私の通っていた小学校でも、プロタブを集めて車椅子を買おうと計画していた。しかし、あんなものはいくら集めても、目方が軽すぎる。たしか十年以上続けても、目標の目方に全く届かなかったはずである。
そこへ、ある熱血教師がやってきた。この熱血教師は、大真面目に、車椅子を買うという前提のもとに行動した。熱血教師は、車椅子の値段と、回収業者が提示するアルミニウムの値段を調べた。その結果、プルタブでは、この先何十年かけても車椅子が買えないと結論した。当然である。プルタブごときがいくらにもならないのは、子供ですら薄々分かっていたのである。ただ、誰も言わなかっただけの話だ。
そこで、熱血教師は、アルミ缶そのものを集めることにした。しかも、これには相当の気合が入っていた。多くの生徒が、家庭ゴミとしての空き缶を、ごみの日に捨てるかわりに、毎日学校に持ってきた。また、生徒の中に酒屋を経営しているものがいて、これが好意で、うちの酒屋で出る空き缶を持っていってもいいということであったので、生徒を引き連れて、空き缶の回収に向かった。
プルタブ集めなど、所詮は「おれ社会奉仕してる」という気分を味わうための、自己満足にすぎないのである。目的を達成するためには、何をどれほど行えばいいのかを、明確にすることが、まず第一である。ホームレスはプルタブを集めているか? 否、空き缶そのものを集めているのである。
熱血教師の努力の結果、わずか数年で、車椅子を買うことができた。実際に車椅子の現物を買えたということが、生徒の心に火をつけたのか、二台目は、もっと早く買うことができた。
あの教師こそ、本物の教師である。今はどうしているだろうか。
3 comments:
缶自体はゴミ箱に捨てても、プルタブはそのへんに捨てられがちであったことから、車椅子との交換キャンペーンはあえてプルタブに焦点を当てて回収を推奨したものです。 つまり、元々の運動の目的は「車椅子を得よう」ということではなく、「プルタブを回収しよう」というところにあります。
そのあたりは Wikipedia の記載が詳しいです。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%97%E3%83%AB%E3%83%88%E3%83%83%E3%83%97#.E3.83.97.E3.83.AB.E3.82.BF.E3.83.96.E3.83.81.E3.83.A3.E3.83.AA.E3.83.86.E3.82.A3.E3.83.BC.E3.81.AE.E5.95.8F.E9.A1.8C.E7.82.B9
目的に対して計画を立てることは立派ですが、そもそも車椅子は過剰供給気味であるという説もありますし、学校でやるなら学校の備品購入費用にあてる等した方が生徒に対するリサイクル意識向上の役に立つんじゃないですかね。 と思うんですが。
そもそも、私の小学校当時ですら、プルタブが外れるタイプの缶は、かなり少なくなっていたはずです。
プルタブが外れなくなって久しいのに引きちぎってまで集めるとか本末転倒の極み。こうしてレガシーが積み重ねられていくのですね。
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