2013-12-22

アニメにおけるセルシェーディングの利用について

セルシェーディング技術は、非常に発達している。3Dモデルを描画する際、あえて似通った領域を単色で塗りつぶすようにするのが、極端な簡略化した説明だが、とにかく、いかにも3DCGという奇妙な違和感を消し、まるでアニメ塗りのような描画ができる。

ゲームでは、セルシェーディングはよく使われている。例えば、不自由なゲームだが、最近のゼルダの伝説や、Borderlandsといったゲームだ。

では、アニメではどうなのか。実は、意外と積極的には使われていない。

たとえば、プリキュアというアニメでは、エンディングの映像に、セルシェーディングが使われている。非常に高品質で、しかもヌルヌル動く。プリキュア本編はまったくつまらないのだが、、エンディングだけはとても面白い。しかし、本編には、ごく一部の、動きの激しいシーンなどにしか使われていないという。しかも、手で修正を加えた上、フレームも極端に間引いているという。しかし、現に修正をくわえずともそれなりの品質になっているではないか。なぜフレームを間引かずに、大規模な手動の修正も行わずに、そのまま使わないのか。

なぜだ。なぜ手動風の劣化を加える必要があるのだ。なぜぬるぬる動くアニメにしないのだ。

プリキュアを見ていると、明らかに全面的に手で書かれた場所が出てきて、そのような場所は、フレーム単位でみると、とても作画品質の低いことがある。これは、俗に「作画崩壊」と呼ばれている。それに、肝心のアニメーション自体も貧弱だ。しかし、セルシェーディングならば、常に一定した品質を提供できるではないか。なぜセルシェーディングにしないのか。

ある者曰く、ぎこちないアニメーションのほうがむしろ自然なのだという。しかし、トムとジェリーは、ヌルヌルと動くアニメーションで、それでいて最高に面白いではないか。

多くのアニメでは、徒手格闘が出てくる。そういうシーンを、ぬるぬる動くアニメーションに、なぜしないのか。映画マトリックスのようなものがある以上、そこそこの品質でぬるぬる動くアニメーションのほうが素晴らしいと思うのだ。手動で描くと、作画は悪いはアニメーションは悪いはと、劣化でしかないと思うのだ。

あるいは、映画は24 Frame Per Secondで撮影しないと、映画らしくならないという話と似たようなものなのだろうか。つまり、我々が、映画なら24FPS、アニメなら作画崩壊貧弱アニメーションに慣れてしまっているので、あまりにも高品質すぎる物を見せられると、違和感が生ずるのだろうか。

しかし、現に私は、プリキュアに関しては、本編の人の手による悲惨な劣化作画と見るに耐えない劣化アニメーションよりも、、エンディングのセルシェーディングされてヌルヌル動く映像のほうが、圧倒的に高品質であると感じる。圧倒的に魅力がある。もし本編がこのように作られていたならば、ぜひとも見たいと思う。現に、プリキュア本編は見るに耐えない内容であったが、エンディングの映像だけは食い入るように眺めてしまった。なかなか悪くないセルシェーディングだからだ。

あるいは、人の手で描かれたものを尊ぶ風潮でもあるのだろうか。しかし、それならばもっと抽象的で極端なデフォルメの絵にすればいいわけで、プリキュアはまだその抽象度とデフォルメ度が十分ではない。それよりは、セルシェーディング技法に技術的観点から興奮すべきではないのか。

もちろん、エンディングは繰り返しつわれる短時間の映像だから、セルシェーディングした後に、手動でフレームごとに修正を加えているのかも知れない。しかし、私は近年のセルシェーディング技法の発達を知っている。もちろん、セルシェーディングもそのようなシェーダーを書くのは職人技だが、フレームごとにひたすら手動でやるよりも、よほど筋のいい職人技だ。一度素晴らしいシェーダーを書けば、それにより全体が向上する。

