用事があって、あと数時間で出発しなければならないが、準備も済ませたので、特にこれといってすることがない。気の赴くままに、文章を書くことにする。
およそ、個人の好みは違うとはいえ、多くの人が、「これは名文だ」と思う文章は存在する。一体、何が名文と駄文を分けるのかという問題は、残念ながら、私の思考の及ぶところではない。ここでは、私が名文だと思う文章のうち、マイナーな作家を挙げていこうと思う。いわゆる、本の紹介という奴だ。もちろん、ひょっとしたら、良く知られている作家も含まれているかもしれないが。
片瀬 二郎
片瀬二郎は、「スリル」でENIXエンターテインメントホラー大賞を受賞した。その後、「チキン・ラン」という本も出した。それっきり、音沙汰がない。もともと兼業作家だったから、もう作家はやめてしまったのだろうか。この人の文章は、あまり読みやすいものではない。ただし、名文だと思う。何故だかは分からない。
長井明
この人はお医者さん出身で、医者を辞めて文筆業に転向したという、不思議な人だ。文章がかなり面白い。「解体新書ネオ」、他、ルポなどを書いているらしいが、あまり多くは読んでいない。
高山樗牛
この人はマイナーではなく、Googleでもそれなりにヒットするが、小説は、あまり知られていないと思う。「滝口入道」を書いている。処女作にして、唯一の小説だ。この小説がすばらしい。平家物語をよく読んでいるのだということが分かる。文章力も構成力も申し分ない。その後小説を書かず、また短命に終わったのは、惜しい。実に惜しい。
村岡花子
この人の翻訳した、「フランダースの犬」がすばらしい。
原文:A Dog of Flanders by Ouida - Project Gutenberg
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