2011-09-16

プログラミングの魔導書 Vol.2の予約受付中

株式会社ロングゲート - 製品案内
『プログラミングの魔導書 Vol.2』予約開始! - Faith and Brave - C++で遊ぼう

プログラミングの魔導書 Vol. 2の予約受付が始まった。今回、私はDave Abrahamsへのインタビューを敢行し、また、constexprの入門記事を書いている。

Dave Abrahamsは、C++プログラマーでその名前を知らなければモグリであるほどの有名なプログラマーである。

私自身のconstexpr記事は、constexprを紹介する入門的な記事である。まだ、constexprの具体的な活用例が少ないので、応用よりもむしろ、基礎を書いたほうがいいと思ったのだ。constexprをまったく知らない読者は、この記事を読めば、constexprの機能と使い方は、ひと通り分かるであろう。逆に、constexprの応用を期待している読者は、失望するかもしれない。

紙媒体が好きな人は、紙を注文できるし、電子媒体を好む人は、お世辞にも電子書籍として優れているとは言えないフォーマットであるPDFを買うこともできる。

ともかく、ようやく二冊目の刊行となったわけだ。今回は、前回のように理想を語るのではなく、批判をしようと思う。魔導書はこれから、方向性を変えるべきであると思う。電子媒体に絞るべきなのだ。

紙媒体は、すでに終わっているコンテンツである。コンテンツを印刷物で公開するのは、非常に労力がかかる。今の規模では、まあ、年に一冊が関の山だろう。これは思えば、非常に不思議である。何故ならば、今日び、コンテンツというものは、一瞬にして全世界に公開できるからだ。

たとえばこのブログだ。この本文は、書き終えた後、即座に公開されている。この文章は念入りに校正されていない。おそらくはtypoを含むだろうし、同じ助詞の連続などの、読み易くない文章も含まれている可能性もある。とはいえ、そんな誤りは些細なものである。感じの誤変換であるとか、てにをはな間違いだあるとかは、一見して明白であり、読者は容易に本来の意図した意味を推測できるであろう。それよりも、コンテンツの作成、公開にかかる労力を削減できれば、コンテンツ作者はより積極的にコンテンツを作成することができるようになり、世の中により多くの良質なコンテンツをもたらすのだ。

現代の技術を持ってすれば、一瞬で可能なことに、半年以上もの時間を費やす。無駄の極みにはあらずや。例えば、いまだに活字拾いから始めたり、写本したり、レコードで音楽を聞いたりするような無駄さ加減だ。もちろん、道楽としての活字拾いや写本やレコードを否定するつもりは毛頭ないが、それは趣味や道楽だからこその芸当であって、真面目なプロジェクトでは、やはり無駄である。

しかるに、プログラミングの魔導書は、いまだに紙媒体に固執しているため、実際の記事自体は何ヶ月も昔に完成しているというのに、印刷という障害物のせいで、半年がかりの労力になっている。これは明らかに、時代遅れである。

追記:組版自体は一ヶ月ほどでできるらしい。

たとえば、インタビューも今年の前半に行われたが、公開するまでに何ヶ月もたってしまっていては、せっかくの価値も減じてしまう。私の書いたconstexpr記事だって、当時のドラフトを参照にしていたので、最終的なC++11とは少し違ってしまっている。これはできるだけ修正したが、どうしても付け焼刃的な感は拭えない。FDISが当時読めていたならば、こうは書かなかっただろうという箇所も多い。これは、C++11発行の最終段階のツメの作業を行なっている途中での執筆だったので、仕方がないといえば仕方がないが、魔導書の発行が遅すぎるとも言える。

PDFの問題は厄介だ。PDFは印刷を前提としたフォーマットであり、電子書籍のフォーマットには適していない。電子書籍は、あくまでコンテンツを記述するフォーマットを使うべきである。コンテンツをどのように表現するかというのは、クライアント側の仕事だ。フォント、文字色や背景色、余白、さらには禁則処理や文字のツメやアキなどといった組版は、クライアント側が表現すればいいのだ。

3 comments:

zak said...

本投稿の主題ではありませんが、以下のテキストについて訂正を求めます。

> しかるに、プログラミングの魔導書は、いまだに紙媒体に固執しているため、実際の記事自体は何ヶ月も昔に完成しているというのに、印刷という障害物のせいで、半年がかりの労力になっている。これは明らかに、時代遅れである。

組版には半年もかかっていません。上がっていた原稿については、8月頭あたりから徐々に開始しましたので、「一月以上かかった」と言われるなら甘んじて受けます。

江添亮 said...

一ヶ月ですか。
まあ、それなら、言うほどの生涯ではないようですね。

Anonymous said...

逆の発想で、ライセンスクリアした上で、電子媒体を紙に印刷するサービスをすれば、電子媒体のみへの移行は進むかもしれないと思います。理想ですが。。。