いとどまらせた。

拘束時間が発生するなら、それは仕事の内である。一部の公務員には、時間外にもすぐに対応できるように待機しなければならない義務があるが、民間にはそんな義務などない。聞説、海外では、スマートフォンの普及によって、時間外にも仕事の対応をしている人が、それも仕事の内であり給料を払うべきだと訴訟を起こしていると云々。我が国は実に劣っていると言わざるべからず。

新入社員はマンションのテレホンセールスを行っていたという。そして、アフターサービスをお客に説明する際に「万が一、うちのマンションを買ってもらえたら」と話したそうなのだ。「まずありえないだろう」というニュアンスを持つ「万が一」をお客に対していうのは御法度。「そんな常識的なこともわからないのか」と課長が注意すると、悪びれた表情も見せずに「スンマセン」と答えたというから、そこで課長の怒りはさらに燃え上がった。

その新人社員は実に正しい。一体、急に見知らぬ所から電話がかかってきて、曰く、「おい、唐突だが名、マンションでも買わないか」と。誰か善く購入せんや。それはSPAMメールと一般なり。もとより購入することなからん。これ常識なり。

入社1年目の男性の後輩に「明日中にこのレポートをまとめて、メールで私のところに送っておいてね。次の日のお昼の会議の資料として使うから」と頼んだ。「わかりました」と元気のいい答えが返ってきたので、小林さんは安心して任せていた。

しかし、翌日の夕方になってもレポートのメールは入ってこない。本人のデスクに目を向けると、資料をかたわらに置いて一生懸命にキーボードを打っている。「新人とはいえ、半日もあれば十分に終わる仕事なのに」。取引先との会食の約束の時間が迫ってくるのにつれて、小林さんの不満は募っていった。結局、タイムアウトとなり、仕方なく小林さんは職場を飛び出した。

翌朝、メールチェックをした小林さんは驚いた。確かにレポートのメールは入っていた。しかし、その時刻は何と「23時59分」。新人君を呼び出して「ちょっと遅いんじゃないの。もう少し早くから取りかかれば、夕方には十分できたでしょう」と小言をいうと、「でも指示のあった昨日中には送ったはずです」と答える始末。当人は涼しい顔だ。自分の行為が相手にどのような影響を及ぼすかまで、どうやらこの新人君は頭が働かないようである。

彼は指示通りに仕事をこなせり。彼の仕事が遅いのは、能力と経験と不足せるなり。怠慢にあらざるなり。今日中にチェックしたいのであれば、よろしくその如く指示すべし。そも、新人の仕事が23時59分まで長引くほど手間取っているのに、これを助ける者無き乎。

嗚呼、我が国に奴隷の何ぞ多き。国運、苟も此くの如くんば、且く杯中の物を進めん。

1 comment:

みうらしゅうじ(ennuihage) said...

こういう悪い習慣を是正せずに24時間、携帯メールや電話で上司と部下が意思の疎通が可能なんですよね。

そしてそれが当たり前だと言われれば今年の自殺者数が過去最高の37000人を記録しそうになるのも無理はないと思います。

またこの記事は社員の教育方法と標榜しているにもかかわらず、新人に空気を読むことを強要しているにすぎない。欺瞞としか言いようがないと思う。

私の知人の上司は深夜にメールで提出書類の審査結果を言い渡すそうで、明日への鋭気を養うべき時間に絶望感を与えてくれる。国立大学の教授だというが勉強はできても頭はよくないようだ。それとも本気で部下を自殺に追い込みたいのでしょうかね?

話を戻しますと、未だにサービス残業が企業を支えてる国ですからね。欧米と比較することが良い結果を生んだことはないですが、終身雇用の無くなったこの時代には合ってないなと。

ついでに言うとあまりにも図々しい取引先はこういう意味で頭が古いので関わりたくないですね。