[Grimoire]「プログラミングの魔導書」予約開始! - Faith and Brave - C++で遊ぼう
株式会社ロングゲート - 製品案内
新しいプログラミング雑誌が、とうとう発行された。PDF版は、いますぐ予約購入して、8月7日以降に読むことが出来る。物理的に印刷された雑誌は、予約販売という形をとっている。これは、7月末まで予約を受け付け、その後に印刷して、発送するという仕組みだ。印刷は、予約期間を逃すと、もう手に入れることはできないが、PDF版は、いつでも購入可能になっている。
このブログで何度か言及してきたが、私は、Bjarne Stroustrupへのインタビューをして、その翻訳と、C++の歴史について、二本の記事を書いた。いうまでもなくBjarne Stroustrupは、C++プログラマでその名前を知らなければモグリであるし、非常に興味深い内容となっている。全C++プログラマは、このインタビューを読むべきだ。C++の歴史は、D&E以降の歴史に注力している。exportにまつわる歴史や、STLの歴史などだ。また、EC++の末路についても、少し書いている。
Bjarne Stroustrupのインタビューは、私の翻訳を載せているが、もちろん本人とのやり取りは、英語で行われた。翻訳では、微妙なニュアンスが削ぎ落とされているという懸念があるだろう。なにを隠そう、私も翻訳は大嫌いだ。英語版は、Bjarne Stroustrup本人のサイトで、近々公開される見込みとなっている。
今回は、C++に集中した内容となったが、次回以降は、C++以外のトピックも取りあげる予定である。
さて、宣伝ばかりするのも何なので、批判もする。PDFだ。言うまでもなく、私はPDFが大嫌いだ。PDFというものは、印刷を主眼において設計されたフォーマットである。そんなものをぽんとダウンロード可能にして、「さあここに電子書籍があるぞ」などというのは、馬鹿げているにもほどがある。
実際に、この雑誌のPDFを読めば分かるが、横幅の実に三分の一が余白である。余白というのは、印刷上の必要性のために設けられているのである。私は、ディスプレイを最大限に有効活用して文字を読みたい。余白などは必要ない。フォントは固定。フォントサイズもあまり自由にはならない。なぜならば、ページという概念があって、拡大すると、ページのレイアウトごと拡大されてしまうからだ。ページという概念は、実に印刷の都合である。
もちろん、一行あたりの文字数があまりに長いのは読みにくいという人もいるだろう。それは当然だ。一行あたりの文字数をいくつにするかということは、読者側が設定できるべきだ。PDFで押し付けることではない。たとえば、あるWebサイトが横に長すぎると思えば、ブラウザのウインドウのサイズを変更するだろう。テキストエディターでも同じようにして、word wrapを適用するだろう。同様に、電子書籍もそうなってほしい。PDFは、これができない。また、フォントは読者の好きに設定できるべきである。PDFには、これができない。故に、PDFは地獄で我々読者を苦しめるために設計されたクソフォーマットである。世間一般には、この地獄をAdobeと呼んでいる。
電子書籍は、このブログのように、ブラウザーのウインドウのサイズに応じてスケールするようなフォーマットでなければならない。そして、幸いにも現在、これらの要求を満たすフォーマットで、しかもWindowsやLinux、Mac OS、ないしは携帯電話ですら閲覧できる、大変ポータブルなフォーマットがある。HTMLである。
私は、電子書籍というものは、XHTMLとCSSとSVG、それに加えて、画像音声動画などのコンテンツで提供されるべきだと信じている。そうすれば、読者はCSSを自分の好きに設定することで、余白だろうとフォントだろうと、好きに設定できる。とくに、この雑誌はプログラマー向けであるから、読者はCSSを知っている可能性が高い。たとえ知らなくても、ちょっと調べただけですぐに理解できる人種である。なおさら好都合だ。Webサイトというのは、すでにこれ電子書籍である。なんでわざわざ別のフォーマットを使う必要があるというのか。
ましてや、この雑誌のコンテンツは、ほとんどテキストである。漫画などは、デザインも問題になるが、ことプログラミングに関しては、文章とソースコードが重要で、それ以外は特に重要ではない。私は、プログラミングにおける図というのは、物事を分かった気にさせてくれるだけのごまかしのテクニックだと考えている。
私は再三このことを進言したにも関わらず、ロングゲート社は今回、PDFを使った。そして、「とりあえず最初に発行してみて、その後読者の反応をみてから」などという悠長なことを言っている。
そもそも、今時紙への印刷などが必要だろうか。マイコンBASICマガジンやC MAGAZINEは何故滅んだのか。もはや時代が紙の印刷を必要としなくなったからではないのか。特に、この種類の雑誌の読者は、プログラマーである。電子書籍への抵抗が最も少ない人種である。なんで印刷を提供する必要があるのか。
ベーマガやCマガが滅んだのは、時代の流れである。彼ら、出版を専門としているものですら、時代の流れには勝てなかったのに、なんでいまさら、出版や印刷にはド素人の我々が成功できるというのか。我々は紙の印刷への依存をやめなければならない。
もちろん、コレクターズアイテムとして、物理的なトークンが欲しいという人間もいる。それはありがたいことだ。ではなおさら、紙の印刷は限定的で良い。例えば、今回PDF版は千円で、書籍版は千五百円だ。実際、我々はまだ弱小であり、予想される販売部数は少ない。そのため、電子書籍に千円という価格設定は、致し方ないところがある。しかし、書籍版をこんなに安くする必要はない。コレクターズアイテムならば、もっと高くても人は買うはずである。例えば、書籍版を三千円とか五千円にして、それでも書籍が売れるならば、電子書籍は、もっと値段を下げられる。この限定版商法は、ゲーム業界がよく使う手である。
この限定版商法に、読者からの不満はないはずである。というのも、限定版が欲しい人にとっては、当然高くても限定版が提供されるべきであるし、その他多数の一般読者は、安価で便利な電子書籍を欲しているだろう。俗に言うWin-Winである。
明らかに、ロングゲートは時勢が分かっていない。電子書籍一辺倒こそ未来である。いまさら紙の出版という分野では、ベーマガやCマガには絶対に勝てないのに、どうしてベーマガやCマガですら失敗した土台で、新参者が勝てるというのか。
追記:PDF版はすぐに読むことが出来るのかと思ったら、紙の印刷の発送にあわせて、8月7日以降にダウンロード出来る仕組みになっているらしい。唖然とした。ロングゲート社は何を考えているんだ。なんで紙の印刷の都合に電子書籍を合わせなければならないのだ。遅れに遅れてこの体たらく。電子書籍は、紙の印刷から切り離さなければ、未来はない。
追記2: PDF版がまだ落とせない理由について。印刷を除けば、基本的に、もう雑誌は完成しているのだが、何人かに査読用のコピーを回すので、その時間を稼ぐため、8月7日ということらしい。
4 comments:
PDF版を購入してみたんですが、すぐに読めないっぽいです。
あれ。
ええと、 http://longgate.co.jp/products.html には「8/7 ダウンロード開始」と記しておきました(アナウンス直後は
8/1になっていましたが)ので、記事の訂正おねがいできますか?
「遅い!」と思われるかもしれませんが、書籍を購入される方と揃えたいので、そうしています。
おっいよいよですか。僕は本の方が好きなので、書籍を本屋に注文して取り寄せます。本を買っても手垢が付くほど読む本と、全然読まない本とで差が付くなあ。
ロベールのC++は参考書代わりに買ったのですが案の定全然読まずに新品同様です。
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