そういう意味では、アニメは完全にセルシェーディングにして、ビルドして映像生成という形にすべきではないのか。すなわち、ソフトウェアだ。ソフトウェアである以上、自由ソフトウェアにすべきだ。そうすれば、稚拙な3Dメッシュが直されたり、シェーダーが改良されたりするのではないか。

いい加減に人の手で努力しただけのものを評価するのは、やめようではないか。もはや、写実画は写真に負けている。人間がまだ優位に立てると安心しているデフォルメの世界だって、例えばアニメ塗りのようなものは、セルシェーディングで近似できる。セルシェーディング技法は今後もますます発展することに疑いはなく、人間の優位性はいよいよ危うい。

将来は、ピカソのような絵や、デフォルメ化された3Dメッシュなども、自動的に生成できるようになるだろう。

私の観測できる範囲では、プログラマーとアニメの親和性は高い。私はアニメが好きではないから、これは不思議なことだ。私には、なぜ彼らがアニメを尊ぶのか、理解できない。現行のアニメが、単に人の手による単純作業で作られている。アニメ制作者が安く買い叩かれているのは、やはり、ある程度の画力があれば、代わりはいくらでもいるような単純作業だからだろう。

変えようではないか。現状を。アニメは技術者が作ればいいのだ。作画は3Dメッシュに取って代わられる。塗りはセルシェーディングに取って変わられる。高品質な3Dメッシュを作成するのは困難だが、一度作成してしまえば、後はアニメーションを作ればどのようなシーンもアニメーションできる。破綻しない自然な塗りをシェーダー言語で記述するのは困難だが、一度書いてしまえば、後はどのようなシーンでもレンダリングできる。

怠惰は美徳である。機械的な作業は機械に任せようではないか。もし、ある手動作業が自動化できるとするならば、我々はむしろ自動化するための準備に労力を注ぐべきなのだ。そうすれば、後は全て自動化される。我々人間は、機械を作るべきなのだ。その身を機械におとしめてはならない。

なるほど、私がアニメを好まない理由が、今にしてわかった。アニメは手動の単純作業だから感動しないのだ。そして、その映像の描画方法、すなわちソースコードが公開されていないから嫌悪するのだ。ああ、残念ながら、この考え方はあまりにも先進的すぎる。おそらく、数百年は理解されないことだろう。

ただし、2013年にこのような考えを持つ進んだ一個の人間がいたということは、ここに記しておく。

14 comments:

Anonymous said...

実際クソ作画なアニメを見るとこの意見には同調せざるを得ないんだよなぁ、だからといって、今すぐにアニメを全て3DCGに変えてほしいとは思わない。引きのアクションシーンは今でも3DCGでいいと思うけど、職人技のデフォルメや、顔をしわくちゃにするシーンも、手描きより効率的に3DCGで早く表現できるようになってほしい。

何より、昔の3DCGアニメがキモすぎたから、今のシーンも3DCGだと、なんだ3DCGか・・・って気持ちになってしまうんだよなぁ

Anonymous said...

プリキュアのEDは人間の手が入りまくってますし…。アニメ顔が(プロ品質の)まともな立体モデルになるわけないじゃないですか。できてアイマス程度ですよ。あんな品質でアニメ作られたら手抜き以外の何物でもないです。(ゲームとしては高品質ですが)

あと、普段の戦闘シーンは3Dモデルで描かれて、遠景はそれがそのまま使われています。インフィニットストラトスなど。

また、ドラゴンボールのようなアクションを「ぬるぬる」動かしてはまったく迫力がないでしょう。やつらは1/60秒では測れないレベルの速度でやりとりし、それをデフォルメして見せてるわけですから。

アニメと、トイストーリーでは求められてるものが違うかと。

Anonymous said...

てさぐり部・・・

Tatuya Uemura said...
This comment has been removed by the author.
(´・@・) said...

