2012-07-11

オンラインストレージと違法アップロード

日本では、オンラインストレージは違法である。これは、たとえCDの内容をサーバー上にアップロードし、アップロードしたユーザーのみがダウンロードできるオンラインストレージサービスが、公衆送信権の侵害だという判決が出ているからだ。つまり、オンラインロッカーと呼ばれるこの手のサービスは、ロッカーの契約者のみにアクセスを許すように設計されていても、公衆送信だというのだ。故に、日本におけるオンラインストレージは、著作権の制限である私的利用における複製ではない。明示的な許諾を得た著作物でなければオンラインストレージ上に保管できない。

オンラインストレージは、契約したユーザーが利用権を持つストレージである。つまり、ローカルにあるストレージと何ら変わらない。自然に考えれば、オンラインストレージへの複製は私的利用の範囲であり、著作権は制限を受けるはずなのだ。しかし、前述のように、日本では不思議な理論で公衆送信になっている。

さらに、Paypalも過激な利用規約を打ち出している。

PayPal sets down stricter regulations for file-sharing sites | Ars Technica

Paypalは、事業者はユーザーに違法アップロードを禁止し、さらに、サービス内容をPaypal従業員が監視できるように、サービスへのフリーアクセスを与えなければならないという利用規約に書き換えた。

これはプライバシーの侵害である。

もはや、一刻の猶予もない。この理不尽で不自然な現状には闘争しなければならない。闘争手段は、著作権保護された自由な著作物を広めることである。つまり、自由なライセンスを使うのだ。

著作権は、著作物のある種の利用に対して、明示的な許諾を要求する。明示的な許諾が必要な場合には、契約に同意させることができる。たとえば、許諾を得る代わりに対価を払うというのも契約だ。したがって、自由なライセンスに同意させることができる。ライセンスに同意しなければ、許諾は与えられない。すなわち著作権侵害となる。従来、許諾には対価が用いられてきた。自由なライセンスでは、対価を得ることはもちろん否定しないが、それ以上に、自由であることを求める。特に、自由であることを積極的に求めるライセンスを使うべきだ。

残念ながら、そのようなライセンスは、互いに互換性がない。したがって、自分独自のラインセンスを作るよりも、既存の自由なライセンスを使ったほうが、可搬性が高い。現在、自由を積極的に求めるライセンスには、Creative CommonsのCC-BY-SAと、GFDLがある。このどちらかを使えばよい。

ただし、Creative Commonsというライセンスには注意が必要である。Creative Commonsというライセンスはない。Creative Commonsには、複数の非互換なライセンスがある。特に、NonCommercialとつくものは、不自由なライセンスなので使ってはならない。理由は、「非商用」の定義が曖昧だからで危険であるのと、我々は著作物の自由を目指すのであって、金銭の否定を意図するのではないからだ。

同時に、我々は不自由な著作物をボイコットすべきである。不自由な著作物は危険なのだ。自分しかアクセスできない自分専用のオンラインストレージ上にバックアップするような、本来ならば私的利用の範囲であると、頭のまともな人間ならば考えるような行為ですら、公衆送信であるとされる日本国内では、とくに危険だ。今の日本で、不自由な著作物を利用して著作権侵害を行わないなどということは不可能だ。それゆえ、不自由な著作物は絶対に避けねばならない。

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