2010-01-29

C++0x本:言葉は難しい

Standard Conversionまで終了

たとえば、Floating point conversionsだ。これは、普通に日本語に訳すと、たとえば「浮動小数点数型変換」となる。これでは読みにくい。浮動小数点数を浮動小数点とか、浮動小数などと、小手先の最適化をしたとしても、やはり、読みにくいことにはかわりない。

長い単語だから読みにくいと感じるのか。しかし、元の英単語も、それなりに長い単語である。一体、なぜ英単語では、特に読みにくいとは思わないのに、日本語にした瞬間に、読みにくいと感じるのであろうか。私はこれでも、日本語ネイティブである。ひょっとして、私はバカなのだろうか。

ひょっとしたら、日本語にはセパレーターがないから、読みにくいと感じるのかもしれない。英語では、単語ごとに、空白文字というセパレーターを用いる。しかし、日本語には、そのようなセパレーターはない。句読点は、あくまで補助的な区切りに過ぎないし、どのように、句読点を、打っても、かまわない、わけだ。特に、ルールは、決まって、いない。

そこで私は、セパレーターを用いることにした。

浮動小数点数 型変換

あまりよろしくない。だいいち、空白文字のセパレーターというのは、日本語には馴染みがない。たとえ、数百年後には、一般的になったとしても、この2010年の時点で、そんな大胆な言語を使うことはできない。私は小説を書いているのではないのだ。

一般的に、・が使われている。

浮動小数点数・型変換

これもダメだ。読みにくい。ならばいっそ。

フローティング・ポイント・コンバーション
フローティング ポイント コンバーション

ダメだ。ますます分かりにくい。floatの型変換としたほうがまだましだ。まてよ、日本語として自然な区切り文字があるではないか。

浮動小数点数の型変換

これだ。まだマシだ。区切り文字として働いてくれる。

しかし、floating pointの訳語は、浮動小数点数でなければならぬのか。これはかなり漢字が多くて読みにくいのではないか。浮動小数ではだめなのか。ましてやこれに型をつけると、浮動小数点数型、浮動小数型。浮動小数でも通じるんじゃないだろうか。

浮動小数の型変換

この方がすっきりしていいと思う。

そもそも、文字的には、floating pointなのだから、浮動点とか、浮点などと訳されるべきである。しかし、このような訳語は、一般的ではない。浮動小数点数にしておくべきなのか。

ともかく、日本語には、何らかのジェネリックなセパレーター(区切り文字)が必要だと思う。

なぜ日本語には、セパレーターの概念がないのか。我々には、ひらがな、カタカナ、漢字がある。これらを組み合わせれば、セパレーターなしでも、それなりに単語の区切りが分かるからだろうか。では、中国はどうだ。あれは漢字しかないではないか。なぜ中国にセパレーターの概念が生まれなかったのか。

所謂、カギ括弧(「」)とか、句読点という、非ジェネリックなセパレーターはある。かなと漢字と、この非ジェネリックなセパレーターがあったから、欧米のように、ジェネリックなセパレーターは発明されなかったのか。

4 comments:

I.S. said...

中国語の場合、漢字1文字が単語なんですね。だから、区切る必要がないわけです。表音文字、表意文字という区分がありますが、漢字は表語文字という区分になるそうです。

江添亮 said...

ただ、それでも複数の漢字を使った単語はあるのです。
さらに、人名も、複数の漢字を使っている場合があります。

中国語も、結構、context sensitive grammerだと思います。

I.S. said...

まあ、突っこまれるかなと思っていましたが、そのとおりです。が、原則的には中国語は漢字1文字で1単語というのは基本だと思います。原則と現実が違うので、レ点を打ってない漢文が慣れていないとかなり読みづらいといったことになるのでしょう。

中国語の解析の難しさは、英語などの西洋語にもあります。英語には単語間の区切りがはっきりしていても、句間や節間の区切りがはっきりしないこともあって(commaやsemicolon、colonなどの句読点で区切りがはっきりするときもありますが)、中国語と同様の解析の難しさがあります。

英語などの西洋語には複数の単語で1つの単語扱いのものもありますが、これは中国語の複数の漢字で1単語扱いのものに対応します。

英語などの西洋語の単語と中国語の漢字は大雑把に言えば同一視でき、英語などの西洋語の単語はalphabetの羅列で構成されているため、空白が必要ですが、中国語の漢字は1文字が凡そ1単語なので空白が必要ないということが言いたかったわけです。

m.ukai said...

>floating pointの訳語は、
floating-point arithmetic (浮動小数点演算)
floating-point number (浮動小数点数)
floating-point format (浮動小数点形式)

なので、floating-point 単独で「数」はいらないと思います。

# IEEE754 の文脈なら、conversion の対象は「format」なので「型」変換ではないですが