2013-06-27

昔の日本語ゲームの伝説的クソ英語翻訳

Legends of Localization

むかし、日本がゲーム用制限コンピューター市場を独占していた頃、アメリカの子供たちは日本産のゲームの伝説的なクソ翻訳に悩まされていた。"All your base are belong to us"のような伝説的なクソ翻訳は有名だが、そこまでは知られていなくても、やはりひどい翻訳は大量にあるものだ。

さて今、当時のクソ翻訳は、実際には何だったのかという事を、オリジナルの日本語版と翻訳版を比較しつつ解説しているWebサイトがある。主にファイナルファンタジーが充実しているようだ。残念ながら、私はファイナルファンタジーはやっていないので、いまいち面白さはわからないが。

Final Fantasy IV: Mist « Legends of Localization

たとえば、ファイナルファンタジーIVには、「ミストのどうくつ」というダンジョンがあり、「ミストドラゴン」という敵と戦える。オリジナルの日本語版では、

「きりは すべての こうげきを むこうにする」

というメッセージが、英語版ではなぜか、

Do not fight now!

というメッセージに変わっているらしい。「今は戦うな」とは親切なメッセージだが雰囲気ぶち壊しだ。

Final Fantasy IV: Kaipo « Legends of Localization

ファイナルファンタジーIVのカイポなる場所のNPCのセリフに、

なんでも バロンからきた
きれーな ねーちゃんが たおれてて
だれかのいえに かつぎこまれたらしーぜ。

というのがあるのだが、何故か英語翻訳版では、

Someone picked up a sick
girl from Baron falling
down.

という英文法的にわけのわからないセリフになっている。あえて解釈すると「誰かがバロン・フォーリング・ダウンから病気の娘を連れてきたらしいぜ」といったところか。どうやら、「倒れる」という日本語の解釈に問題があるようだ。日本語の下手な英語ネイティブか、英語の下手な日本語ネイティブが訳したためだろう。

しかもなぜか原文にない、sickを付け加えて、きれーなねーちゃんの部分がそぎ落とされている。また、原文の言葉遣いのニュアンスは翻訳されていない。

「倒れる」の翻訳問題は、別の箇所でも発見できる。

バロンからきた むすめさんが
むらのまえで たおれてたんです。
かわいそうに こうねつびょうに やられて
うわごとで セシル セシルと

これの翻訳は、またもや文法的に破綻している。

A girl from Baron was kept
from falling down.
She kept calling a name.
Do you know Cecil?

最初の文は英文的にさっぱりわからない。やはりどういうわけか、この部分を訳した人間は、日本語の「倒れる」という言葉の理解か、あるいはその意味を英語で記述するのに問題があったようだ。

また、「こうねつびょう」の部分がそぎ落とされている。そしていきなり「セシルを知っているか?」ときている。

この部分は誤訳の宝庫らしく、宿屋のセリフ

いらっしゃいませ。
おや おじょうちゃんの かおいろが わるい。
ささ はやく へやへ!
おだいは いいから どうぞ!

Welcome! Oh!
Take her to the room! Hurry up! Money?
No! That’s okay! Go ahead!

何故か同行者の病態についての言及がそぎ落とされてしまった。もっともこれは、文字数の都合だろうか。

日本のゲームが落ち目な今、海外のクソ翻訳やクソ吹き替えに悩まされているのと似たような状況だろうか。

1 comment:

loderun said...

はじめまして。
後に北米版FF6や聖剣伝説2のトランスレーターを務めたTed Woolsey氏によれば、FF4の翻訳作業はまず東京のスクウェアで日本人スタッフの手によって行われたものの、全く読めたものではなく、アメリカの販売スタッフが手直しを試みたそうです。
http://www.gamasutra.com/php-bin/news_index.php?story=6361

つまり元の翻訳はもっと酷かったようですね(笑)