2012-06-04

議論の場としての媒体

メールと掲示板とIRCは、かつて、インターネット上における主要な議論の場であった。特に、メールでは、メーリングリストやニュースグループなどという、メールを土台にした仕組みもあった。

しかし、今、これらの媒体は、議論の場としては、もはや時代遅れである。

メールは気軽に使えない。仕事のやり取りだとか、ソフトウェアの開発だとか、何かとても真剣な場合でないと、メールはおいそれと使うわけには行かない。もちろん、メールはそのような目的で設計されたのではないが、もはやそうなってしまっている。メールを使うのは、様々な意味で、難しいのだ。

IRCは、もはや一部の昔気質な人間しかやっていない。

掲示板は残っている。しかし、従来の純粋な掲示板は少ない。DiggやRedditやHacker Newsのように、リンク先を提示して議論を開始するか(redditの場合は、別にリンク先は必要ないが)、あるいはStack Overflowのように、質問を提示して議論を開始するかと形になっている。

2ch.netは、私の感覚では、最近衰退しているように思われる。むしろ流行っているのは、2chのまとめサイトだ。2chのまとめサイトは、色々と非難もでているが、事実、2ch.netまとめサイトはもはや2ch.net本体より強い影響力を持っているのではないだろうか。

このブログにはコメントを設置している。しかし、その機能が使われることはまれである。たまに、このブログの記事が注目されることもある。ただし、コメントは別の媒体に書かれる。たとえばTwitterだ。結局、そのほうが簡単だからなのだろう。

Twitterは、議論の場としては成立しているが、多人数による議論の場としては使いづらい。少なくとも、議論の参加者が全員follow/被followの関係にあるのでなければ、参加者が議論を追うのは難しい。しかも、あとで読み返すのが困難である。

それに、検索もしにくい。このブログへのコメントであれば、たとえば私のTwitterのIDである@EzoeRyouだとか、あるいはこのブログのURLの一部、cpplover.blogspotを含むtweetであれば、検索をRSSでフィードすることによって補足できる。しかし、それに漏れたコメントはどうしようもない。それに、昔のtweetを読むのは難しい。

技術の流行を否定するのは無意味だ。しかし、どうも、新しい流行の技術が、既存の技術を完全の凌駕しているわけでもないのは興味深いところだ。

何が言いたいかというと、2ch.netのまとめブログを非難しても、仮にその結果として、まとめブログが死滅したとしても、ユーザーは2ch.netには戻ってこない。もはや時代遅れの媒体が返り咲くことはない。

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