だがちょっと待って欲しい。
 現状の3Dアニメーションの技術だと、コスト的に無理だし、それらの技術を高めるにはコスト無視で導入しないといけないわけで、 むしろ3Dを導入したプリキュアスタッフが進んでいて、2013年に今更そんな事を主張するのは遅れているのではないか?

投稿ミスった

Anonymous said...

手書きのアニメを見慣れた人には3DCGの若干異なる動き方は
気味悪く見える、というだけのことのような気もします。

最近だと、「蒼き鋼のアルペジオ」という深夜アニメが
人物も含めて全編フル3DCGを採用して
それなりに高評価を得ているようです。
関西圏だとMBSで12月23日深夜3時半あたり(24日未明)に最終回なので、技術的興味があれば見てみるといいでしょう。
もっとも、手書きアニメに近づける手法を駆使しての高評価ですから、逆にガッカリするかもしれないですがね。

Anonymous said...

「蒼き鋼のアルペジオ -アルス・ノヴァ-」と言う放映中のアニメも全部CGのアニメだそうですよ。

Anonymous said...

作画的に言えば、今はまだおとなしい方ですが、昭和の作画をシェーダーでやるとしたら大変ですよ。
特にまんじゅう顔をシェーダーのみでやるのは非常に骨が折れます。
それ用にカスタムしたモデルが必要になりますし、それをプロシージャルに作るのはかなり難しいです。

ヌルヌル動くものが気持ち悪いっていうのが通説です。
目は見た瞬間思考を挟むので実は人間の目は自分の都合のいいようにフレームをいじってるように思います。
それを無視してヌルヌル動くとやはり気持ち悪いんでは無いでしょうか。
よく動くとは、人間が考えうる線形予測に見合った動きをしないとダメだと思います。

いかがでしょう。

Anonymous said...

3Dモデルよりもペンの方が自由であるし、作業は複雑だ。
効率は悪いけど、3Dモデルを動かすだけのモノをアートとは思いたくない。

Anonymous said...

> 3Dモデルよりもペンの方が自由であるし、作業は複雑だ。
> 効率は悪いけど、3Dモデルを動かすだけのモノをアートとは思いたくない。

とおりすがりです。
3D モデルも表現は自由であるし、作業は非常に複雑で高度な技術を要する。決して効率が良いわけでは無いし、簡単にできるわけでも無い、のではないでしょうか。

Anonymous said...

セルシェーディングもアニメ・マンガ・イラストの誇張表現も、正確性を求められてる分野じゃない。
アニメ作品は写真や技術書やテクニカルイラストレーションじゃ無いのだから、正確無比で一定品質の作画であることをたいして求められてない。

「悪い作画でカクカク動くもの」より
「3DCG作画でヌルヌル動くもの」良いとされることは多々あれど、
「良い作画でカクカク動くもの」の方がより良いとされることだって普通にある。
※プリキュアの試みが成功しているかどうかは知らん。

そもそも
>私はアニメが好きではないから、これは不思議なことだ。
>私には、なぜ彼らがアニメを尊ぶのか、理解できない。
この時点で何書いても見当違いの話にしかならないでしょ。
そこらのおっさんが女性にとっての理想の男性像を正しく語れるとか普通無いし。

hiro_knigh said...

近づけすぎると、「不気味の谷」に入ってしまうので3DCD化は出来ないのでは?

Anonymous said...

なんだろうこの人の分かってない感というか、上から目線のドヤ顔でトンチンカンさ加減というかw

漫画業界の方では
デッサンがきちんととれればとれるほど、大人しくて魅力の無い絵になる。面白く迫力のある絵は、どこか狂ってなきゃいけない・・・ってのがありましてな。

それは動画でも同じこと。
狂ったような絵、狂ったような動きが職人芸でつながった時、そこに迫力や面白さが生まれるんですよ。

で、残念ながらそれはCGで再現できるようなもんじゃないのです・・・まあ今のところはw

Anonymous said...

AIが描いたレンブラントの絵はかなりレンブラントっぽかった。
レンブラントですと言って見せられたら私は信じるだろう。