2012-06-19

不自由な電子書籍でも保存できるよう、法律を変えるべきだ

電子書籍の「オンライン納本」を義務化、改正国会図書館法が成立 -INTERNET Watch

ただし、有償またはDRM付きの電子書籍については、現在、費用補償に関する検討などを行なっていることから、当分の間、国会図書館への送信の義務を免除するとしている。

人類のあらゆる創作物は保存する価値がある。当然、電子書籍も保存されなければならない。しかし、保存にDRMは有害である。なぜか。DRMは電子情報をひとつの記録媒体に縛り付けたり、特定のハードウェアやソフトウェア上でしか利用出来なくしたりするからだ。

電子情報の記録媒体の寿命は短い。これは、現在の多くの記録媒体が、磁気変化によって情報を記録しているからである。記録された磁気変化は、数十年もしないうちに劣化して読めなくなる。したがって、電子情報を正しく保存するには、記録媒体をつねに新しいものに置き換えていかねばならない。光温度湿度を整えた環境に磁気テープやHDDを保管しても、寿命はせいぜい数年しか伸びない。そういう保存は意味がないのだ。正しい電子情報の保存方法とは、日々新しい記録媒体が追加される多数のコンピューター群に、常に物理的に異なる記録媒体に何重にも重複して記録されるように、追加された記録媒体に自動的に書きこんでいくシステムである。DRMはその障害となる。

特定のハードウェアやソフトウェアは、すみやかに消失する。ハードウェアは製造されなくなり、また製造方法も忘却されるし、ソフトウェアもハードウェアや他のソフトウェアの変化に伴って、動かなくなる。NASAの昔の磁気テープは、大半が読めなくなっている。これは磁気情報が劣化しているのではなく、読み込むための専用のハードウェアが残っていないからである。したがって、保存する電子情報は、仕様が公開されている自由なフォーマットで記述されねばならない。いつでも読み込むためのソフトウェアを新たに実装できる状態でなければならない。

DRMのかかった電子書籍は、存在自体が非人道的であり、利用してはならない。

しかし、先にも書いたように、あらゆる創作物は保存する価値がある。法律を変えて、情報の保存のためにDRMを違法にする必要がある。

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